化学物質・汚染防止の取り組み
製品含有化学物質管理
キヤノンは、製品含有化学物質に関する環境保証体制をグループ全体で構築し、世界各国・地域の法律や主要なエコラベルを参考に世界で最も厳しい規制にあわせた社内基準を設け、この基準に則した製品開発に取り組んでいます。具体的には、次表のように化学物質を分類し、徹底した管理を行っています。この管理を徹底し、法規制遵守をより確実にするため、2024年7月に発行した最新の「キヤノングリーン調達基準書」(Ver.16.0)において化学物質情報の確実な提供の必要性について明記することで、サプライヤーに対する要請を強化しています。
化学物質の分類と管理方法
説明 | |
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使用禁止物質 | 製品への使用を禁止する化学物質 |
使用制限物質 | 後の使用を禁止するために特定の期限までに代替に努める化学物質 |
含有管理物質 | 含有量などを管理する化学物質 |
化学物質情報伝達スキーム「chemSHERPA」の活用と推進
化学物質を適切に管理するためには、原材料や部品・製品などに含まれる化学物質の情報をサプライチェーンの上流から下流に、正確かつ効率的に共有し各規制への適合を確認することが必要です。キヤノンは、国際規格であるIEC62474※のデータスキームを採用し、経済産業省が主導して共通化した情報伝達スキーム「chemSHERPA」を2017年に採用しました。2024年時点では99%以上が「chemSHERPA」による回答となり、社内の業務効率向上、サプライヤーの負担軽減につながっています。回答が困難なサプライヤーには、日本語・英語・中国語で回答マニュアルを作成し、「chemSHERPA」の国際的な普及を継続的に推進しています。
- ※ 電機・電子業界およびその製品に関するマテリアルデクラレーション。グローバルサプライチェーンにおける電機・電子業界の製品に含有される化学物質や構成材料に関する情報伝達の効率化をめざしIEC(国際電気標準会議)が2012年3月に発行した国際規格
国際電気標準会議(IEC)で「サプライチェーン情報伝達の高度化」に貢献
キヤノンは、電気・電子技術分野において国際的な標準化を行う国際電気標準会議(IEC)において、環境に関わる規格を策定する技術委員会(TC111)メンバーとして、特に製品含有化学物質の情報伝達の規格策定に貢献。世界の専門家とのパートナーシップのもとに、サプライチェーン情報伝達の高度化に向けて取り組んでいます。
次世代情報伝達スキーム検討への参画
サプライチェーン全体の化学物質調査の負荷低減や規制変更時に再調査が必要となるといった現在の情報伝達方法の課題を解決する次世代情報伝達スキームCMP(Chemical and Circular Management Platform)が業界横断的に検討が進められています。
キヤノンはこのCMPの検討に主要メンバーとして参画しており、今後もこの活動を通じて、化学物質の情報伝達における課題解決、サプライチェーン全体の負荷低減を推進していきます。
フッ素フリー撥水コーティング
PFASは環境中に長期間残留するため「永遠の化学物質」と呼ばれ、水道水や土壌を汚染し、健康被害を引き起こす可能性があるため、削減が求められています。キヤノンオプトロンはこうしたPFAS削減に対する社会的な要請に応えるため、フッ素を使用していないコーティング材料「OR-510」を開発しました。撥水性、防汚性、低屈折率の性能を備え、スマートフォンやタブレットの指紋ふき取り性向上や、眼鏡、サングラス、カメラレンズの光学特性を妨げず水滴の付着を軽減します。


UVgel 460インクが国際的な環境基準のGREENGUARD Gold認証を取得
「Colorado」シリーズで採用しているUVgel 460インクは、国際的な環境基準の指標となっているGREENGUARD Gold認証を取得しています。GREENGUARD Gold認証は室内で使用する製品から放出される化学物質の排出の基準と、それを満たしていることを示す認証です。同認証にはGREENGUARDとGREENGUARD Gold認証の2種類があり、UVgel 460インクは室内環境により高い配慮が求められる学校や医療機関などの施設での使用を念頭に置いたGold認証を取得しています。
