化学物質・汚染防止の取り組み
生産工程での化学物質管理
キヤノンは、生産工程で使用する化学物質について、人体・環境への影響や可燃性など、安全面から規制が求められているものを「管理化学物質」としてリスト化し、各レベルに応じた対策を講じています。
生産工程における管理化学物質の分類と対策
| 分類 | 説明 | 対策 |
|---|---|---|
| A | 化学兵器禁止条約、ストックホルム条約、モントリオール議定書および石綿の使用における安全に関する条約に規定される物質、特定の温室効果ガス(PFCs/HFCs/SF6)、その他の土壌・地下水汚染物質、人の健康に重大な影響をおよぼす物質 | 原則使用禁止。代替物質がなく、法律で禁止されていない場合に限り、例外的に申請・許可の上、使用量を管理。 |
| B | PFCs/HFCs/SF6以外の温室効果ガス、IPCCにより地球温暖化係数(GWP)が示されている温室効果ガス、揮発性有機化合物(VOC)、その他、キヤノンが対象として指定する物質 | 代替・密閉・回収等で使用量と排出量の削減を図る。 |
| C | 基準値の遵守、使用量・在庫量の把握などの遵守事項を定めた化学物質 | 法令にもとづき使用量・履歴等を把握し順法管理を行う。 |
生産工程における管理化学物質の使用量・排出量の削減
キヤノンの生産拠点では、右表に示す管理化学物質の排出量削減や管理のために、生産プロセス改善による化学物質の使用量の削減や再利用などさまざまな取り組みを行っています。たとえば、キヤノン大連では溶剤の再生再利用の取り組みを、台湾キヤノンにおいては溶剤の再生再利用や管理化学物質の代替化への取り組みを行っています。
- ※ PRTR制度:化学物質排出移動量届出制度。PRTRはPollutant Release and Transfer Registerの略
- ※ 管理化学物質のうち「Cランク:規制対象」に分類している化学物質の集計は除いています
- ※ 主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています
大気や水域への排出抑制と汚染防止
キヤノンは、大気汚染や酸性雨の主要因となるNOx※1やSOx※2、海や湖沼の富栄養化の原因となるリンや窒素などの環境負荷物質の削減、水域での環境負荷指標であるBOD※3やSS※4の低減に努めています。
キヤノン・コンポーネンツでは、「廃液産廃完全ゼロ」をめざし、インク廃液削減と社内処理化に取り組みました。従来、インク生産工程で発生する廃液は一部社外処理に依存していましたが、洗浄効率改善によりインク残りを85%、廃液を50%削減。さらに新インク廃液も独自技術で凝集分離し社内処理を実現しました。また社内処理能力の向上に成功し、全量社内処理化による「廃液産廃完全ゼロ」を達成しました。それにより、輸送・処理に伴うエネルギーも大幅に削減しました。今後も全インク系廃液の社内処理を継続し、持続可能な生産体制を維持します。
キヤノンは大気汚染を未然に防止するため、燃料使用設備の新規導入・更新に際しては、大気汚染物質(SOx、NOx、ばいじんなど)の発生が少ない燃料を使用する設備を選定するとともに、重油の使用を原則禁止しています。また、オゾン層破壊物質やストックホルム条約で定められた残留性有機汚染物質についても使用を禁止しています。排水については、各拠点に適用される法律などによる規制項目について、その規制値を拠点基準値に設定。さらにそれぞれの項目について、拠点基準値の80%を社内管理値に設定し、遵守状況を定期的に確認しています。
- ※1 NOx(窒素酸化物):大気汚染や酸性雨、光化学スモッグの主原因で、燃料中の窒素分の酸化や高温燃焼時に空気中の窒素ガスが酸化されることにより発生
- ※2 SOx(硫黄酸化物):大気汚染や酸性雨の主原因で、石油や石炭などの化石燃料を燃焼することにより発生
- ※3 BOD(生物化学的酸素要求量):水中の有機物を微生物が分解するときに消費する酸素量。BODの値が大きいほど水質は悪い
- ※4 SS(浮遊物質量):水中に浮遊する粒径2mm以下の溶解しない物質の総称
土壌・地下水汚染の管理状況
キヤノンでは、土壌・地下水環境の保全を重要視し、社内規程である「土壌・地下水汚染に対する基本方針」を策定、この方針のもとに対策の徹底を図っています。万が一、土壌・地下水汚染が確認された拠点については、法規に則った汚染除去などの措置を確実に実施しています(右表)。また、新規に土地を取得する場合には、原則として事前に土壌調査を行い、土壌浄化などの対策を実施した上で、浄化完了後に購入することを社内基準として定めています。さらに、各拠点で使用する化学物質を把握するとともに、当該国や地域の基準と照らしあわせ、各地の状況にあわせたリスク対応を展開しています。今後も、こうした取り組みを継続するとともに、モニタリングおよび浄化完了事業所の報告や届出を適切なタイミングで実施していきます。
PCB廃棄物の管理
キヤノンの国内生産拠点では、PCB特別措置法に則り、生体や環境へ影響をおよぼすPCB(ポリ塩化ビフェニル)について厳重に管理しています。2025年12月末現在、高濃度PCB廃棄物を保管している事業所はありません。
土壌・地下水汚染の管理例
| 事務所 | 対象物質 | 対応 |
|---|---|---|
| 下丸子 | 1,2-ジクロロエチレン | 薬剤注入、水質測定 |
| 宇都宮第一駐車場 | フッ素およびその化合物 | 揚水処理、水質測定 |
| 取手 | トリクロロエチレンなど 六価クロムおよびその化合物など |
被覆、揚水処理、水質測定 |
| キヤノンエコロジーインダストリー | トリクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン | 被覆、揚水処理、水質測定 |
| キヤノン・コンポーネンツ | 水銀およびその化合物 | 被覆、水質測定 |
- ※ 浄化中の拠点は、行政に報告しています