インドや東南アジアにあるマメ科の木にスオウという木があります。この木の中心部は赤く、赤い色素が取れます。日本にはない木なので、日本では奈良(なら)時代から海外から輸入して使っていました。奈良(なら)の正倉院(しょうそういん)は、シルクロードを運ばれてきた中国(唐:とう)や、遠くはペルシャなどからの輸入品を宝物(ほうもつ)としてたくさん保存していますが、その中にスオウの木もあります。スオウは、布や糸を「すおう色」にするのに使われ、平安時代の貴族たちの衣服をいろどりました。琉球(りゅうきゅう:いまの沖縄県)との貿易が盛んになった鎌倉(かまくら)時代の終わりごろには、たくさんのスオウが輸入されて広まったようです。スオウではなやかに染められた、安土桃山(あづちももやま)時代、江戸(えど)時代の衣装や着物がいまに伝わっています。