空気は透明、太陽光は無色なのに、なぜ空は青く見えるのでしょう。
また、いつもは青い空が、朝や夕方に赤くなるのはなぜなのでしょう。
光には青い光や赤い光があります。青い光は「波長」が短く、赤い光は波長が長くなっています。波長が短いほど、光は強く「散乱」されます(青い光は強く散乱されます)。
日中は、散乱の強い青が強調されて空は青く見えます。朝夕は、光が大気層を長く通過するので青は散乱されきってしまい、散乱しにくい赤やオレンジが強調され、空は赤く見えます。
光は波の性質を持ちます。水の波でも、平行に進む波紋が波の動き(波長)よりも大きな障害物にあたった場合、よく見ると、波紋が障害物の背後に回り込んでいく現象が見られます。波である光にも、同じ現象が見られます。このような、波長より大きな障害物にあたって、光の波形が変化する現象を「回折」といいます。また、波である光は、大気中で波長よりも小さな粒や分子などにあたるとそれらを振動させ、粒や分子が波動を“中継”するかたちで改めて同じ波長の光を周囲に放出します。この現象を、光の「散乱」といいます。
19世紀末までは、光は大気中のチリや水滴にあたって散乱していると考えられていました。ところが、チリや水滴は光の波長より大きいのです。光の散乱は、光の波長より小さい物体に光があたると発生します。そこで、空気中の窒素や酸素の分子にあたって散乱していると結論づけたのがレイリー(イギリスの物理学者・1842-1919)です。散乱にもいろいろ種類がありますが、この空気中の分子による散乱などを特に「レイリー散乱」というのはそのためです。
光には、青い光や赤い光があります。一般の光は、いくつもの光が組み合わさっているもので、それぞれの光はそれぞれの波長を持っています。この光を波長の成分で分解したものを「スペクトル」といいますが、青い光は波長が短く、赤い光は波長が長くなっています。空が青いのは、波長が短いほど「散乱」は強くなるため、青い光が赤い光よりずっと強く散乱されるからなのです。(もっと波長の短い紫が見えないのは人間の目が紫を感じにくいためです。)朝と夕方の空が赤くなるのは、太陽の光が突き抜ける大気層の距離と道筋に関係があります。
通過する大気層の距離が長くなるので青い光は散乱されきってしまい、逆に散乱されにくい赤やオレンジの色が強調されて人間の目に届くためです。
レイリー散乱では、散乱光の強度は波長の4乗に反比例します。赤い光の波長は、青い光の波長の約2倍ですから、散乱は約16倍も弱いことになるのです。またレイリーは、散乱は光の進行方向に最も強く、直角方向でその2分の1になることも発見しています。日中の太陽は真上にあるので、上向きに空を見ている人間の目には最も光の散乱が強い状態となり、「青い空が見える」ということになります。ちなみに、光の波長と、空中に浮いている水滴やエアゾールなど粒の大きさがほとんど等しいときは、「ミー散乱」します。この場合の散乱の強さは波長と関係がありません。雲が白く見えたり、大気汚染があると空が白っぽく見えるのはこのためです。