光の速度は、常に一定です。
「何もない空間では、どの慣性系でも光は一定の早さで進む」のです。光を“単位”から見てみましょう。
光速は、公式などでは「c」という記号で表されます。
光速c=2.99792458×108m/秒
この速度は、どんなスピードで運動している人が計測しても、誰が計測しても、変わりません。また宇宙で最もスピードが速いものです。このことを発見したのはアインシュタインです。
光速は、常に一定。これが、等速運動についての『特殊相対性理論』の基礎となっています(『一般相対性理論』は加速度運動についての相対論です)。この「光速度不変の原理」により、光速は、長さや時間の“究極の”基準として使われるようになりました。特殊相対性理論では、エネルギー(E)と質量(m)の同等性も発見され、E=mc2という公式もみちびかれています。光速cの「秒速2.99792458×108m」とは、秒速29万9792.458kmになります。
光は、秒速約30万kmのスピードであるということです。地球と月は38万km離れていますから、光は1.3秒くらいかかって届いていることになります。太陽は1億5000万km離れていますから、いま見ている光は、約8分前に太陽を出発した光です。光が1年かけて進む距離「1光年」は9.5兆kmです。
長さの基礎単位は1mです。長さの単位の基準は、昔は人の歩幅や腕の長さで規定されていました。科学技術が進歩するに連れて正確な長さの単位が必要となり、1799年にはフランスで地球の大きさに基づいて定義されました。そこで、北極から赤道までの距離の1000万分の1を「1メートル」としたのです。これが「標準メートル」です。
現在、標準メートルは、「一定の速度で一直線に伝わる」光の性質を利用して定義し直されています。光速に合わせた「光が2億9979万2458分の1秒間に進む距離」が1mなのです。この単位規定によって、遠方の目標物までの距離を光で正確に測定することもできます。レーザー光を利用して月までの距離を測定すると、誤差30cm以内という非常に正確な測定ができます。時間の基礎単位、1秒の定義は、セシウム133原子が発するレーザーの波長で定義されていますが、レーザー光や宇宙からの光も、正確な時間の計測に応用されています。
光が、長さや時間の基準になっていることがわかると、気になるのは光自身が重さをもっているのかということです。光は、波であると同時に粒子でもありますが、その粒子、光子(フォトン)の重さはどのくらいなのでしょうか。結論からいうと、光子は質量をもちません。光子は、質量ゼロ、電荷をもたず、スピン(自転)の値が1という粒子なのです。光子は、重さがないので遠くへ飛びます。また、量子力学では、光子は電磁力の仲立ちをすると考えられています。そんな光子ですが、特殊な例としては、「エバネッセント光」(光のしずく)の場合、極小の物体にまとわりつき、質量があるかのような振る舞いをすることがあります。
1900年、プランク(ドイツの物理学者・1858-1947)は、振動している電子は飛び飛びのエネルギーをもつ電磁波を放出するという説を発表しました。それまでは連結的に電磁波のエネルギーは変化し、無限に小さく分割できると考えられていたのです。プランクによると、振動数に比例したエネルギーが放出されます。この比例定数6.62607015×10-34が「プランクの定数」(h)と呼ばれるもので、(振動数)×(プランクの定数)は、「エネルギー量子」と名付けられました。
一方、これを光の粒子としてながめてみると、ある振動数の電磁波は、(振動数)×(プランクの定数)のエネルギーをもつ光子の集団とみなすことができます。光子は質量ゼロの粒子ですが、きちんとエネルギーをもち、したがって運動量ももっているのです。