きょうりゅうが生きていたのは、約2億5100万年前から6550万年前まで続いた『中生代(ちゅうせいだい)』です。あまりにも遠い昔で、きょうりゅうの色や模様を知る手がかりなどはほとんどなくて、人間が想像するしかありません。「想像」といっても、きょうりゅうの絵の場合、画家は自由気ままにイメージするわけではなくて、わかっているきょうりゅうの研究成果を取り入れながら、推測してかきます。だから、絵はまったくのデタラメではないのです。
きょうりゅうの皮ふの化石は、"皮ふそのもの"は見つかっていませんが、"皮ふのあと"つまり皮ふのでこぼこなどがわかる化石は見つかっていますから、皮ふの感じは絵にできます。
また、ウロコや羽毛がついている化石は見つかっていますから、ウロコのあるきょうりゅうの場合は、現在の「は虫類」の色や模様を参考にすることができます。羽毛のあるきょうりゅうの場合には、現在の「鳥類」を参考にできます。
それから、骨の化石から骨格や大きさがわかりますから、現在の動物の大きさと色の関係から推測していくこともできます。大型動物は小型動物に比べて暗い色なので(ゾウやサイがそうですね)、大きなきょうりゅうは灰色やこげ茶色、こい緑色でかかれます(最大級の肉食きょうりゅうティラノサウルスはこげ茶色のときが多いですね)。
大型動物が暗い色なのは、大きな体が目だちすぎず、土や岩の色と同化する効果があるからです。このように、動物の体の色や模様にはいろいろな目的があるので、それをきょうりゅうの生態にあてはめて、色や模様を推測していくこともできます。
ティラノサウルスも、本当はヒョウがらだったかもしれません。可能性はゼロではないのですが、きばつな想像すぎるので、絵では無難な無地になっているのでしょう。