キヤノンサイエンスラボ

シャボン玉はなぜきれい?

虹色に光るシャボン玉は、なぜあのように見えるのでしょう。
ガラスや水面がキラキラ光るのとはまた違った、不思議な美しさです。
波の性質を持つ光は、「回折」します。この波の性質があるため、複数の波が重なり合うと「干渉」という現象も発生します。
シャボン玉の美しい虹色は、膜の表面で反射する光と内面で反射する光が互いに干渉しあって、光がより強調されたりしているためです。その色は、見る方向や大きさ、膜の厚さで変わります。

「干渉」すると波形が変わる

光に限らず、波はもうひとつの波と出会うと、強めあったり、弱めあったりします。これが「干渉」です。ふたつの波が同じかたちで同じ動きをしているとき(位相が等しいとき)、波の山と山が出会えば山の高さは2倍になり、谷と谷が出会えば谷の深さも2倍になります。これが、180度位相がずれて振動している波と出会うと、山と谷が重なり合うことになり、山も谷も打ち消しあって振幅はゼロになります。 山と山、谷と谷が重なれば明るく、山と谷が重なれば暗く見えることになります。

波が重なりあって「干渉」する

同じ方向に進む複数の波が重なりあうとどうなるでしょうか。水面を伝わる波のように、光の波も重なりあい、お互いに波を強めあったり、弱めあったりして、また別の模様を作るのです。この現象を「干渉」といいます。例えば、シャボン玉がキラキラ見えるのは、シャボン玉の表面と裏面で反射する光が干渉しているため。波の干渉でも、条件がそろうと、図のようにきれいな図形になります。

写真:回折波の重ね合わせ

光の干渉を実験で確認する

波である光の「干渉」を実験で確認したのは、ヤング(イギリスの物理学者:1773-1829)です。ヤングは、ひとつの光源から出た波長が同じ光をふたつに分けて、それらが互いに重なり合うようにし、スクリーン上に明暗の干渉縞を確認しました。縞は、光波の山と山、谷と谷の重なりで明るく、山と谷の重なりで暗くなっています。 ふたつの波がよく干渉することを「コヒーレント」、まったく干渉しないことを「インコヒーレント」といいます。

ヤングは同一の光源から出る光を使ったのでコヒーレントな状態を作り出せました。シャボン玉遊びでは多数の光が干渉しますが、遊ぶ人からはインコヒーレントにしか見えない、色のない玉も発生します。 ちなみに、レーザーはコヒーレントな光を出すという特徴をもっています。

レンズや油膜にも虹色が見える

コーティングしてあるレンズの表面、水たまりに浮かんだ油膜にも虹色が見えます。これも光の干渉によるものです。 レンズのコーティングは、レンズの表面反射を防ぎ透過光を増やす目的でほどこされています。透明の薄い膜です。膜は、その厚さ、屈折率を計算して、ある波長の光(設計波長)において、膜の表面からの反射光と膜とガラスの境界面からの反射光が干渉して打ち消しあうように設計されます。しかし、設計波長と異なる光に対しては必ずしも反射率0%にはできず、それらの光が赤紫や青色となってカラフルに見えるわけです。 水面に浮かんだ油膜も条件は違いますが、同じく干渉した光の波のしわざです。

ホログラフィーは回折と干渉を利用している

立体的な物体を、まるでそこにあるかのように光で描き出す方法に「ホログラフィー」があります。美術館や博物館での展示や、インテリアなどに使われていますので、その不思議で幻想的な像を鑑賞したことがあるでしょう。 このホログラフィーは、光の回折と干渉をうまく利用したものです。作るにはいくつかの方法がありますが、一般的には、完全にコヒーレントな光である「レーザー光」が使用されています。

撮影は、レーザー光をビーム・スプリッターでふたつに分け、一方の光で物体を照らし、そこから反射した光(回折光)と同時に、一方の光(参照光)を斜めに乾板にあてます。回折光と参照光は干渉しあって模様となり、これが乾板上に記録されます。 この記録された模様がホログラムで、これに参照光と同じ角度で同じレーザー光を照射すると、模様がレーザー光を回折して像が再生されます。図のように、一部は実像を結び、一部は虚像を結びます。