ニュースリリース

2017年7月20日
キヤノン株式会社

ナノインプリント半導体製造装置を東芝メモリ 四日市工場に納入

キヤノンは、2004年より研究開発を進めているナノインプリント技術を用いた半導体製造装置“FPA-1200NZ2C”を、半導体メモリーのリーディングカンパニーである東芝メモリ株式会社(以下東芝メモリ)四日市工場に納入しました。これにより、ナノインプリント技術を用いた半導体デバイスの量産に向けた取り組みが、大きく加速します。

FPA-1200NZ2C

FPA-1200NZ2C

半導体デバイスの進化の鍵となる回路パターンの微細化が難しくなる中、キヤノンは、光露光装置※1に比べ、より微細な10nm※2台の回路パターンをより低コストで実現する、ナノインプリント技術を用いた次世代半導体製造装置の研究開発を2004年より続けています。2014年には、米モレキュラーインプリント社(現キヤノンナノテクノロジーズ)をグループに迎え入れ、半導体デバイスの量産用装置の開発を行ってきました。

  • ※1大口径のレンズを搭載し、光を照射することで回路パターンをウエハー上に転写する半導体製造装置。
  • ※21nm(ナノメートル)は、10億分の1メートル

ナノインプリント半導体製造装置は、マスク(型)をウエハー上のレジスト(樹脂)に、スタンプのように直接押し付けることで、マスクの回路パターンを忠実に転写することができ、従来の光露光装置に比べて高解像なパターンを描けることが特長です。この特長を生かすことで、半導体デバイスの先端リソグラフィプロセスの簡略化を実現し、CoO※3を大幅に低減することが可能です。

  • ※3Cost of Ownershipの略。半導体製造に関する設備投資や運用に必要なコスト。半導体メーカーの量産ラインにおける工程や製造装置の生産性を示す指標。

このたびキヤノンは、半導体メモリーのリーディングカンパニーである東芝メモリ 四日市工場に、量産用ナノインプリント半導体製造装置“FPA-1200NZ2C”を納入しました。これにより、世界初となるナノインプリント技術を用いた半導体メモリーの量産に向けて、開発をさらに加速します。

キヤノンは、「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ(2016年~2020年)」で「戦略的大転換を果たし、新たなる成長に挑戦する」という基本方針を掲げ、産業機器を新規事業の4つの柱の1つと位置付けています。ナノインプリント半導体製造装置の実用化により、産業機器事業の拡大を確実なものにしていきます。

ナノインプリント技術について

ナノインプリント技術を用いた半導体製造装置は、マスクをウエハーのレジスト(樹脂)に直接押しつけることで、マスクに彫り込まれた回路パターンを忠実に転写できるため、光露光装置に比べ、高解像度で均一性のある回路パターンが描けます。また、光露光装置に使用されている光源や大口径レンズ群が不要であるため、装置自体をシンプルな構造かつコンパクトにすることができ、複数台の装置をクラスター化して設置することにより、生産性を高めることが可能です。