右の図は、ある本に使用するためにかかれたカラーイラストの例です。カラーイラストなのに、画面で見る限り、ここには全く色がありません。各部分には「C40、M20、Y80、K10」というような記号が書き込まれているだけです。
実はこの記号は、インクの三原色であるCMYとKのこさを指定したものです。この状態では色はありませんが、印刷所でこの記号に従って色を当てはめて印刷するので、仕上がりでは下図のようなカラーのイラストに変身します。このように印刷の現場では、全く色を使わずにカラー印刷を行うこともできるのです。
一方、カラーでかかれたイラストやカラー写真を使って、カラーの印刷物を作る場合があります。このときは、あらかじめカラーの原稿(げんこう)を3種類のフィルターを使って撮影(さつえい)します。フィルターはそれぞれCMYの色の成分だけを通すようになっているので、できた3種類の写真はそれぞれが原稿(げんこう)のCMYのこさのちがいを表すことになります。そして、これに、もとの原稿(げんこう)の明るさだけを取り出した4枚目の写真(これがKになります)をくわえ、それぞれのインクで同じ紙の上に印刷すると、カラー写真ができあがります。
なお、コンピュータのプリンタでは、この分解と合成のプロセスを計算で行って、4色(あるいはもっと多くの色)のドットごとに分解・合成し、インクをずらっと並べる方法でプリントを構成しています。