「目的に忠実な画像映像を描く技術」とは
「目的に忠実な画像映像を描く技術」とは、紙の上に鮮やかな画像を描く、ガラス基板の上に微細な回路を描くなど、さまざまな「描く」を可能にする技術です。プリンティング分野では、1970年に国産初の複写機「NP-1100」を発売して以来、オフィス用から家庭用まで、多様な種類の紙の上に細かな文字や高精細な画像を「描く」複写機・プリンターを提供してきました。インダストリアル分野でも、ウエハーやガラス基板に微細な回路を「描く」露光装置を開発・製品化。イメージング分野でも、カメラ用の電子ビューファインダー(EVF)など表示画面上に画像映像を「描く」製品を展開しています。このようにキヤノンは事業多角化のなかで、描く対象物の種類や大きさを変えながらさまざまな「描く」製品を実現してきました。

キヤノンの「目的に忠実な画像映像を描く技術」の強み
キヤノンの「目的に忠実な画像映像を描く技術」の強みは、種類や大きさなど幅広い対象物に高速、正確、精密に描くことができる点です。「描く」ための基本技術は、集約すると、情報を実体化する「材料技術」、情報を出力する「デバイス技術」、高速で正確に駆動する「光学・精密機構技術」、情報を正確に補正する「画像処理技術」の4つに分類できます。これらの個々の技術を組み合わせることによって、製品の競争力を高めています。たとえば、自社開発のインクジェットプリンターのヘッドに最適なインクを材料から開発することで、性能を最大限に発揮させることができます。また、複合現実を表示するヘッドマウントディスプレイでは、高精細な有機ELデバイスを製造する技術、鮮やかな色を表現する有機EL材料技術、実際の空間に仮想空間を正確に重ね合わせる画像処理技術などを組み合わせることで、製品のパフォーマンスを最大限に引き出しています。
活用事例:
グループ一体で開発したナノインプリントリソグラフィ半導体製造装置用レジスト
グループが一体となって技術を持ち寄って実現した「描く」技術の例として、ナノインプリント半導体製造装置(以下、NIL)で使われるレジストの開発があります。
NILでは、液滴状にしたレジストを回路パターンに合わせてシリコンウエハー上に塗布し、その上から電子回路が刻まれたマスク(型)を押し付け、剥がすことで、ナノレベルの線幅の半導体回路を描きます。押し付けたマスクを剥がすときに、形成した回路パターンが壊れることがあるために、レジストと装置の相性は重要です。キヤノンは、装置に最適化したレジストをつくるため、グループ会社であるキヤノンナノテクノロジーズ(米国テキサス州)が開発を担い、福井キヤノンマテリアルが材料を試作・生産し、キヤノンで実機評価をするという連携体制をとっています。開発したレジストは、液滴がウエハー表面に広がるスピードがより速いため、液滴に巻き込まれる気泡を消失させる時間を大幅に短縮。生産性を従来の3倍に高めました。


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