雪景色と聞けば、誰もが一面の真っ白な風景を思い浮かべると思います。
でも、なぜ雪は白いのでしょう。雪は透明な水が凍ったものなのに、見え方が水と大きく異なります。
実は、雪の白さは雪そのものの色ではなく、雪のしくみによって生まれているのです。
光の“正体”は?
雪景色と聞けば、誰もが一面の真っ白な風景を思い浮かべると思います。
でも、なぜ雪は白いのでしょう。雪は透明な水が凍ったものなのに、見え方が水と大きく異なります。
実は、雪の白さは雪そのものの色ではなく、雪のしくみによって生まれているのです。
雪景色のイメージ写真
そもそも、ものの色はどのようにして見えるのでしょうか。太陽や電灯からの光にはさまざまな色の光が含まれています。これはプリズムなどを使って光を分けると観察できますが、たとえば虹にあらわれるさまざまな色も、光に含まれる色の光がわかれたものです。
光は波の性質をもっていて、波の山と山(あるいは谷と谷)の間隔を波長と呼びますが、私たちの眼は、波長が短い光を青に、波長が長い光を赤に、その中間を緑に感じ取ります。この赤緑青が「光の三原色」です。光にはさまざまな波長(色)がまざっていて、光がものに当たると、一部はものに吸収され一部が反射します。私たちは反射した光の波長(色)を、そのものの色として感じ取っています。
もし、ぜんぶの波長(色)の光がかたよりなく反射して目に届けば、色のない白や灰色、黒(無彩色)に見えます。
つまり、白く見えるものは、さまざまな色の光をぜんぶ同じように反射しているのです。
色と波長
色が見えるしくみ
では、雪の色のしくみはどうなっているのでしょう。まず、雪がどのようにしてできるかを考えます。
雪は空の高いところで生まれます。空気中の水蒸気が冷えて非常に小さな氷の粒ができ、これは軽いので上昇気流などに乗って空中に浮かびます。これが雲です。雲の中では氷の粒がくっつきあって集まり、少し大きな氷の粒に成長します。上昇気流で支えきれないほど大きく重い粒になったとき、地面に向かって落下します。落下するときに空中でとけて水になったものが雨、気温が低くて凍ったまま降るのが雪です。つまり地面に降りつもった雪は、氷の粒が集まったものなのです。
雪のできかた
氷の粒なら透明に見えるはずです。雪の粒も形はさまざまですが、ひと粒ひと粒は透明です。
でも、粒と粒の間には空気があります。氷と空気とのさかい目では、光は屈折や反射を起こします。
とくに、さかい目に差し込む角度によっては、光をすべて反射する「全反射」が起きます。細かい雪の粒に当たった光は、粒の中を折れ曲がったり反射したりしながらさまざまな方向に向かうため、雪の塊全体では表面で「乱反射」が起きるように見えます。
このために雪の塊は、光を通しにくくなります(透明ではなくなる)。もし雪の粒の間に空気がなくひとつながりだと、乱反射は起きずに光は通り抜けます。水や氷が透明に見えるのはこのためです。
さまざまな色の光がぜんぶ同じように反射されたとき、ものは白に見えます。雪の表面で起きる乱反射は、結果的にさまざまな色を同じように反射することになり、白く見えるのです。透明な粒の塩や砂糖が白く見えるのも、氷の粒でできた雲が白いのも、さらに卵の白身を泡立てると白くなるのも、みな同じしくみです。なお、当たっている光に色がついていると(波長の偏りがあると)、雪にも色がついて見えます。夕焼けに照らされた雪山は赤く見えますし、かき氷に緑のスポットライトを当てると緑色に見えるのは、こうした理由によります。
赤い富士山
光の“正体”は?
レンズと反射鏡
色と光