ニュースリリース

2016年7月5日
キヤノン株式会社

FOWLPへの対応力と生産性を高めたi線ステッパー
“FPA-5520iV”を発売

キヤノンは、先端パッケージ市場において、高い解像力と重ね合わせ精度で定評のある半導体露光装置「FPA-5510iV」(2011年7月発売)の後継機種として、FOWLP※1向け機能の強化と生産性のさらなる向上を実現した半導体露光装置“FPA-5520iV”を7月5日より発売します。

  • ※1Fan Out Wafer Level Packageの略。パッケージ技術の一種。基板レス、パッケージ面積がチップより大きく多ピンのパッケージへの対応が可能などのメリットがある。

FPA-5520iV

おもな特長

モバイル市場における小型化・省電力化の流れに伴い、半導体チップの高集積化・薄型化への要求が一段と高まっています。この要求を満たす次世代パッケージ技術として、FOWLP技術が注目されています。同技術は、プロセッサーやメモリーなどさまざまな機能を持つ異種半導体チップを同一パッケージ内で接合したSystem in Package(SiP) を薄く製造できる技術で、半導体デバイスの高集積化・薄型化を低コストで実現する技術として期待を集めています。
“FPA-5520iV”は、高い解像力(1µm※2:オプション適用時)と高い重ね合わせ精度(0.15µm)を継承したうえで、 従来機種よりもFOWLPで課題となる再構成基板※3の反りやチップの配列ばらつきへの対応力強化と、生産性のさらなる向上を実現しました。これにより、技術進化と多様化が急速に進むパッケージ市場における多様なニーズに応えます。

  • ※21µm(マイクロメートル)は、100万分の1メートル(=1000分の1mm)。
  • ※3前工程で製造されたウエハーから個片化された複数の半導体チップを、配列し、樹脂でウエハー形状に固めた基板。

次世代パッケージ技術の量産課題を解決

FOWLP技術で使用される再構成基板は、大きく反った形状をしています。新製品では、搬送システムと基板ステージの吸着方式を全面的に見直すことで、基板の形状変化に柔軟に対応し、精度の高いパターニングを可能としました。薄い再構成基板から通常のシリコンウエハー、ガラスウエハーを貼り合わせた厚い基板まで、多様な基板に対応します。

先端後工程用i線ステッパー※4として最高水準の生産性を実現※5

後工程で使用される厚膜フォトレジストは、高い露光量を必要とします。新製品は従来機種に対して30%照度を向上させることにより、露光時間を短縮し、ウエハーの処理能力を20%※6高めています。今後ますます生産量の拡大が期待される、後工程メーカーの生産性向上に貢献します。

  • ※4水銀ランプ波長365nmの光源を利用した半導体露光装置。1nm(ナノメートル)は10億分の1メートル。
  • ※5同等クラスのi線ステッパーにおいて。2016年7月4日現在。(キヤノン調べ)
  • ※6従来機種「FPA-5510iV」比、露光条件:300mmウエハー、60ショット、10000J/m2での単位時間当りのウエハー処理数。

半導体露光装置の市場動向

微細化による高集積化の進展が行き詰まっている半導体デバイス製造においては、微細化に代わる手段の1つとして、多様なパッケージ手法による高集積化が提案されています。このパッケージ市場はTSV※7やPillar Bump※8など技術進化と多様化の動きが加速しています。なかでも、FOWLPは最有力技術として注目を集めており、後工程メーカーでの量産化の動きが活発化しています。“FPA-5520iV”は後工程量産における市場ニーズに対応していきます。

  • ※7Through Silicon Viaの略。半導体素子を貫通する電極で、素子を積層して高集積化する際に、上下の素子間を接続する。
  • ※8細かくBump(バンプ、電極のこと)を並べるFine Pitch Bump形成技術の一種。ハンダBumpのみだと短絡(ショート)のリスクが高まるため、棒状の銅柱(Cu Pillar)と径を小さくしたハンダBumpを組み合わせる技術が提案されている。

この件に関するお問い合わせ先

キヤノン株式会社 光機営業統括センター 第一営業部(直通)

電話番号
03-5732-8770