資源循環の取り組み
リサイクル

消耗品における取り組み

トナーカートリッジのクローズドループリサイクル

キヤノンは他社に先駆け、1990年から「トナーカートリッジリサイクルプログラム」を継続して行っています。回収した使用済みトナーカートリッジは、キヤノンのリサイクル拠点に集められ機種ごとに選別しています。その後、リユースできる部品は取り出し、必要な洗浄やメンテナンスを施した後に新しい製品の部品として再使用されます。また、リユースできない部品や材料は破砕し、帯電性や比重などの物理的特性を利用して、素材ごとに分別されます。トナーカートリッジの主要素材として主に筐体などに使われるHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)は、くり返しトナーカートリッジの材料として使用するキヤノン独自のクローズドループリサイクルにより、新しい製品に生まれ変わります。こうしたトナーカートリッジの回収は、2024年末現在、世界24カ国で実施され、2024年までの累計回収量は約47.3万t※1となっており、国内外の4拠点※2でリサイクルされています。また、2024年までの累計で新規資源の消費を約34.0万t※1抑制することができました。

  • ※1 OEM製品を含む
  • ※2 日本:キヤノンエコテクノパーク、米国:キヤノンバージニア、フランス:キヤノンブルターニュ、中国:キヤノン大連
クローズドループリサイクルイメージ
クローズドループリサイクル
使用済みトナーカートリッジの回収質量(累計)の推移
使用済みトナーカートリッジの回収質量(累計)の推移
トナーカートリッジ自動リサイクルシステム(CARS-T)

キヤノンエコテクノパークに導入されているトナーカートリッジの自動リサイクルシステム「CARS-T:Canon Automated Recycling System for Toner Cartridge」は、使用済みトナーカートリッジを破砕して、素材の物理特性を利用して素材ごとに自動分別し、選別純度99%以上で再生プラスチックを生産するシステムです。このCARS-Tは、密閉型装置のためトナーの飛散もなく、さらに音も静かなクリーン&サイレントな作業環境を実現しています。

  • ※当社が定める選別方法による。
トナーカートリッジ自動リサイクルシステム(CARS-T)(3分11秒)
  • ※画像をクリックすると動画をご覧いただけます。
インクカートリッジの回収・リサイクル

キヤノンは、使用済みインクカートリッジの回収・リサイクルを1996年から開始、2024年までの累計回収量は2,976tとなりました。日本では、他のプリンターメーカーと共同で「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」を実施、郵便局や図書館などに回収箱を設置しています。また、ベルマーク運動と連動し、学校などでも回収活動を行っています。他の国や地域では、量販店、企業、学校などで回収を行っています。回収されたカートリッジは、主にカートリッジの部品としてクローズドリサイクルしています。

「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の回収ボックス
「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の回収ボックス
使用済みインクカートリッジの回収質量(累計)の推移
使用済みインクカートリッジの回収質量(累計)の推移
インクカートリッジ自動リサイクルシステム(CARS-I)

キヤノンエコテクノパークに導入されている自動リサイクルシステム「CARS-I:Canon Automated Recycling System for Ink Cartridge」は、ベルトコンベアで流れてくる使用済みインクカートリッジをカメラにより自動で識別し、選別することができます。選別後は、解体、粉砕、洗浄までの工程を一貫した自動化ラインで行っています。素材ごとに分けられた材料は、インクカートリッジの部品に再利用されるほか、製品積載用パレット、文房具の材料としても再利用されています。

インクカートリッジ自動リサイクルシステム(CARS-I)(2分28秒)
  • ※画像をクリックすると動画をご覧いただけます。

使用済みトナーボトルの回収・再利用

キヤノンエコテクノパーク(日本)においては1998年から使用済みトナーボトルを回収し、容器そのものの「再使用」、プラスチック材としての「材料リサイクル」を実施しています。

キヤノンブルターニュ(フランス)においては2022年から回収した使用済みトナーボトルにトナーを再充填し、欧州市場に供給するシステムを構築しました。従来以上にプラスチックの使用量を削減できるだけでなく、トナーボトル成形時のエネルギー削減にも貢献します。

複合機由来のリサイクルプラスチックを原料とした3Dプリンター用フィラメントの開発と活用

キヤノンエコロジーインダストリーは、プラスチック資源循環を推進する新たな取り組みとして、リサイクルプラスチック100%の3Dプリンター用フィラメントを開発しました。リサイクルプラスチックの原料は、プラスチック材料として信頼性と実績があり、複合機の外装カバー、カセットなどに多く使われているPC+ABS、HIPSです。キヤノン製品のリサイクルで培った技術を応用し、市場から回収した複合機の外装カバー、カセットを最適な技術を用いて破砕、洗浄、押出成形し、リサイクルプラスチック100%でありながら安定した線径精度のフィラメントの製造が可能になりました。

キヤノンでは、こちらのフィラメントから造形した部品を製品輸送時の保護部材に活用しています。

リサイクルプラスチック100%の3Dプリンター用フィラメント

これまでのリサイクル工場のイメージを覆す「クリーン&サイレント」をコンセプトにした「キヤノンエコテクノパーク」は2018年2月に開所しました。キヤノンエコテクノパークでは、リサイクルの効率性をさらに高めるため、最新鋭の自動リサイクルラインを整備。「CARS-T:Canon Automated Recycling System for Toner Cartridge」は、使用済みトナーカートリッジをカメラにより選別した上で、破砕して自動的に分別し、主要素材であるHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)を再生するシステムです。各分別工程でさまざまな分離技術を駆使することで、再生プラスチックの選別純度を99%以上に高めています。「CARS-I:Canon Automated Recycling System for Ink Cartridge」は、使用済みインクカートリッジをカメラにより機種ごとに選別し、解体、粉砕、洗浄の工程を自動化ラインで行います。素材分別された材料は、インクカートリッジの部品や包装材にも再利用されています。製品に戻せない資源は、材料として利用するマテリアルリサイクル、熱利用するサーマルリサイクルなどにより有効利用しています。

さらに再生プラスチック材料の生産拡大に向けて黒色の樹脂が選別可能なラマン分光選別装置(キヤノン製)を2024年秋に導入しています。本装置は2024年10月に開催された「サーキュラー・エコノミーEXPO」に出展し、装置に投入されたプラスチック片に、レーザー光を照射して一つひとつ認識することでそれぞれの位置や色を計測し、対象のプラスチック片をエアジェットで選別する実演をしました。

  • ※99%以上:キヤノンが定める選別方法による
トナーカートリッジ自動リサイクルライン「CARS-T」
トナーカートリッジ自動リサイクルライン「CARS-T」