光学プラットフォームとは
「光学プラットフォーム」とは、キヤノンが創業以来蓄積してきた光学技術の進化の結果を基盤技術として体系化したものです。キヤノンの事業多角化の軸となってきた光学技術は、つねに競争力のあるコア技術として進化してきました。扱う光は、可視光はもちろん、短波長側はX線、長波長側は赤外線にまで及び、さらにはテラヘルツ波の領域まで拡大しています。関連する製品もカメラの交換レンズからプリンター、さらには半導体露光装置にまで広がっています。光の性質も最初は光線として扱っていたものが、波動光学として波の性質を扱うようになり、さらには粒子としての性質も利用できるようになっています。
また、光学系に使用されるレンズは単なる球面形状から、複雑な非球面形状を設計・製造できるようになり、回折(DO)素子と呼ばれる微細な構造で光を制御する技術も開発され、ミラーレスカメラ用交換レンズにもこの技術が搭載されています。

活用事例:
さまざまな用途への活用が期待される光学技術-メタレンズ
「メタレンズ」とは、なかなか聞きなれない言葉ですが、従来のレンズの機能や性能を超え、光の波長よりも小さいサイズの微細な形状で光を制御するレンズです。キヤノンでは、直径3mm、厚さ1mmにも満たないシート状のメタレンズの開発に成功しました。通常のレンズとは異なり、シート表面に約7,000万本もの微細な円柱構造を形成し、その太さや並べ方、高さを工夫することで、光が進む方向を制御します。
これまでに実現したメタレンズは、高度な光学理論と、キヤノンが保有するナノインプリントリソグラフィという最先端の加工技術を融合してつくりあげたユニークなものです。薄く小さいメタレンズ1枚で、複数枚のレンズ群を代用できるだけでなく、光の進む方向を自由自在に変化させられるという性質を生かし、超小型もしくは薄型のレンズやXR機器などへの活用が期待され、光学関連領域におけるキヤノンの競争優位性を高めています。

