商品を支える技術
デバイスプラットフォーム
- キーデバイスの開発や生産で培った技術を体系化した技術基盤
- 「光電変換技術」などを進化させ、高付加価値製品の創出に貢献
- 幅広い製品群への展開で新製品のさらなる開発期間の短縮を実現
目次
デバイスプラットフォームとは
「デバイスプラットフォーム」とは、キヤノン製品のキーデバイスの開発や生産で培ってきた技術を全社で活用できるように体系化した技術基盤です。
半導体デバイスは、製品の中枢機能である制御・処理・変換などを担っており、製品の機能や性能を具現化する役割を果たしています。そのため、半導体デバイスの性能や品質は、製品の価値を大きく左右します。
キヤノンでは、半導体デバイスの開発や生産に必要な技術基盤を長年にわたり磨き上げてきました。なかでも「光電変換技術」、「MEMS技術」、「発光材料成膜技術」を進化させ、高付加価値製品を生み出してきました。
これらの技術やノウハウを全社で横断的に活用できるデバイスプラットフォームとして体系化し、製品の中核であるキーデバイスを自社で量産に結びつけることで、競争力の強化につなげています。たとえば、カメラのセンサー開発で培った技術を応用し、暗い夜道やトンネルの出口など明暗差の大きな環境でも被写体を撮影可能なカメラ用センサーを開発・安定供給しています。また、カメラの電子ビューファインダー開発で創出した先進技術を商業印刷機や複合機など幅広い製品群へ迅速に展開することで、新製品のさらなる高性能化と開発期間の短縮を実現しています。
活用事例:CMOSセンサーで培った技術を応用した高感度SPADセンサー
光電変換技術とは、キヤノンがCMOSセンサーなどの開発で培ってきた、文字通り「光を電気に変換する技術」です。キヤノンでは、この光電変換技術を応用し、従来のCMOSセンサーとは原理の異なるSPADセンサーを開発しました。
詳しくは、テクノロジーサイト「SPADセンサー」をご覧ください
SPADセンサーは、光を受ける領域と光を増倍する領域の設計が性能を大きく左右します。従来のSPADセンサーはこれらが一体構造であったため、受光面積を大きくするとノイズの要因となる増倍領域も大きくなるという問題がありました。
キヤノンはCMOSセンサーの開発で培った画素設計技術を応用し、受光領域と増倍領域を最適化した独自の画素構造を開発しました。その結果、広い受光面積を確保しながら増倍領域を小さく抑え、高感度化と低ノイズ化を両立しています。
この独自の画素構造により、キヤノンのSPADセンサーは高感度と高画素を達成しており、0.1ルクス※の低照度環境でも120m先の歩行者を検知できます。これらの特長により、監視、車載、産業、医療など、多様な分野での活用が期待されています。
- ※月明かりの夜の明るさの目安は約0.2ルクスです。
活用事例:電子ビューファインダーで培った有機EL技術を応用した複合機の露光システム
キヤノンでは、レンズ交換式カメラの電子ビューファインダー向け有機ELを独自開発し、高輝度・高画素・高発光効率を実現しています。この技術をデバイスプラットフォームとして体系化することによって、カメラ以外の製品への応用を進めています。その一例がオフィス向け複合機の露光システムへの展開です。従来のオフィス向け複合機は印刷データにあわせて、レーザー光で電荷状態を変化させ、目に見えない電気の模様を形成し、その上にトナーを付着させることで、文字や画像を再現していました。一般的な露光方式ではミラーを用いながらレーザー光を高速に動かし、一行ずつ照射して画像を描く方式が主流でした。この方式は高精度な描画が可能である一方、回転機構などの機械部品を必要とするため、小型化やさらなる高精細化において制約がありました。
そうした中で、キヤノンでは有機EL技術を応用した新たな露光方式「D2 Exposure」(ディー・スクエア・エクスポージャー)を開発しました。有機ELは電流を流すことで自発光し、微細な画素単位で光を制御できます。この特長により、従来のように光を動かして描く方式ではなく、ライン状に配置された発光素子によって一括で露光できるようになりました。
これにより、装置の小型化を図りながら、高解像度と高速性の両立を実現しました。さらに、高密度に配置された発光素子を精密に制御することで、高精細な描画品質も達成しています。