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光の“正体”は?

日食・月食のふしぎ

日食ってなんだろう?

晴れた日の昼間に輝く太陽は、丸い形をしています。しかし数年に一度、丸いはずの太陽が晴れた日の昼間でも見えなくなったり、部分的に欠けて見えることがあります。これは「日食(にっしょく)」という非常にめずらしい現象なのです。

日食には太陽全体が見えなくなる「皆既日食(かいきにっしょく)」、太陽が輪っかのように見える「金環日食(きんかんにっしょく)」、太陽の一部が欠けて見える「部分日食」があります。

それでは、日食はどうして起こるのでしょうか?
それは、地球や月の動きが関係しています。

太陽を直接見てはいけません!
太陽は、強い光と熱を出しています。正しい方法で観察しないと目を痛めたり、最悪の場合失明する危険があります。日食を観察するときは、専門家の指導のもとに作成された日食グラスなど日食鑑賞用の製品を使用するか、鏡を使って太陽を壁に映して観察するなどして下さい。

皆既日食

皆既日食 2009年7月22日硫黄島沖にて

写真提供:国立天文台
撮影:福島英雄、宮地晃平、片山真人

部分日食

部分日食

地球と月の動きを見てみよう!

地球や月などの天体が他の天体のまわりを回ることを公転(こうてん)といいます。地球は太陽のまわりを公転していて、北極を上にして宇宙から地球を見ると、太陽のまわりを反時計回りに一年かけて一周しています。

また、月も地球のまわりを公転しています。月は地球のまわりを反時計回りに約27日間で一周しています。

日食というめずらしい現象は、地球と月の公転運動のタイミングがうまく合ったときに起こる現象です。

地球と月の公転の解説図

地球は太陽のまわりを反時計回りに一年かけて一周し、月は地球のまわりを反時計回りに約27日間で一周します。

日食はなぜ起こる?

地球と月の公転によって、毎日、太陽・地球・月の位置関係は変化しています。日食は、太陽と地球の間に月が入り、太陽・月・地球の順番に一直線に並んだときに起こります。このとき、地球上の限られた場所で太陽の一部またはすべてが月によって隠され、月の影になった地球の一部分では太陽の光が届かなくなります。

月によって太陽の一部が隠されることを部分日食、太陽がすべて隠されて見えなくなることを皆既日食といいます。

また、月が太陽を隠しきれず、太陽が輪のように見えることがあります。これが金環日食です。

月や太陽の大きさ自体は変わらないのに皆既日食と金環日食があるのはどうしてでしょうか?
その秘密は、月の公転軌道(公転する道すじ)にあります。

実は、地球から見た月の見かけの大きさが、太陽よりも大きくなったり、太陽よりも小さくなったりしているのです。

日食が起こる仕組みの解説図

日食が起こる仕組み

金環日食

2002年6月11日の金環日食(テニアン島)

写真提供:国立天文台
撮影:福島英雄、坂井眞人

どうして地球から見た月の大きさが変化するの?

月が地球のまわりを回る公転軌道や地球が太陽のまわりを回る公転軌道は、完全な円ではありません。それぞれ細長い楕円形(だえんけい)になっています。そのため、地球から月や太陽までの距離はいつも変化しています。

例えば月の場合、地球に一番近づいたときは約35万km、遠いときは約40万kmと5万kmほどの差があり、地球から見たときの見かけ上の直径は約10%も違います。

そのため、月が地球に近い位置にあるときに日食が起こると月が大きく見えるので、太陽が完全に隠れる「皆既日食」になり、逆に月が遠くにあると月は小さく見えるので、月のまわりから太陽がはみだして見える「金環日食」になるのです。

月の大きさの違いは、デジタルカメラで同じ条件のもとで地球に近い月と遠い月を撮影して比べてみるとよくわかります。

月の公転軌道

月の公転軌道は、細長い楕円形になっています。

地球に近い月と遠い月の比較画像

2011年に地球から見て最も大きく見えた月と最も小さく見えた月の比較画像です。2011年に最も大きく見えた月は、特にスーパームーンとも言われ、過去19年間で最も地球に接近した特別な月でした。

写真提供:岡山アストロクラブ 大島 学

日食がめずらしいのはなぜ?

地球は太陽のまわりを一年に一回公転し、月は地球のまわりを約27日で一回公転するわけですから、太陽・月・地球が一直線に並ぶことによって起こる日食は一年に何度も見ることができそうに思えます。

しかし、実際には皆既日食や金環日食は十年から数十年に一度、部分日食ですら数年に一度しか見ることができません。なぜでしょうか?

それは地球の公転軌道と月の公転軌道が約5°傾いているため、太陽・月・地球が一直線上に並ぶことはめったにないからです。

太陽・月・地球が一直線に並んだ場合でも、月の直径は地球の約4分の1しかなく、月が落とす影は地球よりもずっと小さいので、日食は地球上の限られた場所でしか見ることができないのです。だから日食は非常にめずらしい現象として、見ることができる場所では大きな話題となるのかもしれません。

月の公転軌道の傾き

地球の公転軌道に対して月の公転軌道は約5°傾いているため、宇宙から北極側を見て一直線上に並ぶ位置に月がきても、横から見て一直線上に並んでいなければ日食にはなりません。

日本で見ることができる日食のスケジュール

日付 種類
2030年6月1日 金環日食
2035年9月2日 皆既日食

※参考文献:国立天文台 日食各地予報
※天気が悪いと見られない場合があります。

月食ってなんだろう?

日食と同じようにめずらしい現象として月食があります。月は、太陽のようにみずから光っているのではなく、太陽の光を反射して光っているように見えています。そのため、太陽の光が当たっていない(影になった)部分を地球からは見ることができません。これが月の満ち欠けです。

月食はこれとは違い、太陽と月の間に地球が入り、太陽・地球・月の順番に一直線に並んだときに地球の影に月が入り、月が欠けて見える現象です。しかし、月が完全に地球の影に入る皆既月食の場合でも、皆既日食のように見えなくなるのではなく、月が赤色に見えます。

また、日食は限られた時間に限られた場所でしか見ることができないのに対して、月食の場合は月食の起こる時間に月の見える場所であれば、どこでも見ることができます。

月食の解説図

太陽・地球・月が一直線上に並び、月が地球の影に隠れることを月食といいます。

皆既月食の月が赤いのはどうして?

皆既月食のときの月はどうして赤く見えるのでしょうか?
これには夕陽を赤く見せるのと同じ「散乱」という現象が関係しています。

太陽の光が地球の大気を通過するとき、波長の短い青い光は空気の粒によって散乱してしまいますが、波長の長い赤い光は空気の粒の影響を受けにくいため、光を弱めながらも通り抜けることができます。

そして、地球の大気を通過した赤い光は大気でわずかに屈折するので、地球を回り込んで月を照らします。そのため皆既月食の月は赤く見えるのです。

皆既月食

皆既月食

皆既月食の月が赤い理由の解説図

地球の大気で屈折した赤い光が月を照らすので、皆既月食の月は赤く見えます。

日本で見ることができる月食のスケジュール

日付 種類
2021年5月26日 皆既月食
2021年11月19日 部分月食
2022年11月8日 皆既月食
2023年10月29日 部分月食(日本の一部)
2025年3月14日 皆既月食(日本の一部)
2025年9月8日 皆既月食
2026年3月3日 皆既月食
2028年7月7日 部分月食
2029年1月1日 皆既月食
2029年12月21日 皆既月食
2030年6月16日 部分月食

※参考文献:国立天文台 月食各地予報
※天気が悪いと見られない場合があります。

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