テクノロジー

商品に入る技術画像映像から情報の価値化を行う技術

  • デジタル信号を利用目的にあわせて最適に変換する技術
  • キヤノンのイメージング機器の性能や付加価値の向上に貢献

2025年8月25日

「画像映像から情報の価値化を行う技術」とは

「画像映像から情報の価値化を行う技術」とは、センサーがつくり出したデジタル信号を利用目的に応じて最適に変換することで、カメラ、プリンター、医療機器などのイメージング機器の付加価値を向上させるキヤノン独自の技術です。
人の感覚で判断していた画像映像の色味や明瞭さ、ノイズ感などの画質を数値的にとらえるようにし、画像データが見たままを忠実に表現できているかを計測する「画質定量化」、画像データを高画質化することで画像自体の価値を高める「画像鮮明化」、画像データに含まれる特徴を解析し、人物を特定するための情報や文字情報などを正確に認識し取得する「画像認識」、さらに、世界中の多様な機器やサービスと相互に情報を伝えることを可能にする「規格化・標準化」。これらの技術を目的に合わせ組み合わせることで、製品の性能や付加価値の向上に貢献しています。


デジタル信号を利用目的に応じて最適に変換し、製品の価値を向上させる技術

キヤノンの「画像映像から情報の価値化を行う技術」の強み

キヤノンの「画像映像から情報の価値化を行う技術」の強みは、人の感覚や経験に頼らず安定的に、人の目が感じる色を忠実に再現したり、人の目で見るよりも鮮明に表現したり、画像内の情報を取得したりできる点です。これは、カメラのような入力機器からプリンターのような出力機器まで、幅広い製品開発を通じて色の再現性や画像の鮮明さなど、より付加価値のある画像生成にこだわって研究を続けてきたキヤノンだからこそ進化、蓄積されたきた技術です。主要な技術の一つに、ネットワークカメラ等で撮影した映像を最新の画像処理技術で鮮明化する「画像鮮明化技術」があります。たとえば、監視映像で夜間・遠方、悪天候など難しい条件下でISO感度を上げて撮影すると、ノイズが多く入ってしまいます。そこでキヤノンではディープラーニングでノイズのみを認識して除去する技術を開発。これにより、人の目では見えづらい環境でも、人間の視覚レベルを超える鮮明な映像をつくり出すことで、人々の安全・安心を支えます。


※ISO感度とは、カメラに入る光をどれだけとらえるかを示す指標。ISO感度を高く設定することで、暗い場所での撮影時にカメラに入る光を増やし、明るく写すことが可能になる。



ディープラーニングを活用し、暗闇で撮影された画像のノイズを除去

活用事例:
人の目が感じる色を再現するスーパーカラーマネジメント

人の感覚を正確に測る「画質定量化技術」が印刷現場で必要とされています。
同じものを印刷しても、プリンターの機種や用紙が異なると色味が一致しないため、複数のプリンターで印刷した際に、色にばらつきが出ていました。印刷物の色を数値で管理するカラーマネジメントは国際標準として規格化されていますが、数値は合っていても、異なる色に見える場合があります。「従来測定されてきた色の物理特性」に加えて、「人はどのように色を感じているのか」まで踏み込んだのが、キヤノンのスーパーカラーマネジメントです。カメラやディスプレイ、プリンターなどの開発を通じて、色について重ねてきた長年の研究を生かし、人が感じる「色のものさし」を開発。「色のものさし」にもとづき、目で見たときの印象に近い色を割り当てます。また、印刷する画像を分析し、出したい色とプリンターで表現できる色を照らし合わせ、より印象が近くなるように処理。複数のプリンターを使い、異なる拠点で印刷される多種多様な印刷物において、色の統一感を実現し、印刷のワークフローを大きく変えることが期待されています。


さまざまなプリンターで作成するオリジナルグッズの色味を統一

活用事例:
高精細な画像の取得と撮影時間の短縮を両立するAI画像再構成技術

大きな磁石による磁場と、ラジオに使用されるような電波によって体内の臓器や血管を撮影するMRI(磁気共鳴画像)は、放射線被ばくがないことが特徴ですが、身体の内部断面をさまざまな方向から撮影して画像にするため、検査に30分近くの時間がかかります。撮影が長時間になると患者さんが検査中に動く可能性が高まり、高精細な画像の取得が困難になります。そのため、MRIでは、高精細な画像取得と撮影時間の短縮の両立という課題がありました。
キヤノンは、この課題の解決をめざし、CTで培ってきた技術を応用し、高精細化技術「Precise IQ Engine(PIQE)」を開発。PIQEとは、先進的なAI技術によって画像を高精細に再構成する技術であり、高精細化の過程で発生するノイズも低減することができます。高精細化によって従来よりも解像度の高い画像をつくることができるだけでなく、ノイズ低減によって同じ解像度であっても鮮明な体内の組織画像を取得できることで、撮影時間を3分の1に短縮することを可能にしました。


ノイズ除去と高精細化を実施することで画質の向上と撮影時間の短縮を両立

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技術紹介PDF「キヤノンフロンティア」

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