現在、世界でもっとも口径の大きな天体望遠鏡は、カリフォルニア工科大学が所有する2基の「ケック10m望遠鏡」で、ハワイ島のマウナケア山頂に設置されています。ただし、ケック望遠鏡の対物鏡は1枚の鏡ではなく、口径1.8mの鏡を36枚組み合わせて合成口径10mとしたものです。
一方、1枚の鏡を使った世界最大の望遠鏡は、日本の国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」で、その口径は8.2mです。その精度の高さを活かして、深宇宙(宇宙のたいへん遠い領域)の観測などで活やくしています。
大気の影響(えいきょう)のない宇宙で活やくする宇宙望遠鏡では、NASAの「ハッブル宇宙望遠鏡」が有名です。このほか、2003年8月に打ち上げられた「スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡」や、ハッブル宇宙望遠鏡の後けい機としてジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、2011年に打ち上げられる予定です。
これら宇宙望遠鏡は、地上の望遠鏡ほど大きな反射鏡を持っていません(ハッブル望遠鏡で口径2.4m)。しかし、大気のゆれ動きや、雲やきりなどに一切じゃまされないため、これまでの地上最大の望遠鏡でも観測できなかった遠い銀河や、あわいガス星雲姿をとらえることに成功しています。
人間の目では見ることのできない電波をとらえる望遠鏡=電波望遠鏡もあります。その中でも、反射鏡の代わりにパラボラアンテナで電波を反射させて集めるしくみの電波望遠鏡は、一種の反射望遠鏡といえます。 この、反射式の電波望遠鏡で最大のものは、プエルトリコにあるアレシボ電波天文台です。電波を反射する部分の直径は305mもあります。地球外知的生命体探査に用いられていることでも有名です。
日本の電波望遠鏡では、長野県野辺山にある、国立天文台野辺山宇宙電波観測所が有名です。直径45mの電波望遠鏡は、波長約1cmから1mmの電波をとらえるものとしては世界最高の観測能力を持っています。銀河系中心部のようすや、光を出さずに電波だけ出している星などの研究で活やくしています。