社会文化支援活動
取り組み
主な取り組み
青少年の創造性と表現力を育む「Canon Young People Programme」
キヤノンヨーロッパは、欧州・中東・アフリカ地域でNGOと連携し、「Canon Young People Programme(CYPP)」を通じて恵まれない環境にある若者を支援しています。本プログラムは、SDGsに沿ったビジュアルストーリーテリング(視覚的にものごとを伝えること)とクリティカルシンキング(ものごとの本質を見極め判断すること)を育み、写真・映像表現を学ぶ機会を提供することで、持続可能な未来の実現をめざしています。
これまでに累計1万人の若者が参加したCYPPは、2025年に10周年を迎えました。英国ノーサンプトン大学の社会的影響とイノベーション研究所(ISII)による調査では、CYPPが世界中の若者、コミュニティ、パートナー組織に重要かつ持続的な影響を与えていることが確認されています。
ISIIの評価によると、CYPPはビジュアルストーリーテリングとスキル研修を通じて、若者が地域の社会・環境課題に取り組み、リーダーシップを育成し、新たなキャリアパスを探求する力を養っています。過去10年間で、36か国・40以上のパートナーと協力し、卒業生は地域のリーダー、起業家、変革の担い手として活躍しています。
CYPP卒業生の声
CYPPは、2020年にWild Shots Outreach (WSO)を通じて私に初めてカメラとの出会いをもたらしました。そのとき、私は写真を通じてすぐに自分の能力や可能性、そして情熱を見つけることができました。写真は、写真そのものだけでなく、野生動物保護や自分自身について学ぶための新しい世界への扉を開いてくれたのです。そしていま、CYPPは10周年を迎え、私はプログラムリーダーとして活動しています。この立場で、私と同じようなアフリカのコミュニティ出身の若者たちを指導し、励まし、力を与えることができます。私の使命は、CYPPを通じて物語を変えること、若者に声を与えること、そして写真と野生動物保護をより多様で包括的なものにすることです。
WSOプログラムリーダー
アフリカ地域において技術力向上と雇用創出をめざす「Miraisha Programme」
アフリカでは、若者の失業率が深刻な問題となっています。また、写真・映像の撮影や印刷需要が高まる一方、そのスキルが国際水準に達しておらず、ビジネスの大半を外国企業が担っているという現状があります。こうした状況を受け、キヤノンセントラルアンドノースアフリカは、写真・映像撮影や印刷産業におけるアフリカ地域の若者の技術力を向上させ、雇用拡大をめざす「Miraisha Programme」を進めています。「Miraisha」とは、日本語の「未来」とスワヒリ語の「マイシャ(生活)」を組み合わせた造語です。
地元政府機関や教育団体、イベント主催者、キヤノンアンバサダーに選ばれたプロの写真家、トレーナーと協業し、写真・映像撮影や印刷分野のワークショップをアフリカ全土の13カ国で実施しています。
2025年には、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、モロッコで行われ、300人が参加し、累計でのべ7,900人がトレーニングを受けました。また、地元の写真家や映像制作者をキヤノン認定のMiraishaトレーナーとして育成する指導者養成プログラムも実施しています。2025年までに21人がMiraishaトレーナーとしてアフリカ全土で働いており、そのうち3人がキヤノングループの社員として採用されています。
隆起印刷技術を活用したインクルーシブな取り組み
キヤノンヨーロッパは、世界を新しい視点で見ることに挑戦する「World Unseen」を欧州各地で展開しています。2024年にスタートしたキャンペーンでは、キヤノンのイメージング技術とプリンティング技術によって、目の不自由な人も写真体験ができる写真展を実施しました。セバスティアン・サルガド氏など著名な写真家による作品を、キヤノンの技術を活用し、インクの厚みで立体感を表現できるUV硬化型大判フラットベッドプリンターで印刷し、触って味わうことができるようにしています。
2025年、欧州・中東・南アフリカ地域で、さまざまな写真展が継続的に開催され、来場者に新たな体験と感動を提供してきました。この展示手法は、他の主要な展示会にも影響を与え始めています。海洋写真コンペティション・展覧会「Ocean Photographer of the Year」では、2025年にロンドンとケープタウンでの展示で、キヤノンの隆起印刷技術が採用されました。
地球環境保護の重要性を伝える教育・研究プログラム「Eyes on Yellowstone」
キヤノンUSAは、世界的に有名な米国のイエローストーン国立公園の公式パートナーとして活動する非営利団体Yellowstone Foreverに製品と資金を提供し、絶滅危機に瀕した野生動物の保護のための調査活動を支援しています。
特に、教育・研究プログラム「Eyes on Yellowstone」では、キヤノンの映像機器を使用して生態観察を行い、自然環境や絶滅危惧種の保護に努めています。デジタル化された映像ライブラリーは、同団体のWebサイトで配信され、世界中の数百万人に及ぶ人々の教材として地球環境に関する知識や保護の重要性を認識するために役立てられています。
2025年、キヤノンの4K屋外リモートカメラが、オールド・フェイスフル・ガイザー(間欠泉)のライブストリーミングにおいて、バイソンの群れがグリズリーベアを追い払う様子をとらえました。
インドにおける多角的な支援「4E's Project」
キヤノンインディアは、NGO「Humana People to People India」と連携し、オフィス近隣の貧しい村を対象に「アイケア(Eye Care)」「教育(Education)」「環境(Environment)」「自立支援(Empowerment)」の側面からさまざまな支援を行う「4E's Project」を実施しています。
特に、アイケア分野は、キヤノンが重点事業戦略の一つに掲げ、強化・拡大を図るメディカルグループの技術を生かし、視覚障がい者を救済する眼科医療の充実に努めています。インドの視覚障がいの多数を占める白内障はその8割が予防や治療が可能といわれているにもかかわらず、医療のインフラが十分に整っていないため適切な検査や治療を受けられないという課題があります。そこで、対象となる村に「ビジョンセンター」を開設し、キヤノンの眼科機器を使用した検診を提供しています。
2025年は5,746人が訪れ、うち707人に無償で眼鏡を提供したほか、408人がさらなる診療のために病院で受診しました。また、4E's Project全体としては、2万1,000人以上が参加しました。
アジアの教育支援
キヤノンでは、アジア各地で次世代を担う子どもたちの教育支援を行っています。
中国では、子どもたちの学ぶ権利を尊重し、就学機会を提供するための「キヤノン希望小学校」をこれまでに11校設立し、教育環境の改善に取り組んでいます。
ベトナムでは、子どもたちの学習環境向上のため、校舎の建設や机や椅子の提供、学用品の寄贈などを行う「Canon Friendship School Chain Project」を2007年より継続して行っています。2025年は、ベトナム東北部の山岳地帯にある貧困地域に55校目となる学校を開校しました。
またタイでも、貧困地域の児童たちが質の高い教育を快適に受けられるよう、社員が学校を訪問し、施設の修繕、生徒のID写真撮影サービス提供のほか、キヤノン製品や日用品を寄贈するなど、教育支援のボランティア活動を継続的に実施しています。さらに、恵まれない公立学校の児童を対象に、科学技術への関心を育むことを目的とした科学館での校外学習を行いました。
キヤノン(株)では、子ども用品・絵本・生活雑貨など未使用品、リユース品を集めて行う社内バザー「チャリティ・グッズ・フェア」を開催しました。収益金はマッチングギフト制度により会社から同額の寄付金を上乗せした上で、ミャンマーやラオス、カンボジアなどのアジア地域の教育・医療を支援する団体に寄付しました。
他社と協業し、それぞれの強みを生かした教育支援
キヤノンマーケティングジャパングループは、ぺんてると協働で、建て替えや統廃合により取り壊される小学校を対象に、校舎での最後の思い出づくりをサポートする「校舎の思い出プロジェクト」に2014年から取り組んでいます。児童が校舎全体をキャンパスとして絵を描き、その様子を児童がデジタルカメラで撮影したものを大判ポスターにして寄贈しています。両社の強みを生かして児童の思い出づくりを支援し、芸術分野での意識醸成や、地域活性化にも貢献しています。2025年は、8校で実施しました。
日本古来の文化財を未来に継承する「綴プロジェクト」
キヤノン(株)は、2007年から特定非営利活動法人京都文化協会とともに文化財未来継承プロジェクト、通称「綴(つづり)プロジェクト」を実施しています。
日本古来の貴重な文化財には、歴史のなかで海外に渡ったものや国宝として大切に保管されているものなど、鑑賞の機会が限られている作品がたくさんあります。綴プロジェクトでは、キヤノンのイメージング技術と京都伝統工芸の匠の技によって、オリジナルの文化財に限りなく忠実な高精細複製品を制作しています。制作された複製品は、寄贈先での一般公開や学校教育の現場など、さまざまな場面で活用されています。
2025年はスミソニアン国立アジア美術館の門外不出の名品、「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」の複製を独立行政法人国立文化財機構へ、クリーブランド美術館所蔵の「南蛮屏風」の複製を長崎県へ、同美術館所蔵の「桐竹鳳凰孔雀図屏風」の複製を大阪府和泉市へ、それぞれ寄贈しました。さらに、能登半島地震の復興支援として、京都・総本山智積院所蔵の国宝「楓図」を石川県七尾市へ寄贈し、市内小中学校にて訪問授業を実施しました。
また、青森県中泊町の旧家「宮越家」の離れ「詩夢庵」にある襖絵「春景花鳥図」が英国の大英博物館所蔵の襖絵「秋冬花鳥図」と一連の作品であると発表されました。そこで、2018年に綴プロジェクトで談山神社に奉納した「秋冬花鳥図」の高精細複製品を宮越家にて特別展示し、春と秋の特別公開で約6,000人が来場しました。
石川県七尾美術館 学芸員の声
2025年9月、能登半島地震復興支援として、綴プロジェクトの「楓図」高精細複製画をご寄贈いただき、心からお礼申し上げます。受贈式の報道をご覧になった七尾市民や被災されたみなさまからも、喜びやお祝いの言葉をいただきました。
「楓図」は豊臣秀吉が3歳で夭折(ようせつ)した長子・鶴松のために建立した祥雲禅寺から、京都市・智積院に受け継がれた金碧障壁画群の代表的作品で、作者は能登七尾出身の絵師・長谷川等伯です。豪華な金箔地を背景に、左右に枝を伸ばした楓の巨木は、桃山時代の栄華を映し出し、一方、その前面に描かれた秋の草花は、まるで鶴松が寂しがらないようにと可憐に咲き誇ります。
本物の金箔にこだわり、近づいても胡粉(ごふん)※が盛り上がって見えるほどの高精細技術で見事に再現された当複製画は、教育委員会などと連携した子どもたちへの教育事業、文化財普及活動や等伯作品のさらなる魅力発信に活用させていただきます。
- ※ 貝殻を原料とする、日本の伝統的な白色顔料
石川県七尾美術館
学芸員
ラグビーを通した社会への貢献
キヤノン(株)は、ラグビーというスポーツを通してスポーツファンや地域のみなさまに「感動」をつくり出し共有することをめざし、ジャパンラグビーリーグワンに所属する横浜キヤノンイーグルスを運営しています。
社会貢献活動として、全国の小中学生および高校生を対象に、イーグルスの現役選手・スタッフによるキャリア教育授業やタグラグビー教室を実施し、ラグビーを通してチームプレーの大切さや体を動かす楽しさなどを体験してもらうことで、子どもたちの健やかな成長に貢献できるよう努めています。
2025年は小学校29校でキャリア教育授業とタグラグビー教室を開催し、生徒3,018人が参加したほか、チームの練習拠点であるキヤノンスポーツパーク(東京都)にて、地域のラグビースクールを招待し「ミニラグビー交流大会 イーグルスカップ2025」を開催しました。
学術・研究を通じた社会への貢献
「キヤノン財団」を通じた人類の持続的発展に貢献する研究助成活動
キヤノン財団は、科学技術の発展への貢献を目的に2008年に設立され、キヤノンの事業活動にとらわれることなく、幅広い分野で科学技術研究を助成しています。社会の新しい価値をつくり出すことをめざし、先端の科学技術に挑戦する研究を支援するというコンセプトのもと、「善き未来をひらく科学技術」「新産業を生む科学技術」という2つの研究助成プログラムを実施しています。
これまで16期17年間で250件、約46億円の研究助成を行ってきました。1件平均は「善き未来をひらく科学技術」では約3,000万円、「新産業を生む科学技術」では、約2,000万円と比較的高額な研究助成を萌芽期の研究や、まだ実績の多くない若手研究者などに行い、特徴のある研究助成財団として日本全国の大学や研究機関に認知されています。
「善き未来をひらく科学技術」では、未来社会に予見される社会課題を解決するための革新的な科学技術研究を助成します。2025年は、「水と緑と微生物の調和を実現する植物の水利用効率制御技術の開発」をはじめ計3件が選出されました。
「新産業を生む科学技術」では、世の中でまだ知られていない新しい産業の創出につながる革新的、独創的な科学技術研究を助成します。2025年は、「希少難病疾患の迅速AI創薬実現に向けた基盤研究」と「高温環境で動作可能な大規模集積回路(LSI)」など計12件が選出されました。
また2025年は、これまで研究助成を受けた3名の研究者より、においや味といった感覚機能のもつ潜在力に触れながら、最先端の研究成果と、社会課題解決へのアプローチの紹介を一般者向けにオンラインにて開催しました。当日は、10代から60代まで幅広い世代の方々が参加し、多くの質問や感想が寄せられ科学の有用性や面白さを共有しました。
人類が直面する課題解決への貢献をめざす「キヤノングローバル戦略研究所」
キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)は、2008年に一般財団法人として設立された非営利の民間シンクタンクです。
グローバリゼーションの時代にあって、世界において日本がどうあるべきかという視点から、現状を分析し、戦略的な提言を発信しています。具体的な研究領域として、「マクロ経済」「エネルギー・環境」「外交・安全保障」を3つの柱としています。
「マクロ経済」の領域においては、広いパースペクティブで、いかに健全な経済成長を図れるかを研究します。また、グローバル経済の担い手にアジア、特に中国が加わるなかで、どのような経済分析手法があるのか、どのような政策策定メカニズムが望ましいのかなどを研究します。
「エネルギー・環境」の領域においては、本質的には経済成長の制約要因となり得るこれらの問題を、いかに成長に転化できるのかという動態的なとらえ方にもとづいて研究します。
「外交・安全保障」の領域においては、我が国が果たす役割を喫緊の課題から長期の対応まで、今後どのように考えるべきかを研究します。
このほか、医療制度や農林業、財政・社会保障、中国経済など、幅広い課題と現状、将来についての政策論議を深めています。CIGSは、こうした活動を通じてグローバルな知識のネットワークを構築し、新たに生みだされるさまざまな萌芽を次の世代に継承しています。
その他の主な社会文化支援活動
人道・災害支援
寄付
2025年1月にロサンゼルス近郊で発生した火災の被災地支援のため、米国赤十字社を通して100万ドル(約1億5,600万円)を寄付しました。また、7月に発生したテキサス州の洪水、9月と10月に発生したフィリピンの地震、11月に東南アジアで発生した洪水などに対しても支援を行いました。
国連の支援活動への協力
国連UNHCR協会※1主催、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所協力にて開催した「難民映画祭」に協賛しました。また、国連WFP協会※2の支援活動への協力も行っています。
- ※1 UNHCRの日本の公式支援窓口
- ※2 WFP国連世界食糧計画の日本の公式支援窓口
地域社会活動
乳がん撲滅チャリティーウォーク
キヤノンUSAは、American Cancer Society(アメリカがん協会)が主催する乳がん撲滅チャリティーウォークに協賛し、2025年で27年目を迎えました。集められた資金は、アメリカがん協会に寄付され、乳がん研究、教育、患者サービスなど多くの活動のために使われています。
キヤノンUSA (Walking for American Cancer Society)
食料寄付活動
キヤノン(株)下丸子本社をはじめ、国内外のグループ会社で、必要としている団体に食料を寄付するフードドライブおよびフードバンクの活動を実施しています。
教育・学術支援
ジュニアフォトグラファーズ
自然をテーマとした写真撮影会を通じて、子どもたちの環境に対する意識を高め、豊かな感性を育むことを目的としたプロジェクト。2025年は22カ所で写真教室を開催し、614人が参加しました。
芸術・文化・スポーツ支援
みんなの笑顔プロジェクト
キヤノンマーケティングジャパングループは、2012年1月より、東日本大震災の被災三県(岩手県・宮城県・福島県)を対象に、復興・創生推進活動として「写真を楽しもう」をコンセプトに掲げた「みんなの笑顔プロジェクト~Smile for the Future~ 」を実施しています。2025年は、三県に加えて東北地区全域の20カ所でプロジェクトを開催し、子どもから大人まで幅広い人たちが写真撮影や写真プリントを体験しました。
大分国際車いすマラソン
世界で初めての車いすだけのマラソンの国際大会としてスタートした大分国際車いすマラソン大会に、キヤノン(株)はオフィシャルパートナーとして大会を支援しています。また、多くのグループ社員がボランティアとして大会運営に協力しています。