ニュースリリース

2007年12月25日
株式会社日立製作所
キヤノン株式会社
松下電器産業株式会社

液晶ディスプレイ事業における日立、キヤノン、松下の基本合意について

株式会社日立製作所(以下、日立)、キヤノン株式会社(以下、キヤノン)、松下電器産業株式会社(以下、松下)は、本日、液晶ディスプレイの事業、技術のさらなる強化、発展を目的に、包括的な提携を行うことで基本合意しました。今回の合意により、視野角や色再現性をはじめ優れた性能を持ち、世界的に高く評価されているIPS技術をはじめ、高度な液晶関連技術を持つ日立と、カメラ・プリンター・医療機器分野で強みを発揮するキヤノン、テレビ分野のグローバルリーダーである松下が緊密な連携による相乗効果で、最先端のディスプレイ技術の開発やその応用製品の拡大を加速していきます。
また、今回、日立の100%子会社として中小型液晶パネル事業を行っている株式会社日立ディスプレイズ(取締役社長:井本 義之/以下、日立ディスプレイズ)について、日立からの株式譲渡により、キヤノンと松下がそれぞれ株式の24.9%を、規制当局からの許認可の取得を条件に、2008年3月31日までに取得することを3社間で基本的に合意しました。これにより、日立の日立ディスプレイズへの出資比率は50.2%となります。今後は、3社で詳細の協議を進めてまいります。

現在、液晶パネルは、携帯電話やテレビ、PCをはじめ、デジタルカメラ、ゲーム機、プリンター、車載端末など、多分野に用途が拡大しており、世界的に需要が高まっています。一方で、パネルメーカーにとっては、事業競争の激化により、高品質な液晶パネルを安定的に低価格で提供することが求められており、継続的な先端技術の開発と先行投資が必要となっています。

こうした状況下、日立は、液晶パネル事業について、その技術をさらに進化させるべく、キヤノン、松下との事業提携を強化し、各社との協創によって最先端の液晶パネル技術の開発を促進することとしました。日立は、高画質・広視野角といったパネル特性が世界的に高く評価されているIPS技術をはじめ、高度な液晶関連技術を保有しており、キヤノン、松下と連携することにより、先端的な技術開発を加速します。また、セットメーカーとして、最先端の液晶パネルを活用した世界最薄の液晶テレビの開発や超薄型液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」をはじめ液晶テレビの競争力強化を図ります。さらに、日立グループとして安定的な高収益構造を確立するため、経営リソースの最適配分を図ることにより、経営方針に掲げる「協創と収益の経営」を推進していきます。

キヤノンは、日立ディスプレイズへの資本参加によって、液晶パネルの安定的な調達の道筋を作ることにより、開発期間短縮や性能強化を含めた製品開発力を高め、デジタル一眼レフカメラをはじめ、高品質の中小型液晶パネルを使用する民生分野・事務機分野・医療分野等の各種製品事業を一層強化していきます。また、これまで続けてきた有機ELディスプレイの開発を、高度なディスプレイ技術を保有する日立グループと共同で行うことにより、大きく加速させていきます。
キヤノンでは、生活や産業のあらゆるシーンにおいて、入力から出力まで、また、静止画から動画まで、キヤノンの機器が高度に連携して、映像や情報を意のままに活用できる「クロスメディアイメージング」の実現を見据え、各種ディスプレイの開発をさらに推進していきます。

松下は、主力とするPDP事業の一層の拡大・強化を図ってまいります。さらに、テレビ用大型IPS液晶パネルの設計・製造・販売会社である、日立ディスプレイズや松下、キヤノンなどが出資する株式会社IPSアルファテクノロジ(取締役社長:米内 史明/以下、IPSアルファ)の事業運営への関与を深めると共に、日立グループと連携しながら松下が中核となってIPSアルファの次期工場の建設を進めることで、液晶パネルの安定調達を図ります。これにより、「IPSαパネル」の優れた性能とコスト力を活かし、PDPと併せて「VIErAシリーズ」として薄型テレビ全体の商品競争力を高めていきます。将来的にはIPSアルファの次期工場で有機ELディスプレイへの展開を視野にいれ、薄型テレビ事業における垂直統合型ビジネスをより積極的に推進していきます。松下は、薄型テレビ事業の開発力・生産力を一層強化して、ますます多様化するお客様のニーズにきめ細かくお応えし、世界の薄型テレビ市場を牽引していきます。

さらに、次の段階として、3社は、今後、日立ディスプレイズについては、中小型液晶パネルユーザーとして多くのノウハウを持つキヤノンが過半数の株式を、IPSアルファについては、テレビ分野で世界トップクラスの松下が過半数の株式を、それぞれ取得することも含めた資本構成の変更を予定しています。

■IPS技術について
IPS技術は、日立が1995年に発表し、1996年に実用化した横電界(In-Plane-Switching)方式のTFT液晶技術です。液晶分子が横電界によって、TFT基板に平行な面で回転するため、視野角や色再現性、中間調での応答速度などに優れた性能をもちます。IPS技術の内容は、次のホームページをご参照ください。
http://www.hitachi-displays.com/

■日立ディスプレイズの概要
1. 会社名 株式会社日立ディスプレイズ
2. 代表者 取締役社長 井本 義之(いもと よしゆき)
3. 設立 2002年10月1日
4. 資本金 352億7,450万円
5. 出資比率 [現在]日立製作所100%
[2008年3月末(予定)]日立製作所50.2%、キヤノン24.9%、
松下電器産業24.9%
6. 所在地 東京都千代田区神田練塀町3番地
7. 事業内容 中小型液晶パネル及び関連製品の設計、製造、販売、保守・サービス等
■IPSアルファテクノロジの概要
1. 会社名 株式会社 IPSアルファテクノロジ
2. 代表者 取締役社長 米内 史明(よない ふみあき)
3. 設立 2005年1月1日
4. 資本金 1,000億円
5. 出資比率 日立ディスプレイズ50%、松下電器産業30%、東芝15%、
DBJ新産業創造投資事業組合2%、キヤノン2%、その他1%
6. 所在地 千葉県茂原市早野3732番地
7. 事業内容 IPS液晶パネルの設計、製造、販売、保守・サービス等