夜空にとつぜん現われ、走るように動いて消える流れ星。その流星が1年のある決まった時期に、夜空の1点からいくつも飛び出すように見えるのが流星群です。特に、夏休みは夜の寒さも厳しくなく、たくさんの流星を観察(かんさつ)するチャンスがあります。
流星群にはどんなとくちょうがあり、また、どうすればかんさつがよくできるかをさぐってみましょう。
光の“正体”は?
夜空にとつぜん現われ、走るように動いて消える流れ星。その流星が1年のある決まった時期に、夜空の1点からいくつも飛び出すように見えるのが流星群です。特に、夏休みは夜の寒さも厳しくなく、たくさんの流星を観察(かんさつ)するチャンスがあります。
流星群にはどんなとくちょうがあり、また、どうすればかんさつがよくできるかをさぐってみましょう。
ふたご座流星群
流れ星は正しくは流星(りゅうせい)と呼ばれます。でも、流星はふつうの星ではありません。流星のもとになる宇宙の小さなチリが地球の空気(大気といいます)に飛びこんで光る現象(げんしょう)※を流星と呼んでいるのです。流星のもとになる宇宙のチリは1mmほどから数cmととても小さく、地球のまわりにたくさんちらばっています。毎日数え切れないほどのチリが大気に飛びこんでいますが、明るく光るものは少なく、わたしたちはなかなか目にすることができません。
流星のなかで特に明るいものが「火球(かきゅう)」で、もととなるチリは流星よりも大きく、時には「隕石(いんせき)」として地球にとどくものもあります。
※ 地球の上空(じょうくう)150〜70kmほどで光ります。
火球
毎年同じようなタイミングで流星の数が急にふえる時期があります。これは流星群の活動がさかんになるためです。
地球が太陽のまわりを一年かけて回る通り道(地球の軌(き)道といいます)のところどころには宇宙のチリがとくに多いところがあって、そこを地球が通過する時に流星がふえるのです。流星群が毎年決まった時期に見られるのはこのためです。
では、流星のもととなるチリはなぜ発生したのでしょうか。じつはこれは、太陽をまわるすい(彗)星(ほうき星とも呼ばれています)が宇宙空間に残したものです。
わたしたちが住む太陽系では、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つのわく星や多数の小わく星のほか、数え切れないほどのすい星や小さな天体が、太陽のまわりを回っています。このうちすい星は土のような物質をふくむ氷でできていて、太陽の熱を受けて少しずつくずれながら移動しています。この、すい星のくずれたかけらがただよう宇宙空間を地球が通る時、流星群が発生するというしくみです。
水星と土星の間には、金星、地球、火星、木星があります。
流星群が決まった時期に見られるわけ
2007年のホームズ彗星
流星群が活動するとき、多くの流星が夜空の1点から四方八方に広がるように見えます。これは、遠くの1点から並んで進んでくる列車などを見ていると、近づくにつれて広がるように見えるのと同じしくみです。すい星が残したチリのグループに地球がぶつかると、大気の中を同じ方向へと進むいくつもの流星があらわれます。これらを地上から見ると遠くから並んで進んでくる列車のように、空のある1点から広がるように見えるのです。この空のある1点を、その流星群の放射点(ほうしゃてん)と呼びますが、この放射点から広がるように流星が見えることが流星群の大きなとくちょうです。
流星が1点から飛び出す理由
これまで数多くの流星群がみつかっていますが、多くは「しし座流星群」「ペルセウス座流星群」などのように星座の名前がつけられています。これは流星群の放射点がある星座にちなんで名づけられたためです※1。ただし、同じ星座に別の流星群の放射点があるばあいは「みずがめ座η(エータ)流星群」「みずがめ座δ(デルタ)南流星群」などのように、放射点に近い星の名前がつけられたり、「4月こと座流星群」「10月りゅう座流星群」のように活動の時期の名前がつけられたりしています。
流星群のなかでも「しぶんぎ座流星群※2」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」は、毎年ほぼ安定して多くの流星が見られることから「三大流星群」として有名で、はじめて見る人にもかんさつ(観察)しやすい流星群です。
※1 有名な流星群は、そのもとになった彗星の名前で呼ばれることがあります。たとえば「10月りゅう座流星群」は「ジャコビニ流星群」として知られています。
※2 「しぶんぎ座」はむかし使われた星座の名前で、現在は使われていません。しぶんぎ座の星々は、いまはりゅう座などに分けられて呼ばれていますが、流星群については「しぶんぎ座流星群」と呼んでいます。
流星群名 | 活動がさかんなおおよその時期※3 | もっとも活発な時期 | もっとも活発な時期に 発生する流星の数(1時間あたり)※4 |
---|---|---|---|
しぶんぎ座流星群 | 12月28日 - 1月12日 | 1月4日頃 | 45 |
4月こと座流星群 | 4月16日 - 4月25日 | 4月22日頃 | 10 |
みずがめ座 η(エータ)流星群 |
4月19日 - 5月28日 | 5月6日頃 | 5 |
みずがめ座 δ(デルタ)南流星群 |
7月12日 - 8月23日 | 7月30日頃 | 3 |
ペルセウス座流星群 | 7月17日 - 8月24日 | 8月13日頃 | 40 |
10月りゅう座流星群 (ジャコビニ流星群) |
10月6日 - 10月10日 | 10月8日頃 | 5 |
おうし座南流星群 | 9月10日 - 11月20日 | 10月10日頃 | 2 |
オリオン座流星群 | 10月2日 - 11月7日 | 10月21日頃 | 5 |
おうし座北流星群 | 10月20日 - 12月10日 | 11月12日頃 | 2 |
しし座流星群 | 11月6日 - 11月30日 | 11月18日頃 | 5 |
ふたご座流星群 | 12月4日 - 12月17日 | 12月14日頃 | 45 |
※3 活動の時期は毎年少しずつずれることがあります。
※4 もっとも活発な時期に発生する流星の数は、空の条件が良く、月あかりなどがない時に観測される数です。都会の夜空で見られるのはこの数分の1です。
(国立天文台などのデータによる)
「流星を見てみたい!」という気持ちが高まったら、ぜひ流星群をかんさつしてみましょう!
流星は月や星とちがい、広い夜空のどこに見えるかはよそうがつきません。そのため、望遠鏡などはつかわず、ちょくせつ目で見るのがきほんです。
流星群の活動がさかんな時期には、こうして夜空を見上げていると、かならずいくつかの流星を見ることができるはずです。
明け方に流星が多く見られるわけ
たくさんの流星をかんさつしよう!
かんさつ中はまわりの迷惑にならないよう、大声や大きな音をたてないようにしましょう。また家のまわりなどの安全な場所でかんさつし、かならず大人につきそってもらいましょう。
三大流星群の中でもペルセウス座流星群は夏休みの期間中に活動のピークをむかえ、夜もあまり寒くならないのでおすすめです。8月の中ごろには、ま夜中すこし前ごろから流星が見られはじめ、夜が明けるころまでふえていきます。放射点はま夜中ごろに北東の空に上がってくるので、「だいたい北東」に向いていれば見るチャンスがふえます。
ペルセウス座流星群では、月明かりのない空気のすんだ場所でなれた人がかんさつすると、1時間あたり60個もの流星を数えることができます。
ペルセウス座流星群の放射点(星の配置(はいち)は8月なかばごろの北西方向の空のようす)
流星群の流星は写真にとることもできます。一眼レフやミラーレスカメラがてきしていますが、コンパクトカメラでもさつえいが可能です。運もみかたしないとなかなかいい写真にはなりませんが、コツがいくつかありますので、「流星を写真に残したい!」という人はぜひトライしてみましょう。
ほとんどのコマには流星は写りませんが、もし何枚かに流星が写っていたら、パソコンなどで「比較明合成(ひかくめいごうせい)※2」という処理をすると、みばえのする流星群の写真になります。
※1 ISO感度は「100」「400」のような数字で表され、この数字を上げていくほど、暗いところでも明るい写真がとれます。たとえば、ISO400はISO100の4倍の感度で、ISO100と比べて光の量が4分の1でも同じ明るさの写真にすることができます。
※2 比較明合成は、画像の明るいところだけを取り出して重ね合わせる画像処理の方法です。夜空の大部分は暗く、流星や星だけが明るく写っているので、流星や星だけを重ねあわせることで、みばえの良い写真になります。
かんそくしても、さつえいしても、感動する流星群。ぜひ、夜空を見上げてたくさんの流星にであえるといいですね。
カメラの絞りのしくみ
比較明合成による流星群の写真
光の“正体”は?
レンズと反射鏡
色と光