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レンズと反射鏡

いろいろな反射望遠鏡

反射望遠鏡の種類

反射望遠鏡には、さまざまな種類があります。たとえば、「光のなぞ:反射望遠鏡ってなに?」でご紹介したように、星からの光を望遠鏡の筒(つつ)の外に導き出す方法のちがいによって、大きくニュートン式、カセグレン式などに分けることができます。
また、使用している鏡のカーブの種類によっても、いくつかのタイプがあります。これは、作るのが難しい放物面鏡ではなく、作りやすい球面やその他のカーブの鏡を利用して安く作るための工夫です。
その他にも、収差を補正するレンズを組み合わせたものなど、目的(※注)に応じたさまざまな反射望遠鏡があります。なお、よく教科書などで見る電波望遠鏡も、光ではなく電波を反射させて集めるものですが、一種の反射望遠鏡と言うことができます。

ニュートン式とカセグレン式

ニュートン式とカセグレン式

種類 特徴
ニュートン式 おう面鏡(放物面)で集めた光を平面鏡で真横に引き出して、筒(つつ)の横から観察。シンプルで比較(ひかく)的安く作れる。
カセグレン式 おう面鏡(放物面)で集めた光をとつ面鏡(双曲(そうきょく)面)で引きのばし、おう面鏡の後ろ側で観察する。筒(つつ)の長さの割に焦点距離(しょうてんきょり)が長くできる。クラシカル(古典的)カセグレンとも呼ばれる。
グレゴリー式 2枚のおう面鏡を組み合わせたもの。正立像(上下左右が正しい向きの像)が得られる。
ハーシェル式 おう面鏡で集めた光をななめからのぞく方式。像が裏返しになるほか、性能の高いものが作りにくい。
シュミット・
カセグレン式
カセグレン式の対物鏡にふつうの球面を使い、その代わりに特しゅなカーブの補正レンズを使って収差(しゅうさ)を取りのぞいた望遠鏡。
マクストフ・
カセグレン式
シュミット・カセグレン式の補正レンズの代わりに、より作りやすいメニスカス・レンズを使った望遠鏡。
ドールカーカム式 カセグレン式の変形だが、反射鏡のカーブが作りやすい球面とだ円球面になっている。
リッチー・
クレチアン式
カセグレン式の変形だが、広いはんいでシャープな像が得られる。

※注 天体望遠鏡は、あわく広がった天体(星雲など)を中心に観察するタイプや、わく星や月などをくわしく見るタイプなど、目的に応じた工夫がなされています。ただし、学校などで使う望遠鏡は、どのような天体でも見られるようなオールラウンドな性格のものです。

さまざまな反射望遠鏡の光路図

さまざまな反射望遠鏡の光路図

世界の大きな反射式天体望遠鏡

現在、世界でもっとも口径の大きな天体望遠鏡は、カリフォルニア工科大学が所有する2基の「ケック10m望遠鏡」で、ハワイ島のマウナケア山頂に設置されています。ただし、ケック望遠鏡の対物鏡は1枚の鏡ではなく、口径1.8mの鏡を36枚組み合わせて合成口径10mとしたものです。
一方、1枚の鏡を使った世界最大の望遠鏡は、日本の国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」で、その口径は8.2mです。その精度の高さを活かして、深宇宙(宇宙のたいへん遠い領域)の観測などで活やくしています。

大気の影響(えいきょう)のない宇宙で活やくする宇宙望遠鏡では、NASAの「ハッブル宇宙望遠鏡」が有名です。このほか、2003年8月に打ち上げられた「スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡」や、ハッブル宇宙望遠鏡の後けい機としてジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、2011年に打ち上げられる予定です。
これら宇宙望遠鏡は、地上の望遠鏡ほど大きな反射鏡を持っていません(ハッブル望遠鏡で口径2.4m)。しかし、大気のゆれ動きや、雲やきりなどに一切じゃまされないため、これまでの地上最大の望遠鏡でも観測できなかった遠い銀河や、あわいガス星雲姿をとらえることに成功しています。

人間の目では見ることのできない電波をとらえる望遠鏡=電波望遠鏡もあります。その中でも、反射鏡の代わりにパラボラアンテナで電波を反射させて集めるしくみの電波望遠鏡は、一種の反射望遠鏡といえます。 この、反射式の電波望遠鏡で最大のものは、プエルトリコにあるアレシボ電波天文台です。電波を反射する部分の直径は305mもあります。地球外知的生命体探査に用いられていることでも有名です。
日本の電波望遠鏡では、長野県野辺山にある、国立天文台野辺山宇宙電波観測所が有名です。直径45mの電波望遠鏡は、波長約1cmから1mmの電波をとらえるものとしては世界最高の観測能力を持っています。銀河系中心部のようすや、光を出さずに電波だけ出している星などの研究で活やくしています。

ケック10m望遠鏡

ケック10m望遠鏡

すばる望遠鏡

すばる望遠鏡

スピッツアー宇宙赤外線望遠鏡

スピッツアー宇宙赤外線望遠鏡

ハッブル宇宙望遠鏡

ハッブル宇宙望遠鏡

直径45mのパラボラアンテナを持つ電波望遠鏡

直径45mのパラボラアンテナを持つ電波望遠鏡

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