気候変動の取り組み
事業拠点におけるCO2削減

キヤノンは、自社の事業拠点が稼働することによって発生するCO2の削減にも徹底的に取り組んでいます。使用する電力のきめ細かい管理や省エネルギー診断などをグループ横断で行うことで、エネルギーをより効率良く使えるようにしています。

事業拠点における温室効果ガス排出量

エネルギーコスト削減WGや生産工程における徹底的な効率化などの事業拠点におけるエネルギー削減活動や再生可能エネルギーの活用により事業拠点におけるGHG排出量は931千t-CO2eとなり、前年と比較し約2.7%の減少となりました。2025年も事業拠点における省エネや再生可能エネルギーの活用など、CO2排出量削減に向けた取り組みを推進します。

事業拠点における温室効果ガス排出量の推移
事業拠点における温室効果ガス排出量の推移
  • ※ 温室効果ガス排出量の集計の基本的な考え方についてはP26参照。2022年、2023年のデータは一部、2024年算定方法に合わせて再計算しています。

温室効果ガス排出量の集計の基本的な考え方について

拠点におけるエネルギー効率の改善

生産時のさらなる電力削減をめざす「生産グリーンコストマネジメント(GCM)」

CO2排出量削減とコスト低減を両立したマネジメントのしくみを構築するとともに、グリーン技術開発を通じて脱炭素化を図る活動を「グリーンコストマネジメント(GCM)」と呼んでいます。なかでも、生産時の電力削減をめざして取り組んでいるのが「生産GCM」です。生産GCMでは、構築したシステムを通じて工場のエネルギーデータを自動で収集・グラフ化し(電力の可視化)、稼働のムダを瞬時に判別できるだけでなく(削減ポテンシャルの分析)、全社横断でデータを体系的に蓄積し適切な削減施策をすぐに見つけて活用することが可能になりました(削減施策の展開)。

生産GCMで使用するシステムのダッシュボード
生産GCMで使用するシステムのダッシュボード
エネルギーコスト削減ワーキンググループ(WG)

キヤノンでは、2014年にエネルギーコスト削減ワーキンググループ(WG)を立ち上げ、全社横断的な体制のもとでエネルギー削減活動を推進してきました。5ゲン主義(現場・現物・現実・原理・原則)をキーワードに、各拠点の生産工程において生産装置が必要とする条件を徹底的に分析し、装置の稼働時間や過剰な圧縮空気や生産冷却水、空調などの最適化を実施することにより、エネルギー削減を図っています。また、有効な取り組みについては、国内外の生産拠点への水平展開を図っています。さらに、本社の担当者が国内外の生産拠点を訪問し、省エネルギー診断を実施し、設備稼働状況や条件設定を把握した上で、設備機器の運転効率の改善、現場教育を実践しています。
活動開始以降、グループ全体で25万5,960kL(原油換算)のエネルギー削減を達成しています。

2024年に水平展開した施策例
高効率空調機への更新実施
洗浄水の温度変更実施
成形機シリンダー保温の実施
拠点におけるエネルギー効率の改善
省エネ診断チームによる現場確認
エネルギーコスト削減WG体制図
エネルギーコスト削減WG体制図
WG活動による累積エネルギー削減量(累計)
WG活動による累積エネルギー削減量(累計)

事業拠点における取り組み

官民連携による省エネ・省CO2の取り組み

キヤノンは、栃木県ほか3社※1と連携し、栃木県宇都宮市において大幅な省エネルギーを実現する清原工業団地スマエネ事業を開始。本取り組みは、清原工業団地内に清原スマートエネルギーセンターなどが新設され、需要状況の異なる複数事業所間で電力と熱(蒸気・温水)を共同利用することで、単独事業所では実現が難しい、エネルギー消費量原単位約20%改善、CO2排出原単位20%改善※2を実現した事例です。この取り組みが評価され、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する2021年度省エネ大賞において経済産業大臣賞(共同実施分野)、またフジサンケイグループが主催する第31回地球環境大賞においても経済産業大臣賞を共同受賞しました。
2023年度には廃熱由来の蒸気供給余力を予測・可視化し、蒸気利用設備の導入や設備の運用改善により有効活用することで従来よりも2ポイント以上のさらなる省エネ・省CO2の実現が見込まれます。

  • ※1 カルビー株式会社、久光製薬株式会社、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
  • ※2 清原SECから送られる電力と熱(蒸気・温水)を対象とした本事業開始前の2015年度とくらべた削減率
    2021年度実績:原油換算▲約10,400kL/年、CO2削減量▲約21,000t/年
地球環境大賞受賞の様子
地球環境大賞受賞の様子
省エネ大賞受賞の様子
省エネ大賞受賞の様子