気候変動の取り組み
省エネルギー製品設計

キヤノンは、お客さまが製品を使用することで発生するCO2を減らすために、省エネルギーな製品の設計を心掛けています。
例えば、オフィス向けの複合機やレーザープリンターなどの製品には、独自の省エネルギー技術を採用しています。なかでも、オンデマンド定着技術やIH(Induction Heating)定着技術は、製品稼働時の消費電力削減に貢献しています。さらに、より低い温度で定着できる低融点トナーを新製品に搭載するなど、省エネルギー製品の拡大に向けた技術革新を続けています。

製品の省エネルギー設計

オフィス向け機器の環境配慮設計

オフィス向け複合機imageFORCE C5100Fシリーズでは、さらなる低消費電力化をめざし、オンデマンド定着技術、低融点トナーの採用、スリープ時における電力制御など、複数の省エネ技術を搭載しています。これにより、国際エネルギースタープログラムの画像機器基準Version 3.0を達成しています。例えば、40ppm※1モデル(C5100s)では、標準消費電力量(TEC値)※2で0.38kWhを実現しており、これは従来モデル(C5800s)の0.45kWhと比較して約15%の消費電力量を削減しています。

また、本シリーズは、本体樹脂材に30%以上の再生プラスチック(PCR材)を採用しました。さらに従来モデルと比較し、消耗部品において、現像器の寿命が約108%アップ※3、ドラムユニットの寿命が約24%アップ※3、共通部材と定着ユニットの寿命が約42%アップ※4、を実現。これにより、部品交換回数を削減し、新規資源の削減に貢献しています。加えて、トナー排出口の小径化と可動式シャッターを採用することでトナー付着を軽減し、リユース作業の容易化を図る資源循環設計を強化しました。

imageFORCE C5100Fシリーズ
imageFORCE C5100Fシリーズ
  • ※1 1分あたりの印刷可能枚数
  • ※2 国際エネルギースタープログラム適合製品
  • ※3 Bk色商品部材
  • ※4 Bk、カラー共通部材

超省電力を実現するナノインプリントリソグラフィ技術

キヤノンは、半導体製造装置において従来の露光技術に代わる新たな技術、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)により低消費電力かつ低コストで微細化を実現しました。NILは14nmの微細な回路パターンを安価に製造できるため、半導体業界に革命を起こす技術と期待されています。NILは半導体の製造工程がシンプルなため、既存の先端ロジック向け露光技術とくらべて、約10分の1まで消費電力を削減できます。カーボンニュートラルに向けた社会課題解決への挑戦と、経済性・サステナビリティの両立が高く評価され、2025年は「第33回地球環境大賞」において最高位の「大賞」を受賞しました。

  • ※ 1992年に「産業の発展と地球環境の共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度として、公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンの特別協力を得て創設された表彰制度。後援は、経済産業省、環境省、文部科学省、国土交通省、農林水産省、総務省、一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所。
第33回地球環境大賞ロゴ
第33回地球環境大賞ロゴ
ナノインプリントリソグラフィ技術を使用した半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」
ナノインプリント半導体製造装置

カーボンフットプリント(CFP)の算定・開示

キヤノンは、LCAの手法を導入し、ライフサイクル全体(原材料調達、生産、流通、使用・維持管理、廃棄・リサイクル)を5段階に分け、それぞれで排出した温室効果ガス(GHG)をCO2排出量相当に換算し、CFPとして「見える化」しています。見える化により、自社製品のライフサイクル上で排出量の多いプロセスが特定でき、効率的にCO2排出量の少ない製品設計に取り組んでいます。

CFP算定におけるライフサイクル各段階
CFP算定におけるライフサイクル各段階

さらに、お客さまが製品のCO2を含めた環境影響領域を把握できるよう、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)のSuMPO環境ラベルプログラムにおける「SuMPO EPD※1」を取得し、情報開示に努めています。サプライヤーとの協業のなかで、2024年は、活動に賛同いただいたサプライヤーから一次データを提供していただき、キヤノン製品のSuMPO EPDに組み込み、公開しました。2025年は、サプライヤー製品のSuMPO EPD登録に協力し、その登録されたEPDを原単位として、キヤノン製品のSuMPO EPDの算定に組み込み、公開しました。

また、お客さまのご要望に応じてオフィス向け複合機と一部のプロダクションプリンターの製品ライフサイクル全体で排出するCO2について、カーボン・オフセット※2を行うしくみをご用意しています。2025年のお客さまのご要望に応じたカーボン・オフセット量は合計で778tになりました。こうした取り組みは、バリューチェーン全体の脱炭素化に貢献しています。

  • ※1 Environmental Product Declarationの略。2024年4月、「エコリーフ」を「SuMPO EPD」へ名称変更
  • ※2 自らの温室効果ガス排出量のうち、削減努力をし、それでも削減できない量を他の場所での排出量削減・吸収量で埋め合わせ(オフセット)する取り組み。

参考:SuMPO環境ラベルプログラム登録製品

https://corporate.jp.canon/sustainability/environment/customer/products/cfp

参考:カーボンフットプリント(CFP)を活用したカーボン・オフセット制度対象機種

https://corporate.jp.canon/sustainability/environment/customer/products/cfp-certified
imageFORCE C5160F(For JP)のEPD
imageFORCE C5160F(For JP)のEPD

サプライヤーとの協業によるサプライヤー 一次データの組み込み

キヤノンは、持続可能な社会の実現に向けて、製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減する取り組みを進めています。

キヤノンはニデックと共同で、同社製ファンモータの原材料CO2排出量の一次データを算定し、初めてキヤノンのオフィス向け複合機「imageRUNNER ADVANCE DX C5840i」のライフサイクルCO2排出量算定に組み込みました。また、SuMPOが運営する「SuMPO 環境ラベルプログラム」を利用し、同製品についてSuMPO EPDの登録、公開を行いました。

こうした取り組みは、サプライヤーとの協業による一次データの活用を通じて、EPD算定の精度向上と環境ラベルの信頼性向上をめざすものです。今後もキヤノンは、持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組んでいきます。

キヤノンのオフィス向け複合機imageRUNNER ADVANCE DX C5840i
キヤノンのオフィス向け複合機imageRUNNER ADVANCE DX C5840i
ニデックのファンモータD06R-24SS103B(AX)他
ニデックのファンモータ
D06R-24SS103B(AX)他

製品使用時における削減効果

オフィス向け複合機やレーザープリンターをはじめとしたオフィス機器の省エネルギー技術は、2013年から2025年までの累計で7,262GWhの省エネルギー効果を生みだしました。これにより、3,245千t-CO2eの削減効果が期待されます。

環境パフォーマンスデータ

社会インフラ維持管理における環境負荷低減

キヤノンは、高度な光学技術とAI解析を融合し、社会インフラの維持管理に新たな手法を提供しています。

東京都大田区や東京科学大学と連携した橋梁点検の検証では、デジタル画像とAIによる解析で、近接目視と同等の精度を確保しながら交通規制や夜間作業の負担を大幅に軽減。これにより地域住民への影響を最小化し、作業効率を飛躍的に向上できることを確認しました。このAI解析技術は「インスペクションEYE for インフラ」として展開しており、ひび割れや腐食の自動検知を実現、更なる機能拡充も視野に入れています。こうした取り組みはインフラの長寿命化と安全性向上に寄与するだけでなく、作業に伴う環境負荷や社会コストの低減にもつながります。

キヤノンは、技術力を活かし、安心・安全な都市づくりと持続可能な社会の実現に向けて取り組みを続けています。

横断歩道橋撮影の様子
横断歩道橋撮影の様子

また、近年のIoTの進展や、AIの活用によるデータ処理量の爆発的な増加が見込まれるなか、多量の電気を消費するデータセンターの省エネルギー化が求められています。キヤノンITソリューションズグループでは、「データセンター事業を通じて、CO2排出量を削減し、環境保護を図ること」を目的にデータセンターの環境活動を推進しています。具体的には空調効率や冷却水の温度の最適化に加え、機器の配置のレイアウトを工夫するなどお客さまと一体となった日々の運用について改善活動を実施しています。

西東京データセンターでは優良特定地球温暖化対策事業所の認定、省エネ法Sクラス達成、沖縄データセンターでは沖縄県内のデータセンターとして初の実質再生可能エネルギー100%化を実現しました。

さらに、CO2削減活動で創出したCO2削減クレジットの寄付も実施しました。