労働安全衛生と健康経営
取り組み

労働安全衛生

労働災害の防止

2025年は、キヤノン(株)および国内グループ会社では、機械装置起因の挟まれ・巻き込まれによる災害が4件発生しました。また、有害性の高い化学物質起因の休業災害は2件発生しました。労働災害が発生した場合には真因究明を実施し、職場担当者への再教育や装置の操作性改善を行うなど、教育と設備の両面で再発防止策を講じています。さらに発生拠点内で同様のリスクがないかリスクアセスメントを含めた安全総点検を実施しています。また、災害の情報は速やかに生産拠点を中心としたグループ会社に共有し、類似災害の再発防止を図っています。

キヤノングループ労働安全衛生マネジメントシステムの効果的な運用の推進

キヤノンは、各拠点での自律的な安全衛生活動の推進をめざし、中央労働災害防止協会方式の労働安全衛生マネジメントシステムの要求事項をもとに、キヤノン(株)の基準やルールなどを確認項目に反映した「キヤノングループ労働安全衛生マネジメントシステム」を各国・地域で展開しています。さらに拠点間の相互監査を行うことで、さまざまな問題対応策や好事例の水平展開を図っています。

また、2025年末時点で、キヤノン(株)および国内外グループ生産会社のうち、約34%がISO45001を取得しています。

ISO45001認証取得状況(188KB)

リスクアセスメントの深化と効果的な活用

キヤノンでは、労働災害の未然防止のため、すべての作業と機械装置を対象に、グループ共通の管理基準によるリスクアセスメントを実施しています。事故や疾病のリスクが高い作業を漏れなく洗い出し、適切なリスク低減措置や残留リスクの管理を行っています。なかでも機械装置起因の事故を重大なリスクととらえ、既存事業における年に1回以上の定期的な見直しを行っています。また、新規事業においては研究開発段階からリスクの特定・評価を行い、その評価結果にもとづく安全対策を実施しています。

グループ共通の管理基準によるリスクアセスメント実施に向けて、アセスメント手法の理解を深めるための教育や、職場管理者および作業責任者などを対象としたeラーニングを行っています。また、リスクが特定された場合には関係するすべての作業者に対し、リスクの通知と教育を実施し、作業内容の理解・習得度を確認しています。

啓発・教育の充実による安全衛生意識の向上

キヤノンは、労働災害が発生した場合、国内全拠点および海外生産拠点に直ちに情報を配信し、原因と対策をイントラネットにて公開することで、類似災害発生の未然防止を図っています。

また、労働災害撲滅に向けて、リスクアセスメントを実施する職場の全管理職に対して研修を行うとともに、リスクアセスメントに携わる従業員を対象として、アセスメントの目的や手順の理解促進に向けたeラーニングを実施し、2025年までに累計で27,582人が受講しました。

このほか、つねに安全衛生を意識する職場風土の醸成に向けた活動に取り組んでいます。たとえば、キヤノン(株)および国内グループ会社では、安全衛生教育の実施、オリジナルの啓発ポスターやリーフレットの掲示・配付などにより、作業時の基本的な安全行動の確認・励行の啓発を行っています。

海外においても、日本と同レベルの労働安全衛生管理体制の構築をめざし、主に生産拠点を中心に活動を展開しています。たとえば、各拠点の従業員が母国語で理解できるように、キヤノン(株)が日本語・英語・中国語・ベトナム語で作成した作業手順書や安全衛生教育用教材、ポスターやリーフレットなどを海外各拠点の実情にあわせて有効に活用しています。キヤノンベトナムでは、危険を疑似体験して安全の重要性を実感できる体感型教育施設「安全体感道場」や、リスクアセスメント活動、気づき提案制度などを通じて、従業員の安全衛生意識を高め、危険の芽を事前に摘み取る活動を精力的に展開しています。

安全作業を促すため中国語で作成した「保護具着用」ポスター
安全作業を促すため中国語で作成した「保護具着用」ポスター
ベトナム語で作成した「転倒注意喚起」ポスター
ベトナム語で作成した「転倒注意喚起」ポスター

自律的な化学物質管理体制への移行

キヤノンは、化学物質の適正な管理のため、法令遵守に努めるとともに、従業員の健康障害防止を最優先に化学物質リスクアセスメントの結果を踏まえ、化学物質のばく露低減対策を図ってきました。昨今の安全衛生関係法令などの大規模改正に対しても、従来の物質ごとの個別規制による化学物質管理から、ばく露防止措置を自ら選択して実施する「自律的な化学物質管理」への移行を着実に進めています。事業所ごとの化学物質管理者の選任や、作業者が適切な保護具を着用するため、職場ごとに保護具着用管理責任者を選任するなど、化学物質管理のさらなる管理水準向上を推進しています。

健康経営

健康経営戦略マップ

健康経営の推進にあたっては、ウェルビーイングの向上を最終的なゴールとし、以下の健康経営戦略マップにて具体的な施策と期待される効果を可視化することで、ストーリーを明確にし、施策の実効性を高めています。

メンタルヘルス対策

キヤノンでは、国内グループ会社でのメンタルヘルス対策として、4つのケア(セルフケア、管理職によるケア、産業保健スタッフによるケア、外部機関によるケア)と一次~三次予防を組み合わせた各種プログラムを展開しています。具体的には、休復職を含む不調者支援プログラムの整備、人事や健康支援担当者の能力向上研修などを実施しています。

企業のメンタルヘルス状況を把握するストレスチェックは、高い受検率を維持しており、2025年はキヤノン(株)で96.9%となりました。高ストレス者に対しては産業医面接に加え健康相談などの個別支援を行っています。さらに、集団分析の結果を上司にフィードバックするほか、従業員意識調査の結果もあわせて職場との懇談会を実施しています。また、職場の支援力を向上させるため、管理職に向け、メンタルヘルスeラーニングを実施し、受講対象者の9割以上が受講しています。

健康経営戦略マップ
健康経営戦略マップ

生活習慣病予防

キヤノン(株)および国内グループ会社のすべての従業員へ年に1回の定期健康診断を実施し、統一した数値基準や措置基準のもと個別フォローや教育を行うなど重症化予防を徹底しています。

健康診断で得られた従業員のデータ分析をもとに施策の重点項目や優先順位を決定しています。たとえば、健診データ分析から、メタボリックシンドロームの発症要因として短時間睡眠、喫煙、早食いなどの影響が明らかになりました。喫煙については、キヤノン(株)と国内グループ会社では敷地内全面禁煙を実施し、禁煙セミナーやオンライン禁煙プログラムなどの施策を継続しています。

また、特定保健指導の該当者には、健康保険組合と連携し専門会社による保健指導を実施した結果、メタボリックシンドローム該当者、特定保健指導対象者ともに減少傾向となっています。

がん対策

がん対策では、従業員の健康意識を高め、がん検診受診率向上と治療支援を通じて、安心して働ける職場づくりをめざしています。まず、がんの早期発見・早期治療のため、がん検診制度の活用を推進しています。キヤノン(株)および国内グループ会社ではがん検診受診率の目標値を70%と定め、受診率向上に向けてさまざまな施策を実施しています。具体的には、キヤノン健康保険組合による費用補助や健康支援スタッフによる定期的ながん検診予約会の開催など、従業員が受診しやすい環境を整えています。その結果、2025年3月末のがん検診受診率はキヤノン(株)で52%となりました。また、各種セミナーの開催や情報発信などの啓蒙活動を通じて、がん予防や早期発見の重要性を周知し、従業員の健康意識向上に努めています。近年では、ピンクリボン活動に特化したオンラインセミナーの配信など、「女性の健康」に関する取り組みを強化しています。さらに、がん治療を受ける従業員が安心して働き続けられるよう、相談窓口を設置するなど、治療と仕事の両立を支援しています。

産業医の声

キヤノンの健康支援は、「健康第一主義」と「三自の精神」の相互作用を基盤に、経営層・社員・健康支援部門がそれぞれの役割を果たすことで成り立っています。健康診断や従業員データを分析し、科学的根拠にもとづいて施策を立案し、優先度を設定することが重要です。また、組織の健康度を可視化したレポートの配信をはじめ、健康行動を促すしくみづくりにも力を入れています。個人や組織の能力が最大限に発揮され企業の成果を生みだすこと、社員一人ひとりが健康で幸せに働くことを実感できることが、キヤノン式健康経営であると考えています。

秋山 恭平 キヤノン(株) 周辺機器事業本部
髙田 洋孝
キヤノン(株)
人事本部 統括産業医

ヘルスリテラシーの向上

キヤノン(株)および国内グループ会社では、8つの健康行動目標「Canon Health ActioN Goals 8」(こころ、がん、運動、食事、体重、睡眠、飲酒、禁煙)を推進しています。

健診結果や健康行動の実施データを組織ごとに集計した「健康レポート」を作成し、職場が自律的に活動できるような取り組みを実施しています。特に、睡眠については、睡眠ハイリスク者への個別アプローチや、グループ会社を含む全社員を対象に啓発を行い、睡眠の改善だけでなく、健診結果の改善などにも役立てています。その他にも、ICTによる情報配信やウォーキングイベントなどの開催を継続実施しています。さらに、階層別・年代別などのeラーニングを実施し、各年代の特徴や健康課題、自己管理のポイントを学習する機会を設けています。

海外グループ会社においても、国内同様の健康支援を実施し、各地域の特性に応じた独自の取り組みを実施しています。キヤノンハイテクタイランドやキヤノンUSA、キヤノン中国などにおいては、健康診断に関する産業医セミナーの開催や各種健康に関する啓発活動を行っています。

また、キヤノン健康保険組合の「キヤノン・ヘルスコール」では、国内に限らず海外赴任者およびその家族も含めてさまざまな相談に24時間電話対応できる体制を整えています。

Canon Health ActioN Goals 8

感染症対策

キヤノン(株)では、海外への出張者および出向者に対し、渡航前にHIV、マラリアを含む感染症について、厚生労働省検疫所の感染症情報を参考にeラーニングなどでの教育を行っています。さらに、厚生労働省検疫所および外務省の情報にもとづき、渡航先の国や地域に応じた各種予防接種を会社負担で推奨しています。

請負労働者に対する健康教育

日本では、全国的に屋内外作業場における熱中症の発症率が高まっていることから、キヤノン(株)では、請負労働者に対する熱中症予防教育を継続するとともに、作業環境面での予防対策も実施しています。

社外からの評価

キヤノン(株)は、これまでの労働災害防止や安全・健康の増進のための取り組みが評価され、厚生労働省が主催する2024年度「SAFEアワード」の「安全な職場づくり部門賞」を受賞しました。

また、創業当時より掲げている「健康第一主義」にもとづき、長きにわたる先進的な健康支援の取り組みを続けていることが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門(ホワイト500))」に9年連続で選定されました。その他、社員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業として、スポーツ庁が主催する「スポーツエールカンパニー」に認定されました。

SAFEアワード / 健康経営銘柄 / スポーツエールカンパニー