気候変動の取り組み
事業拠点におけるCO2削減

キヤノンは、自社の事業拠点が稼働することによって発生するCO2の削減にも徹底的に取り組んでいます。使用する電力のきめ細かい管理や省エネルギー診断などをグループ横断で行うことで、エネルギーをより効率良く使えるようにしています。

事業拠点における温室効果ガス排出量

事業拠点における温室効果ガス排出量の推移

エネルギーコスト削減WGや生産工程における徹底的な効率化などの事業拠点における削減活動や再生可能エネルギーの拡大により917千t-CO2となり、前年と比較し約10%の減少となりました。2024年も事業拠点における省エネと再生可能エネルギーの導入拡大を継続し、CO2排出削減を推進します。

事業拠点における温室効果ガス排出量の推移

温室効果ガス排出量の集計の基本的な考え方について

拠点におけるエネルギー効率の改善

生産時のさらなる電力削減をめざす「生産グリーンコストマネジメント(GCM)」

CO2排出量削減とコスト低減を両立したマネジメントのしくみを構築するとともに、グリーン技術開発を通じて脱炭素化を図る活動を「グリーンコストマネジメント(GCM)」と呼んでいます。なかでも、生産時の電力削減をめざして取り組んでいるのが「生産GCM」です。生産GCMは「電力の可視化」「削減ポテンシャルの分析」「削減施策の展開」の3つのステップで構成され、搬送や溶接など生産設備の動作単位まで電力を細かく分解し、隠れたムダを見つけ出すとともに改善ターゲットを浮き彫りにします。

エネルギーコスト削減ワーキンググループ(WG)

キヤノンでは、2014年にエネルギーコスト削減ワーキンググループ(WG)を立ち上げ、全社横断的な体制のもとでエネルギー削減活動を推進してきました。5ゲン主義(現場・現物・現実・原理・原則)をキーワードに、各拠点の生産工程において生産装置が必要とする条件を徹底的に分析し、装置の稼働時間や過剰な圧縮空気や生産冷却水、空調などの最適化を実施することにより、エネルギー削減を図っています。また、有効な取り組みについては、国内外の生産拠点への水平展開を図っています。さらに、本社の担当者が国内外の生産拠点を訪問し、省エネルギー診断を実施し、設備稼働状況や条件設定を把握した上で、設備機器の運転効率の改善、現場教育を実践しています。

活動開始以降、グループ全体で23万8,712kL(原油換算)のエネルギー削減を達成しています。

拠点におけるエネルギー効率の改善
省エネ診断チームによる現場確認
エネルギーコスト削減WG体制図
エネルギーコスト削減WG体制図
WG活動による累積エネルギー削減量(累計)
WG活動による累積エネルギー削減量(累計)

事業拠点における取り組み

官民連携による省エネ・省CO2の取り組み

キヤノンは、栃木県ほか3社※1と連携し、栃木県宇都宮市において大幅な省エネルギーを実現する清原工業団地スマエネ事業を開始。本取り組みは、清原工業団地内に清原スマートエネルギーセンターなどが新設され、需要状況の異なる複数事業所間で電力と熱(蒸気・温水)を共同利用することで、単独事業所では実現が難しい、エネルギー消費量原単位約20%改善、CO2排出原単位20%改善※2を実現した事例です。この取り組みが評価され、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する2021年度省エネ大賞において経済産業大臣賞(共同実施分野)、またフジサンケイグループが主催する第31回地球環境大賞においても経済産業大臣賞を共同受賞しました。
2023年度には廃熱由来の蒸気供給余力を予測・可視化し、蒸気利用設備の導入や設備の運用改善により有効活用することで従来よりも2ポイント以上のさらなる省エネ・省CO2の実現が見込まれます。

  • ※1 カルビー株式会社、久光製薬株式会社、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
  • ※2 清原SECから送られる電力と熱(蒸気・温水)を対象とした本事業開始前の2015年度とくらべた削減率
    2021年度実績:原油換算▲約10,400kL/年、CO2削減量▲約21,000t/年
地球環境大賞受賞の様子
地球環境大賞受賞の様子
省エネ大賞受賞の様子
省エネ大賞受賞の様子
キヤノンビジネスマシンズフィリピンがエネルギー省主催の「Energy Efficiency Excellence Award」を初受賞、経済特区庁主催の「PEZA Award」を継続受賞
優秀賞トロフィー・ビルマーキング・優秀賞証明書を受領したCBMPメンバー
優秀賞トロフィー・ビルマーキング・優秀賞証明書を受領したCBMPメンバー

キヤノンビジネスマシンズフィリピン(CBMP)は、フィリピンエネルギー省(DOE)が主催する「Energy Efficiency Excellence Award 2022:Industries and Buildings部門」(EEE賞)を日系企業として初めて受賞しました。EEE賞は、エネルギーの効率的利用や資源の保存を持続的かつ促進的に行う手段を広く周知することを目的にDOEにより創設された、省エネ活動を実践し極めて優れた成果を創出した企業や団体を表彰する、フィリピンにおいて最も権威のある環境系アワードの一つです。CBMPは過去3年間の省エネルギー対策による活動の成果で、新型コロナウイルスによる影響下でありながらも年間平均約1,070万kJのエネルギー削減に成功し、CO2換算で517万2千kJの抑制に貢献したことが評価されました。また、CBMPは、フィリピン経済特区庁(PEZA)が主催する「PEZA Award:Outstanding Community Projects Award」を受賞しました。「Outstanding Community Projects Award」は社会貢献活動を通じて地域と良好な関係を築いた企業に贈られる賞で、CBMPが展開する、環境教育や植林をはじめとする生物多様性保全、プラスチック削減などの環境活動とコミュニティ促進活動を組み合わせたプロジェクトの推進などが評価されました。