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光の“正体”は?

白い雲と黒い雲、何がちがう? …雲の色のしくみ

雲という言葉を聞くと、まず白い雲を思いうかべる人が多いのではないでしょうか?
でも、じっさいに空に見える雲は必ずしも白とはかぎりません。
白い雲や黒い雲、また入道雲やいわし雲などの名前がついた雲など、いろいろある雲の色、形のちがいなどについて考えてみましょう。

雲の色のしくみ1
雲の色のしくみ2

雲の正体は氷のつぶ!

雲はほとんどがとても細かい氷のつぶでできています。この氷のもとになるのは、地面の近くの空気にまざっているすいじょうき(水蒸気)です。地面から空に向かう空気の流れ(=上昇気流*とよんでいます)がおきると、水蒸気も空に運ばれます。空の高いところは気温が低く**、また空気がまわりからおされる力(=気あつ(気圧))が小さくなります***。すると水蒸気は温度が下がり、とても細かい氷のつぶに変化します。この氷のつぶの集まりが雲です。

雲にあたった光は、氷のつぶではんしゃ(反射)します。また、つぶの中に入る光もあり、何度も折れ曲がったり、反射して、いろいろな方向にちらばって進んでいきます。そのため、雲を通りぬける光もあり、もと来た方向にはね返される光もあります。

*…冷たくて重い空気が地面近くであたためられて温かく軽い空気になったときや、温かい空気の上に冷たい空気が流れ込んだとき、また、山のしゃ面に真横から風がぶつかったときなどにおこります。
**…たとえば高さ5000mの日本の空では夏でも気温がー10〜ー20℃以下です。
***…空気のような気体は、まわりからおされる力が小さくなる(=気圧が低くなる、下がるといいます)とふくらみ(=体積が大きくなり)ます。するとふくらんだ分、持っているエネルギーがちらばっていくため、温度が下がります。

雲での光の進みかた

雲での光の進みかた

雲の本当の色は「白」

氷のつぶは無色とう明なので色はありません。でも、同じように無色とう明なつぶが集まった雪やさとう、塩などが白く見えるのと同じしくみで、多くの雲は白く見えます。

もともと、ものに色がついて見えるのは、ものによってはね返る光がちがうからで、はね返った光を私たち人間は、「ものの色」と感じます。しかし、人間はさまざまな色の光がだいたい同じぐらいにまざり合っていると、色を感じずに白く見えます。
雲にあたっているのはふつうは太陽の光で*、太陽の光にはほぼすべての色の光がまざっているので、雲は白く見えるのです。

*…月の光があたって雲が見えることもあります。

色が見えるしくみ

色が見えるしくみ

白い雲

白い雲

なぜ“はいいろ”や黒い雲があるの?

それでは、なぜじっさいに空を見上げると、“はいいろ”や黒く見える雲があるのでしょうか?これは、ほんとうは白く見えるはずの雲が、明るさのちがいでそう見えているのです。白が暗くなるとはいいろに見え、さらに暗くなると黒っぽく見えます。雲の明るさには、さまざまなパターンがありますが、おもなものを見ていきましょう。

はいいろや黒い雲のしくみ

しくみA 雲ではね返る光が空より明るい

しくみA

まず、太陽の光がさえぎられることなく、雲にあたっていて、私たち人間が太陽とおなじ側から見るとき(しくみA)、雲からはね返った光が目にとどきます。じつは、この光はまわりに見える青空やそのほかの風景よりはるかに明るい光で、雲はまっ白に見えます。

しくみB 雲のむこうがわに太陽があるとき

しくみB

しかし同じ雲でも、うしろに太陽があって、光が雲を通りぬけてとどく場合、通りぬける光ははね返る光より少ないので、雲は暗くなり、はいいろや黒い雲に感じます(しくみB)。このとき雲のあつ(厚)さが厚いほど、雲に集まっている氷のつぶが多い=雲がこ(濃)いほど、ちらばってしまう光が多くなり、通りぬける光の量がへって暗く見えます。

しくみC 雲のむこうがわに明るい空や別の明るい雲があるとき

しくみC

しくみCのように、太陽にてらされた明るい雲(雲1)がむこうがわにあり、その手前に別の雲(雲2)があるとき、私たち人間の目にとどくのは、しくみBと同じように手前の雲(雲2)を通りぬけた光だけになります。ですので、手前の雲(雲2)ははいいろや黒い雲に感じられます。

しくみD 雲がとても濃く、大きく、あつい(高さがある)とき

しくみD

大きい、厚い、濃いといった光を通しにくい雲では、空の高いところから太陽の光があたると、雲の下の方には十分に光がとどきません。このため上の方が白く見える雲でも、下の方がはいいろや黒に見えることがあります(しくみD)。

むこうがわに明るい雲があると黒っぽい雲に

むこうがわに明るい雲があると黒っぽい雲に

雲が厚いほど、濃いほど黒っぽく見えます

雲が厚いほど、濃いほど黒っぽく見えます

光のあたりかたのちがいで、白くなったり黒くなったり。雲がなぜ見えているような色になっているのか、考えてみるのも楽しいですね。

入道雲の底ははいいろ

雲にはいろいろな種類があります。でも、どの雲も氷のつぶの集まりなので、色には差がありません。もし色がちがって見えるとしたら、これまで説明したきたような光のあたりかたが原いん(因)です。
以下にしょうかいするのは、世界的に決められた代表的な10種類の雲の形とその特ちょうです。このほかにも雲の形は数えきれないほどにあって、それぞれできるときの天気の条件がちがいます。ですので、雲のできかたや変化の様子を細かくかんさつすると、その後の天気を予そくすることもできます。
低い空にできる雲は、より高いところにできる雲の手前に見えることが多いので、はいいろや黒っぽく見えることが多くなります。
また、夏によく見られる、先が丸くなった「にゅうどう(入道)雲」と呼ばれる発達した積雲や積らん雲などはとても大きな雲なので厚さも厚く、上の方は白く見えても下の方は黒っぽく見えることが多くあります。

入道雲

入道雲

けん雲(巻雲)

すじ雲ともよばれます。高い空(高さ10kmほど)にできる雲です。空の上のほうにある巨大な空気のかたまりのさかい目(温だん前線。このさかい目で天気が変わることが多い)が近づくとできることが多いので、この雲が増えていくときは天気は悪くなっていくと考えられます。

けん雲

けん雲

けんそう雲(巻層雲)

高い空に「もやっと」かかるうすい雲です。うすくて光がよく通ります。けんそう雲があらわれ始めると天気が悪くなりはじめる前ぶれともいわれています。

けん積雲(巻積雲)

うろこ雲、いわし雲などともよばれます。けん雲と同じように高い空(高さ10kmほど)にうすくできる雲で、低気圧の動きによって発生しやすいとされます。

けん積雲 出典:札幌管区気象台ホームページ

けん積雲
出典:札幌管区気象台ホームページ

高そう雲(高層雲)

高い空と低い空の中間(高さ5kmほどのところ)で、空全体をおおいつくすように広がります。天気のさかい目が近づくとあらわれることから、天候がくずれ雨がふり出す前ぶれとなることが多い雲です。

高積雲

高い空と低い空の中間(高さ5kmほどのところ)にできる、わた毛のようなぽやぽやした雲です。むら雲とかひつじ雲ともよばれます。上下に厚い雲なので、下の部分がうす暗く見えます。

高積雲 出典:札幌管区気象台ホームページ

高積雲
出典:札幌管区気象台ホームページ

そう積雲(層積雲)

高い空と低い空の中間(高さ2kmほどのところ)にできる大きなかたまり状の雲です。すき間から太陽の光が見えることもありますが、間がつまって空をおおうと、そのあとに雨の可能性が高くなります。

積雲

低い空(高さ2kmほどのところ)にできる、わたのようなすがたのため、わた雲とよばれ、地面近くの上昇気流がはげしいと発達します。特に夏は、地面をあたためる日差しが強いために上昇気流もはげしくなるので、大きく発達して、ちょう上部分が丸くなる「入道雲」になることもあります。

そう雲(層雲)

きり雲ともよばれます。地面から数100mほどの高さの、雲としては最も低いところでできます。地面に着いている場合はきり(霧)とよばれます。

らんそう雲(乱層雲)

あま雲とよばれることが多い、高さ2~5kmほどのところにまで広がってできる雲で、温だん前線のところにできます。上下にぶ厚く、雨や雪をふらせる雲です。

積らん雲(積乱雲)

低い空から高い空までつながった巨大な雲で、積雲が大きく発達するなどしてできる雲です。ちょう上部分は高さ10km以上の成そうけん(空気の流れがない高さの場所)にまでとどいて、先たんがつぶれて広がり、「かなとこ雲」とよばれるじょうたいになることもあります。かみなりを発生させたり、雨やひょうをふらせ、短時間でなくなることもあります。

かなとこ雲とよばれるじょうたいの積らん雲 出典:札幌管区気象台ホームページ

かなとこ雲とよばれるじょうたいの積らん雲
出典:札幌管区気象台ホームページ

雲のきほんてきな形

雲のきほんてきな形

色あざやかな雲もある?

ここまで出てきた雲の色はどれも白の明るさが変化した色です。しかし夕焼けの時などには太陽のまわりに赤い雲が見えます。夕焼けに関係ない方向にもピンク色の雲が見えます。これは、赤い光が散らばる夕焼け空では、白い雲にあたる光が赤やピンクだからです。太陽の方向にある雲では、赤い光が雲の氷のつぶにあたってちらばるので雲は赤くなり、太陽と反対がわの空にある雲には、夕空をつき抜けてきた赤い光があたって反射し、赤やピンクに見える雲ができます。

また、太陽がうすい雲を通して見えているとき、太陽のまわりの雲が虹色に見えることがあります。これは、空中の水てきで光がくっせつ・反射してできるふつうの虹とはできるしくみがちがい、雲の氷のつぶで光が色の光に分かれたためにおこる、「暈」(=「うん」または「かさ」と読みます)とよばれるげんしょうです。さらに、太陽の光が氷のつぶを回りこむことで雲のふちが虹の色に見えるさいうん(彩雲)というげんしょうもあります。
これらはたいきこうがくげんしょう(大気光学現象)とよばれ、光と雲、空中の水蒸気がおりなす美しい光景です。

夕焼け雲

夕焼け雲。あかね(茜)雲ともよばれます

暈

彩雲

彩雲

ほかの光のなぞ

日本の色いろいろ