フィルムや撮像(さつぞう)センサなどが正確に「光を感じ取って記録する」には、そのフィルムや撮像(さつぞう)センサなどにとって「ちょうど良い」量の光を当てる必要があります。なぜなら、光の量が少なすぎれば(暗すぎれば)、フィルムでは化学反応が起きず撮像(さつぞう)センサでは電気信号が発生しないからです。逆に、光の量が多すぎれば(明るすぎれば)、フィルムにぬってある光を感じる薬品が、ほとんどすべて反応してしまいます。また、デジタルカメラの撮像(さつぞう)センサでは計算できないレベルの電気信号が発生してしまいます。
そして、この光の量の調節を行っているのが、「シャッター」と「しぼり」です。
※ シャッターには、不必要なときにフィルムに光を当てない…という役割も持っています。
シャッターにはさまざまな形式がありますが、現在の銀塩カメラでもっとも多く用いられているのは、レンズシャッターとフォーカルプレーンシャッターです。レンズシャッターでは小さな仕切り板がレンズの中に置かれていて、バネの力で猛(もう)スピードで開閉するようになっています。完全に開いてから完全に閉じるまでが露出(ろしゅつ)時間(シャッタースピード)になります。レンズシャッターはコンパクトで比較(ひかく)的シンプルなため、コンパクトカメラに多く用いられています。
なお、よく「シャッタースピードは250分の1」などといわれますが、この「何分の1」は秒で、シャッターが開いている時間(=露出(ろしゅつ)時間)を示しています。当然、露出(ろしゅつ)時間が長くなればなるほど、たくさんの光がフィルムに当たります。
レンズシャッターはレンズの途中(とちゅう)にあるため、閉じているときは光が通りません。ですから、レンズを通った光をピントグラスで見る一眼レフでは、レンズシャッターを用いることができません(※注)。そこで、多くの一眼レフカメラでは、フィルム(感光材料)の直前にシャッターが置かれています。これがフォーカルプレーンシャッターです。
フォーカルプレーンシャッターは2枚の幕で構成されており、それぞれが別々に動きます。先幕(さきまく)が開いて露出(ろしゅつ)が始まり、露出(ろしゅつ)を終えるときは後幕(あとまく)が閉じます。レンズシャッターに比べて動かす幕が大きいので、動き自体はややおそくなります。このため、先幕が開ききらない間に後幕をスタートさせることで、フィルムの1点に光が当たる時間を短くしています。
※注
特別なしくみを用いてレンズシャッターを使用する一眼レフもあります。このような機種では、フィルムの前にフォーカルプレーンシャッターに似た遮光板(しゃこうばん)があり、ミラーやシャッターの動きと連動させる複雑なしくみが用いられています。
しぼりは、感光材料に「一度に」当たる光の量を調節するしくみです。多くのしぼりは、複数のうすい金属板を組み合わせた複雑な構造をしており、入ってくる光の束の直径を連続的に変化させています。このようなしぼりができる以前は、レンズのところに丸い穴のあいた板を差しこんで、しぼりにしていました。しぼりを変えるときは、大きさのちがう穴があいた板に差しかえるしくみでした。
なお、ふつう、しぼりの開き加減は口径比(こうけいひ)(焦点距離(しょうてんきょり)を口径で割った値)で表され、数字が小さいほどしぼりが開かれ、多くの光が入ります(数字が大きくなるとこの逆)。