心臓病学に革命をもたらす高精細CT装置のメインビジュアル

放射線や造影剤によるリスクを低減し、患者さんの負担を軽減

心臓病学に革命をもたらす高精細CT装置

解像度の高い臨床画像で、画像診断の可能性を切り拓くキヤノンの高精細CT装置。米国のジョンズ・ホプキンス病院との装置に関する共同研究を通じて、これまでの常識を覆す高精細や高速性能を実現しています。より正確な診断のサポートや患者さんの負担軽減などにより、人々の健康と社会に貢献していきます。

  • ※ Computed Tomography(高精細コンピュータ断層撮影。以下、CT)

目次

Profile
ジョンズ・ホプキンス病院のジョアン・リマ先生の画像

ジョンズ・ホプキンス病院
医師、医学士(心臓病学)

ジョアン・リマ先生

Profile
ジョンズ・ホプキンス病院のアルミン・アルバーブ・ザデ先生の画像

ジョンズ・ホプキンス病院
医師、医学士、公衆衛生学修士(心臓病学)

アルミン・アルバーブ・ザデ先生

ジョンズ・ホプキンス病院の取り組み・思い

CT装置に関する共同研究のパートナーとして、キヤノンを選んだ背景を教えてください。

ザデ先生:

ジョンズ・ホプキンス病院は1889年の設立以来、人々の健康の維持・向上に貢献することをめざしていますが、そのためには、高度な技術を提供してくれる産業界のパートナーが必要です。

リマ先生:

当時、私たちはカテーテルを使わずに冠動脈※1を撮影する技術を探していました。2002年のアメリカ心臓協会の学会で、キヤノン※2の装置で撮影した画像を目にし、すぐにその装置の導入について話し合いを始めました。これがパートナーシップの原点です。

ザデ先生:

多くの場合、大学や研究機関などの学術界では公衆衛生への貢献を、産業界では利益への貢献をめざすといったように、それぞれの目的が異なります。しかし、人々の健康に貢献するという共通の理念のもと、キヤノンは革新的な「技術」を提供し、ジョンズ・ホプキンス病院はその新技術の検証に必要な「研究」を提供するという、互いの役割分担にもとづいた協力関係を私たちは築いてきました。20年以上にわたって相互尊重の念を育んできた、素晴らしいパートナーシップだと感じています。

  • ※1 心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を供給する主要な血管
  • ※2 当時の東芝メディカルシステムズ。2018年に「キヤノンメディカルシステムズ株式会社」に社名変更

課題

心臓病の専門医としてCTなどの画像診断装置に求める要素は何ですか?

リマ先生:

心筋梗塞の原因となる動脈硬化の指標である「プラーク※3」を正確に視覚化し、定量化できることです。従来は、CT装置での撮影中に心臓が動くと画像が乱れる「モーションアーチファクト」が生じやすいことが問題でした。また、検査中の被ばく量を考慮する必要があるほか、患者さんの身体に細い管を入れるカテーテル検査では、鮮明な画像を得るために100~120mlの造影剤を投与することで腎臓に負担がかかることがありました。

  • ※3 血管の壁にコレステロールや脂質などが付着・蓄積してできるかたまり。血液が通る部分が狭くなる原因の一つ

キヤノンのCT装置の強み

キヤノンのCT装置がもたらすメリットを教えてください。

リマ先生:

キヤノンのCTの強みは二つあり、一つ目は「広い撮影範囲」です。 幅の広い320列×0.5mmの検出器を備えた製品では心臓全体を1回転で撮影できるため、放射線量は従来の5分の1にまで低減しました。 二つ目は「解像度」です。高精細検出器「0.25mm」という従来の装置よりもはるかに高精細なCT装置も開発され、極めて細い冠動脈を正確にとらえることができます。解像度が向上したことでカテーテル検査を行う際の造影剤の量も従来の半分以下で済むようになり、患者さんの負担が飛躍的に軽減しています。

320列CT装置によって1回転で撮影し、再構成した心臓部位の臨床画像
320列CT装置によって1回転で撮影し、再構成した心臓部位の臨床画像
ザデ先生:

卓越した「速さ」です。高精細画像を1秒未満で撮影できるため、呼吸や心拍の変動による「モーションアーチファクト」を最小限に抑えられます。呼吸器疾患や高齢などで息止めが難しい患者さんにとって大きな利点です。また、短時間で検査を終えられるため、患者さんの負担を軽減でき、医療従事者のワークフローも効率化されます。

導入後の効果

キヤノンの高精細CT装置は、臨床現場でどのように役立っているのでしょうか?

リマ先生:

患者さんの身体に負担のかかるカテーテルを使わずに、鮮明な冠動脈の画像を撮影できるようになったことは、心臓病学における革命です。従来は、診断のためにカテーテル検査を行うことが一般的でしたが、高精細のCT画像でプラークが確認され、「バルーン治療※4」が最善であると判断された患者さんに限定してカテーテル検査を行えるようになりました。また、放射線や造影剤によるリスクが低減したことは、女性や若い患者さんにとっては大きな安心材料です。かつては妊娠や出産への影響を懸念してCT血管造影検査を敬遠する女性が多くいましたが、現在では男性と同水準にまで増えたことは大きな成果です。

  • ※4 先端に小さな風船(バルーン)が付いたカテーテルを体内に挿入し、血管を内側から膨らませて血液の流れを改善する治療法

今後の展望

ザデ先生:

心臓CT検査の分野に劇的な変化をもたらす、フォトンカウンティングCT(以下、PCCT)に期待しています。この分野で最先端の技術を提供してくれることで、より高解像度・広範囲の撮影と放射線量の低減を両立した理想的なシステムを実現してくれることを望んでいます。

リマ先生:

PCCTでは、単に超高精細な画像が得られるだけでなく、心筋の組織情報も取得できるようになります。心筋への血流量、心臓の瘢痕(はんこん)化※5や浸潤性疾患※6の有無など、これまでのCT装置では得られなかった高度な情報を得ることができるようになります。PCCTが、より多角的な情報を提供してくれることに期待しています。

  • ※5 心臓の筋肉(心筋)が損傷を受けることで、死滅した細胞が硬いかさぶたのような線維化組織に置き換わる現象。心機能の低下につながるリスクがある
  • ※6 本来心臓には存在しない異常なたんぱく質や悪性の腫瘍細胞が心筋組織のあいだに広がっていく疾患。重症化すると心不全につながる可能性がある
高精細CTの前で撮影した、リマ先生とザデ先生の集合写真