キヤノン株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役会長兼社長 CEO:御手洗冨士夫、以下「キヤノン」)と、カナダのレドレン・テクノロジーズ社(Redlen Technologies Inc.、本社:カナダ ブリティッシュコロンビア州、President and CEO:Glenn Bindley、以下「レドレン社」)は、キヤノンがレドレン社の株式を取得し、完全子会社化することに合意しました。
キヤノンは、2016年からの5カ年経営計画「グローバル優良企業グループ構想」フェーズⅤにおいて、重要戦略である「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」の具体策の一つとしてメディカル事業の強化・拡大を進めてきました。2021年からの新5カ年経営計画(フェーズVI)では、フェーズVからの流れを引き継ぎ、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に掲げ、産業別グループへの全社的組織再編を行い、主要グループの一つである「メディカルグループ」の事業競争力強化を図っています。
レドレン社は、医療用画像診断機器やセキュリティ検査装置に用いられる、Cadmium Zinc Telluride(テルル化亜鉛カドミウム、以下「CZT」)半導体検出器モジュールの開発・製造において世界トップクラスの技術を有しています。この技術を、次世代型のコンピュータ断層撮影装置(以下、「CT」)として注目されるPhoton Counting CT(以下「PCCT」)に用いることで、体内の特定の物質の鮮明な画像化が可能になると見込まれています。これにより、従来技術では困難とされてきた、非常に小さな病巣の早期発見や、細かな病変の把握が可能になると期待されています。さらに、従来のCTと比べ、少ないX線照射でノイズの少ない画像取得が可能になるため、被ばく量の大幅な低減による患者の身体的負荷の軽減と、撮影画像の高解像度化による診断精度の向上が期待できると考えています。
今回のレドレン社の連結子会社化により、キヤノンはPCCTの開発に重要な役割を果たすCZT半導体検出器モジュールにおける先進技術を有することになります。これにより、キヤノンメディカルシステムズ株式会社を中心に市場競争力のあるシステムとしてのPCCTの開発を加速させ、CTをはじめとするシステム事業の強化を目指します。同時に、CZT半導体検出器モジュールを全世界の医療用機器メーカーに供給できることとなり、メディカル分野におけるキヤノンのコンポーネント事業の強化が可能になります。キヤノンの「メディカルグループ」において、自社製品であるCTの強化と同時に、コンポーネント事業を通じて世界の医療用機器メーカーに先進技術を提供することで、画像診断技術の発展に寄与していきます。
1.会社名 | Redlen Technologies Inc. |
2.代表者 | Glenn Bindley(President and CEO) |
3.所在地 | カナダ ブリティッシュコロンビア州 |
4.設立年月 | 1999年 |
5.事業内容 | CZT半導体検出器モジュールの開発・製造(OEM) |
6.上場取引所 | 非上場 |
一般的なX線CT装置では、X線が被写体に照射され、被写体を透過する際に生じるX線のコントラストをシンチレーターで光に変換し、その光をフォトダイオードでとらえることで画像を作り出しています。これに対し、PCCTでは照射されたX線のフォトン(光子)の数を半導体センサーでカウントすることでX線を測定します。それぞれのフォトンが持っているエネルギーによって半導体内で発生する電荷の量も異なるため、その違いを識別することで高精度に物質を弁別することができます。低被ばくで高分解能な画像取得が可能であるため次世代のCTとして期待されています。