資源循環の取り組み
廃棄物削減

事業拠点における廃棄物削減の取り組み

廃棄物の発生抑制についてキヤノンは、廃棄物の分別・回収による再資源化や廃棄物自体の発生抑制に取り組むなど、廃棄物排出量の削減活動を推進しています。特に、生産拠点における廃棄物の排出は各拠点の生産工程または部門ごとに、廃棄物の発生と関連の大きい要素を特定し、予実管理を徹底することで、廃棄物削減の取り組みを継続しています。キヤノンプラチンブリタイランドでは生産中に発生するプラスチック端材のリサイクル、キヤノン大連においては研削液の濾過処理による循環再利用に取り組んでいます。また、福島キヤノンや取手事業所では、排出時における廃棄物データの自動収集・集計システムを導入し、排出職場の按分が容易になるなど、効率的な削減活動に取り組めるしくみづくりにも取り組んでいます。

2024年の廃棄物総排出量は9万3,942tとなり、2023年とくらべ9.6%の増加となりました。

廃棄物総排出量の推移
廃棄物総排出量の推移
  • ※ 回収した使用済み製品の廃棄は除く
  • ※ 主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています
廃棄物の社内循環利用と社外再資源化の取り組み

キヤノンでは、事業活動にともない発生する廃棄物の発生抑制、再使用、再資源化を積極的に推進し、循環利用ができない廃棄物は法律などの定めに従い適正に処理しています。社内循環利用としては、射出成形工程におけるプラスチック廃材を擬木ベンチとして再利用し、社内備品としてのリサイクルなど、各事業拠点でさまざまな工夫をしています。キヤノンから社外に排出せざるを得ない廃棄物についても資源ごとに再資源化処理を委託し、埋め立て処理はしていません。2024年は9万2,229tの再資源化処理を委託しました。

  • ※ 行政の管理にもとづき処理される一部の事業系一般廃棄物を除く

資源の効率的利用に向けた取り組み―リサイクルトナーペレットの活用―

キヤノンバージニアは道路舗装会社Basic Construction社と共同でカートリッジ内の残トナーを用いたリサイクルトナーペレットを配合した新たなアスファルト材料を開発しました。リサイクルトナーペレットは、主成分であるポリマーがアスファルトの強度を向上させるほか、価格が高騰する従来のアスファルト材の代わりに用いることができます。開発されたアスファルト材はバージニア州の公道で使用されており、資源の有効活用と経済合理性の両立を達成しています。

アスファルトに添加されるリサイクルトナーペレット
アスファルトに添加されるリサイクルトナーペレット

使い捨てプラスチック削減に向けた取り組み

キヤノンは製品梱包材について、使い捨てプラスチックの代替に努めています。

脱プラスチック包装材の取り組み

イメージンググループでは新たに設計する小型製品の包装材のシングルユースプラスチックを2030年までに全廃することを目標としています。2023年発売の「PowerShot V10」を皮切りに、「EOS R5 Mark II」「RF35mm F1.4 L VCM」などアクセサリー類を含め、24機種で脱プラスチック包装を実現しています。(2024年度発表製品)

  • ※ 石油由来のプラスチック。ラベル、コーティングや接着剤に用いる材料は除く。
「EOS R5 Mark II」では、植物由来の不織布や紙を採用し、梱包時に使用されるプラスチックを削減
「EOS R5 Mark II」では、植物由来の不織布や紙を採用し、
梱包時に使用されるプラスチックを削減

Vlogカメラ”PowerShot V10”では、従来、製品本体を保護する緩衝材や付属のケーブルなどの包装に使用していた、プラスチック製のトレイや袋に代わり、段ボール、植物由来の不織布や紙素材を使用することで、シングルユースプラスチックを削減し、環境への負荷を 軽減しています。

Vlog カメラ”PowerShot V10”の事例
Vlog カメラ”PowerShot V10”の事例

このような取り組みが、電気・機器包装において、包装合理化・改善などに著しく貢献したと評価され、”PowerShot V10”は公益社団法人 日本包装技術協会が主催する「2023日本パッケージングコンテスト」において、「電気・機器包装部門賞」を受賞しました。

日本パッケージコンテスト

日本における優れたパッケージおよびその技術を開発普及することを目的として、公益社団法人 日本包装技術協会が主催し、毎年コンテストを開催しています。

Vlog カメラ”PowerShot V10”の事例
Vlog カメラ”PowerShot V10”の事例

“RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM”では、キヤノンのレンズ製品で初めて、植物由来の不織布や紙を原材料とする包装材を使用する工夫を行っています。

レンズ“RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM”の事例
レンズ“RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM”の事例

2024年に発売した製品では、インクジェットプリンター15製品でパルプモールドを使用し、オフィス向け複合機「imageFORCE C7165」や大判インクジェットプリンターimagePROGRAFシリーズで段ボール紙を使用しています。また、一部のレーザーカートリッジの梱包材でも段ボール紙を使用しています。

  • ※ アジア(台湾を除く)は非対応
インクジェットプリンター パルプモールド材
インクジェットプリンター
パルプモールド材
大判インクジェットプリンター 段ボール紙材
大判インクジェットプリンター
段ボール紙材
レーザーカートリッジ 段ボール紙材
レーザーカートリッジ
段ボール紙材

段ボール紙の使用においては、発泡スチロールと同等の機能を保持するために、段ボール紙の使用量が増えて梱包材の重量が増える課題がありました。そこで、機能を満足しつつ使用量の削減を行い、廃棄物量の削減と輸送時のCO2排出量削減に向けて、より軽量な組立式の段ボール紙梱包形態への切り替えに取り組んでいます。

組み立て式の段ボール紙梱包
組み立て式の段ボール紙梱包

キヤノン電子ではドキュメントスキャナーR10、P-215Ⅱ、DR-M140IIの梱包材を発泡スチロールから堆肥化・リサイクル可能な紙に切り替えました。

ドキュメントスキャナーR10の事例
ドキュメントスキャナーR10の事例
ドキュメントスキャナーDR-M140IIの事例
ドキュメントスキャナーDR-M140IIの事例

また、ドキュメントスキャナーのローラー保護材をプラスチックから堆肥化・リサイクル可能な紙に切り替え、ベンダーから納入される際のドキュメントスキャナーの電源コード用のポリエチレン製の個装袋を廃止やACアダプター用は、バイオマスポリ袋に切り替えました。

ドキュメントスキャナーローラの事例(DR-C230,C240,M160II,M260,S130,S150,R40,RS40,R50,SF400)
ドキュメントスキャナーローラの事例
(DR-C230,C240,M160II,M260,S130,S150,R40,RS40,R50,SF400)
ドキュメントスキャナー電源コード/ACアダプター個装袋の事例
ドキュメントスキャナー電源コード/ACアダプター個装袋の事例
  • ドキュメントスキャナー電源コード/ACアダプター個装袋の事例
    (DR-C230,C240,M160II, M1060II, M140II, M260,S130,S150,R30, R40,RS40,R50,SF400)

さらに、キヤノンは、業種を超えた幅広い関係者の連携とイノベーションの加速により海洋プラスチック問題の解決をめざす官民連携のアライアンスである「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」に参画しています。今後もCLOMAと連携し、プラスチックの使用削減、リサイクルしやすい製品・技術・システムの開発などを推進していきます。

バイオマスプラスチックおよび再生プラスチックの活用

卓上電卓「HS-1220TUB」「TS-122TUB」と小型卓上電卓「LS-122TUB」では植物資源を原料としたバイオマスプラスチックと廃棄プラスチックを原料とした再生プラスチックを採用しています。このほか日本のエコマークやバイオマスマークの認定を取得しているほか、環境省が定めるグリーン購入法にも適合しており、製造時の環境負荷を低減しています。

  • ※ 2000年に制定された、国を中心として環境に配慮した商品調達を推進する法律
12桁卓上電卓「HS-1220TUB」
12桁卓上電卓「HS-1220TUB」

キヤノンオプトマレーシアはセランゴール州環境局と協力し、シャーアラム国立植物園にて、環境問題への関心を高めるため世界環境デーにイベントを開催しました。リサイクルバッグを合計500枚、来場客へ配布し、使い捨てプラスチック使用抑制を訴求しました。

キヤノンオプトマレーシアのプラスチックバスターズ
キヤノンオプトマレーシアのプラスチックバスターズ