キヤノン株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役会長兼社長 CEO:御手洗冨士夫 以下「キヤノン」)と、米国のモレキュラーインプリント社(Molecular Imprints, Inc. 本社:アメリカ合衆国 テキサス州オースティン市 CEO:Mark Melliar-Smith 以下「MII」)は、キヤノンによるMIIの連結子会社化について、2014年2月5日をもって合意いたしました。これにより、キヤノンは微細化を実現する次世代半導体露光装置の確固たる地位の獲得を目指します。
キヤノンは、2011年より推進する5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想」フェーズIVにおいて、変革を追求し、成長し続けていくことを目指していますが、その重要戦略の一つとして「グローバル多角化による新たな事業の獲得と世界三極体制の確立」を掲げています。今回キヤノンは、産業機器分野の強化を実現するためのパートナーとして、米国のMIIをグループに迎え入れることにしました。
キヤノンはKrFエキシマレーザーおよびi線を光源とする半導体露光装置、合計7機種を生産・販売しており、好評を得ています。しかしながら、先端微細領域の露光装置市場には参入できていませんでした。
一方、次世代半導体露光装置の開発に向けて、解像力20nm※以下の高度な微細加工を実現するナノインプリント技術の研究を2004年より開始しました。特に2009年以降、同技術を用いた次世代半導体露光装置の量産を目指し、MIIおよび大手半導体メーカーと共同で開発に取り組んできました。
同技術を用いた半導体露光装置は高解像度、優れた重ね合わせ精度、低コストの三つの利点があげられます。主にメモリーの生産に適していますが、将来的にはロジックICの生産に対しても応用の可能性があり、解像力20nm以下を実現する次世代の半導体露光装置として期待されています。
このたび、同技術を使った半導体露光装置の本格的な量産に一定の見通しがついたことから、この技術に関する特許登録件数と技術力で世界トップレベルにあるMIIをキヤノングループに迎え入れることにしました。微細化を実現する次世代半導体露光装置の開発を加速させ、早期の市場導入を目指すことで、半導体露光装置分野におけるキヤノンの地位を確固たるものにするとともに、電子機器市場の活性化と拡大に貢献します。
アメリカ合衆国を本拠地とするMIIは、次世代半導体露光装置であるナノインプリント装置の研究・開発を行う会社で、ナノインプリント装置に必要な先端微細加工で世界トップレベルの技術力を有しています。
従来の光による露光装置とは異なり、ナノオーダーのパターンが刻まれた原板(マスク)を基板(ウエハー)に直接押し当てることで微細パターンを転写する技術です。