資源循環の取り組み
キヤノンが目指す資源循環
資源循環フロー
キヤノンは「資源循環がもたらす価値」の最大化に向け、資源をくり返し使い続けることができる資源循環を追求しています。なかでも、回収したオフィス向け複合機を新品同様に生まれ変わらせるリマニュファクチュアリング、トナーカートリッジのクローズドループリサイクルの取り組みに力を入れています。現在は日本、ドイツ、 フランス、米国、中国の計5拠点にリサイクル拠点を構え、 消費地域で資源循環ができる体制を整え、取り組みを 継続しています。2008年以降、リユースされた製品・部品量は3万7,155t、使用済み製品から取り出された製品の原材料として使われたプラスチック量は4万6,023tとなりました。今後も、世界に広がるキヤノンのリサイクル拠点での活動を強化していくことで、資源循環型社会への貢献と脱炭素社会への貢献とを両立していきます。
- ※ キヤノンエコロジーインダストリー運営
デジタルプリンティング事業/資源循環率目標を設定
資源循環率は、プリンティング事業の販売総重量に占める再生材料や再生商品の割合を示す数値であり、2022年度実績約16%に対し、2025年に20%、2030年に50%を目標に設定しました。販売総重量にはキヤノングループ全体での出入りで量を計測し、複合機の新造機や再生機、トナーやトナーカートリッジなども含まれます。
再生拠点においては資源循環率を高めるため、以下の取り組みが行われています。
- 再生資源(鉄、非鉄、プラスチックなど)の分別精度の向上
- 再生機、再生パーツでの再利用部品比率の向上
- 再生材(クローズ)の種類と生産量の増加
これら取り組みは再生の中核拠点であるキヤノンエコロジーインダストリーからキヤノンギーセン、キヤノンバージニアなど海外の再生拠点に展開されてます。
2023年にはリユース・リサイクルの向上活動により、資源循環率は約17%となりました。
資源循環がもたらす価値
キヤノンのリサイクル拠点における取り組みは、資源循環型社会への貢献に加え、脱炭素社会の実現にも貢献するものと考えています。リマニュファクチュアリングによる部品リユースやクローズドループリサイクルによるプラスチックの再資源化により、新たに材料を使用する場合と比較して、原材料調達、輸送で発生するCO2を削減できます。キヤノンエコロジーインダストリーでは、拠点の運営にともない、2023年にはスコープ1、2にあたるCO2を約2,100t排出しましたが、上述の取り組みにより、約11,700tのCO2削減効果を生みだした、と認識しています。
環境配慮設計
限りある資源の有効利用に向けて製品の環境配慮が求められています。キヤノンは開発・設計段階から使用後の回収・リサイクルまでを考慮した製品づくりを行っています。各国・地域の製品環境法規制、グリーン公共調達基準、環境ラベル基準など、製品設計において配慮すべき事項は「環境配慮設計ガイダンス」としてまとめ、製品の長寿命化、メンテナンス性向上、分解容易化設計、分別容易化設計、情報開示など、さまざまな項目において具体的な設計指針を設定しています。
最新鋭の自動リサイクル工場キヤノンエコテクノパーク
これまでのリサイクル工場のイメージを覆す「クリーン&サイレント」をコンセプトにした「キヤノンエコテクノパーク」は2018年2月に開所しました。キヤノンエコテクノパークでは、リサイクルの効率性をさらに高めるため、最新鋭の自動リサイクルラインを整備。「CARS-T:Canon Automated Recycling System for Toner Cartridge」は、使用済みトナーカートリッジをカメラにより選別した上で、破砕して自動的に分別し、主要素材であるHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)を再生するシステムです。各分別工程でさまざまな分離技術を駆使することで、再生プラスチックの選別純度を99%以上※に高めています。「CARS-I:Canon Automated Recycling System for Ink Cartridge」は、使用済みインクカートリッジをカメラにより機種ごとに選別し、解体、粉砕、洗浄の工程を自動化ラインで行います。素材分別された材料は、インクカートリッジの部品や包装材にも再利用されています。製品に戻せない資源は、材料として利用するマテリアルリサイクル、熱利用するサーマルリサイクルなどにより有効利用しています。
- ※ 99%以上:キヤノンが定める選別方法による