2016年11月11日(金)に、キヤノン主催の文化支援プロジェクト「写真新世紀」の2016年度(第39回公募)グランプリ選出公開審査会が、東京都写真美術館(通称:TOPMUSEUM/東京・恵比寿ガーデンプレイス内)で行われ、金(きむ) サジ氏(受賞作品『物語』)がグランプリを受賞しました。
グランプリ受賞者 金 サジ氏の作品『物語』
2016年度の「写真新世紀」は、4月20日から6月15日まで公募を行いました。従来のプリント作品に加え、昨年よりオンラインでのデジタル作品(静止画・動画)の募集にまで範囲を拡大したことで、国内外から多くの作品が集まり、過去最多となる1,723名(組)の応募がありました。この中から、優秀賞選出審査会において、優秀賞受賞者7名と佳作受賞者14名が選出されました。
優秀賞受賞者は、グランプリ候補者として11月11日に行われたグランプリ選出公開審査会で、プレゼンテーションおよび審査員との質疑応答に臨み、その後に行われた審査員全員の合議で、金 サジ氏のグランプリ受賞が決定しました。
金 サジ氏には、奨励金として100万円ならびに副賞としてキヤノン製デジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM レンズキット」が贈呈され、また来年秋に予定されている「写真新世紀 東京展2017」の開催期間中に、新作個展を開催する権利が授与されます。なお、グランプリ選出公開審査会の詳細は、2017年1月中に「写真新世紀」ホームページにて紹介します。
グランプリを受賞した金 サジ氏の作品を含む、優秀賞および佳作の受賞作品は、東京都写真美術館にて開催中の「写真新世紀 東京展2016」で11月20日まで展示中です。
「写真新世紀」は、写真表現の可能性に挑戦する新人写真家の発掘・育成・支援を目的としたキヤノンが主催する文化支援プロジェクトで、1991年にスタートし今年で26年目を迎えました。キヤノンでは受賞作品展の開催や受賞作品集の制作、ホームページでの情報発信など、受賞者の育成・支援活動を総合的に行うことで、次世代の写真表現を切り開く新しい才能を発掘し、写真界に新風を吹き込む活動を展開しています。これまでの応募者総数は 25,701名(組)に上り、国内外で活躍する優秀な写真家を多数輩出するなど、新人写真家の登竜門として認知されています。
グランプリ受賞者 金 サジ氏
優秀賞受賞者7名
金 サジ氏は、作品のコンセプトについて次のように述べました。
「故郷とは一体何なのか。在日韓国人の私には分かりませんでした。そこで私は現存している民族の伝承から故郷探しをはじめました。すると、そこで知り得るはずのない、しかしずっと知っていたかのような「何か」を発見します。この「何か」は私の中で繋がりだし、ひとつの物語が産まれました。」
グランプリを受賞した金 サジ氏は、受賞後のあいさつを次のように述べました。
「今回出展した作品は、10年前から構想したもので、ゆっくりと形にしました。自分自身に嘘をつかずに、素直に真っ直ぐ向き合ってできた作品です。作品に込めた想いが届いて嬉しく思います。 作品を見てくださった方、これまで応援してくださった方全てに感謝します。」
審査員全員による合議の結果、金 サジ氏のグランプリ受賞が決まりました。審査員の一人で、優秀賞選出審査会において金氏を選出した、オサム・ジェームス・中川氏は、次のように述べました。
「今回は満場一致で、金 サジさんのグランプリが決まりました。この作品から、金さんの作品作りの核になるものがよく伝わってきました。in-between(はざま)からの眼差しが良くでていたと思います。日本のマイノリティーの問題に光をあてる良い作品をこれからもどんどん作っていって欲しいと思います。」