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画像解析(PIQE) 画像解析(PIQE)

MRI画像の高画質化と検査時間短縮の両立

MRI画像高精細化技術

MRIでは、高精細な画像を撮影するためには、長時間での撮影が必要で、患者さんの負担となっていました。
キヤノンでは、高精細な画像を短時間で撮影できるとともに、正確な診断が可能な技術の開発を進めています。

2023/10/16

MRI撮影時のトレードオフ

画像診断装置であるMRI(磁気共鳴画像)は、磁気の力を利用して体内の臓器や血管を撮影する装置です。放射線被ばくがないため、診断や治療、研究など幅広い分野でニーズが高まっています。
しかしながら、CT(コンピューター断層撮影)が比較的短時間の撮影で画像が取得できるのに対し、MRIは身体の内部断面をさまざまな方向から撮影して画像にするため検査に時間がかかり、一般的には30分近くの時間を要してしまいます。
撮影が長時間になると患者さんが検査中に動く可能性が高まり、高精細な画像の取得が困難になります。MRIの撮影では、高精細な画像取得と撮影時間の短縮はトレードオフ(両立しない関係)にあります。そのため、キヤノンではこの課題の解決をめざす技術の開発を進めてきました。

進化を続ける高画質化技術

キヤノンは、2019年にディープラーニング※1を活用したMRI用のノイズ除去再構成技術「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(以下、AiCE)」を開発。その後、医療現場からのさらなる高精細化、撮影時間の短縮へのニーズに対応するとともに、2023年にはその解決をめざした「Precise IQ Engine(以下、PIQE)」を搭載したMRIを発売しました。

  • ※1 ディープラーニングは、設計段階で用いており、製品自体に自己学習機能はありません

PIQEを搭載したMRI

PIQEを搭載したMRI

AiCEはディープラーニングを活用し、ノイズ除去に特化した技術ですが、PIQEはAiCEで培ってきた技術に、高精細化する技術を加えて画質をさらに進化させました。

PIQEは、縦横それぞれ3倍の解像度※2(9倍の画素数※3)の画像をつくることができるため、従来と同じ解像度の画像であれば、撮影時間を3分の1に短縮することも可能です。

  • ※2 1画素の大きさ。
  • ※3 画像を構成する画素の数。

PIQEはノイズ除去と高精細化を実施することで画質を向上

PIQEはノイズ除去と高精細化を実施することで画質を向上

加えて、高精細化の過程で発生するアーチファクト(実際とは異なる画像)の低減処理も行うことで、同じ解像度でありながらより鮮明な体内の組織の画像を取得できます。
このようにPIQEは、高精細画像の撮影と撮影時間の短縮というトレードオフの解決に寄与しています。

キヤノンは、つねに医療現場の声に耳を傾けながら、そのニーズに対応するとともに、創業以来培ってきた画像処理技術、さらにはものづくりの技術と組み合わせて、患者さんに寄り添うことを考え続けていきます。

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