さわやかな「青空」は、いつでも心をなごませてくれます。でも、「空の青はいつも同じじゃないなあ。」「山や外国で見る青空は色が特別だなあ。」と感じることはありませんか?実は、青空の青は季節や天気、また見る場所によっても色がちがいます。そのひみつをさぐってみましょう。
光の“正体”は?
さわやかな「青空」は、いつでも心をなごませてくれます。でも、「空の青はいつも同じじゃないなあ。」「山や外国で見る青空は色が特別だなあ。」と感じることはありませんか?実は、青空の青は季節や天気、また見る場所によっても色がちがいます。そのひみつをさぐってみましょう。
太陽の光は、地球のまわりにある空気のそう(=大気といいます)を通りぬけて私たちの目にとどきます。空気はちっそやさんそなどの気体のすごく小さなつぶ(=分子といいます)でできていて、さらに氷や水、小さなごみやほこりなどのつぶ(*)がういています。これらのつぶに光がぶつかって、道すじが変わったりはね返ってちらばるのが「散乱(さんらん)」で、太陽の光の散乱はあらゆるところでおこっています。
目には見えませんが、太陽の光は、赤(レッド)、緑(グリーン)、青(ブルー)をはじめ、たくさんの色の光からできていて、波の特ちょうをもって進んでいきます(**)。氷、ごみやほこりなどの大きめのつぶは、あらゆる色の光とぶつかって散乱をおこしますが、水じょう気やさんそ、ちっそなど分子のようなすごく小さなつぶは、赤い光とはあまりぶつからず、青い光だけとぶつかって散乱がおきます。この青い光が大気の中で、くりかえしつぶにぶつかって散乱してひろがり、空は青く見えるのです。
赤い光(長波長)
青い光(短波長)
青い光が空全体で散らんをくりかえしてひろがるため、空は青く見えます
*…空気はちっそやさんそ、二さん化炭そなどの気体の分子があつまってできています。また、場所によって水じょう気(=気体になった水の分子)や、小さな水てきや氷のつぶ、ごみやほこりなどがまざっています。
**…波の形の山から山の長さを「波長(はちょう)」といい、人間は光の波長のちがいを色として感じます。青い光は波長が短く、赤い光は波長が長い光です。
もし空気がなければ空はどんな色になるでしょう?
みなさんは月でとった写真を見たことがありますか?
日なたの写真でも空はまっ暗にうつっています。月には空気がないので、光が散乱しないため、空はまっ暗に見えます。同じ理由で、空気があっても、うすければ、光の散乱は少なくなり、空はまっ暗に近くなります。
地球でこい色の青空ができるのは、このことと大いに関係があります。こい青の空ができるときは、赤や緑の光を散乱させる大きなつぶが空気中に少ないときなのです。もちろん、空気を作っている気体の分子の小さなつぶで、青い光は散乱します。しかし、大きなつぶの数が少なければ、散乱する光の量はへるので、空は暗くなります。気体のつぶで散乱した青い光と空の暗さがあわさって、こい青に見えるのです。
月面で見た空
こい青の青空
雨上がりには、空気中のごみやほこりが雨といっしょに地面に落ちて少なくなります。ぎゃくに、秋や冬に晴れて空気がかんそうして水じょう気が少なくなると、水じょう気が集まってできる水のつぶもへります。このような、空気の中でやや大きなつぶが少なくなるとき、とてもこい青空を見ることができます。
雪山でみられたこい青の空
また、高い山の上や飛行機の中から空を見たときなどは、太陽の光が通りぬけてくる空気のそうが地上よりうすくなります。さらに、空気の分子自体も地上より少なくなるため、空に散乱して広がる青い光は少なくなり、空はとてもこく暗い青になります。
飛行機から見た青空
地上の空には、水じょう気が集まってできた水てき、ごみやほこりなどのやや大きなつぶがちらばり、場合によっては大量にただよっています。これらは、青だけでなく緑や赤などの光も散乱させるはたらきをもっています。
うすい青空
光はいろいろな色がまざっていくとどんどん白に近い色に見えるようになります。空全体は散乱によって光の量がふえて明るくなりますが、緑や赤などの光がまざると青い色が弱く(=うすく)感じられ、青空は白っぽくなるのです。水じょう気の多い春の初めやうすぐもりのときの空の色が、ふつうの青空よりうすくなるのは、このためで、さらに水てきなど大きなつぶがふえれば、青に見えなくなり、空全体が色のない「はいいろ」に見えることさえあります。
白っぽく、はいいろに近くなった空
朝や夕方は、青空ではなく、空が赤くなる「朝焼け」や「夕焼け」が見られます。
これは、朝や夕方は太陽が低いところにあるために、私たちの近くまでとどく光は大気にななめにさしこんで長いきょりを進んでくるためです。
長いきょりを進んでいるとちゅうで、青い光はつぎつぎに散乱して太陽の真下にいる人たちには青空を見せています。しかし、私たちの近くまでは散乱した青い光はとどかず、とどくのは散乱が少ない赤い光になります。この赤い光が私たちの近くで散乱をおこすので、「朝焼け」や「夕焼け」として見られるというわけです。
これまでしょうかいしてきたように、空の色のちがいは、太陽の光が大気を通ってくるときの散乱のしかたと、散乱をおこす分子やつぶの種類と量で生まれます。「空がきれいにすんでいるから、今日の空の青はこいんだ」「今日の青空は白っぽいから、水じょう気が多いのかな?」と考えてみたり、外国の写真を見て「きっと空気がからっとしているからこい青空なんだろうなあ」とそうぞうしたりすると、たくさんの新しい発見があるかもしれません。
空気がすんでいる場所で見たこい青空
光の“正体”は?
レンズと反射鏡
色と光