光のなぞ 光や色のたのしい知識がいっぱい!

光の“正体”は?

ホタルはなぜ光る?

ホタルは光り方が違う?

夏になるときれいな小川の近くでお尻を発光させているホタル。このホタルはお尻を発光させることによって、仲間に自分の居場所を知らせるなどのコミュニケーションをとっています。

すべてのホタルが発光するわけではなく、発光するホタルはゲンジホタルとヘイケボタルなどです。一番大きく明るい光を出すのがゲンジホタルです。ゲンジホタルは卵、幼虫、成虫と一生を通して光ります。

夜、光りながら飛んでいるゲンジホタルはほとんどがオスです。メスは草や木の葉にじっととまって、小さな光を出しています。光り方には、プロポーズのための光、刺激された時の光、敵を驚かせるための光の3種類あると言われています。

ホタルが近くにいて光らない場合、軽く息を吹きかけてみてください、刺激されて光ります。

ゲンジホタル

ゲンジホタル

撮影協力:板橋区ホタル生態環境館


ゲンジホタル


ヘイケボタル

光り方の違いをムービーで見てみよう

撮影協力:板橋区ホタル生態環境館

ホタルはどうして光る?

ホタルのお尻に近い部分に、黄色くみえる"発光器"というものがあります。その中には"ルシフェリン"という発光する物質と、発光するのを助ける"ルシフェラーゼ"という酵素があります。この2つの物質と体の中の酸素が反応して光を出します。

この"ルシフェラーゼ"はホタルによって違いがあります。そのため、一般に知られている黄緑色の光以外にも黄色やオレンジ色など光の色はいろいろです。

また、ホタルの光は熱くありません。"ルシフェラーゼ"という酵素は生き物が体内で作り出すもので、化学反応を効率よく進めるためのタンパク質です。この働きによって、電球のように熱くならないのです。

ゲンジホタルの成虫の解説図

ゲンジホタルの成虫

他にも発光する生き物がいる

同じように発光する生き物には、クラゲやホタルイカ、ウミホタル、ヒカリゴケなどがあります。

オワンクラゲ

オワンクラゲは、成長すると傘の直径が20cmくらいになり、おわんをひっくり返したように見えるため、こう呼ばれています。春から夏にかけて、日本各地で見られます。

オワンクラゲには、GFP(緑色蛍光(りょくしょくけいこう)タンパク質)と発光タンパク質であるイクオリンが一緒になって存在します。興奮するとイクオリンと細胞内のカルシウムが反応して一瞬青色に発光します。その光により、GFPが緑色に発光するのです。

米国のボストン大学名誉教授 下村脩博士は、イクオリンとGFPを発見し分離することに成功しました。このGFPは、体や細胞の中で働く他のタンパク質にくっついて光を出すことができます。そのため、がんの増殖を調べるなど医学的な分野で広く使われるようになりました。これが評価されて、2008年ノーベル化学賞を受賞し、オワンクラゲは一躍有名になりました。今では日本各地の水族館でも見ることができます。

オワンクラゲ

オワンクラゲ

写真提供:加茂水族館

ホタルイカ

ホタルイカは日本海側に生息しています。特に有名なのが富山湾で、毎年3月から6月にかけて産卵のためにやってきます。

ホタルイカの発光は青白く、暗い海中で外敵に襲われた時に光を発することで相手を驚かせたり、目くらましを狙った行動のひとつといわれています。
ホタルと同じで発光物質(ルシフェリン)に発光酵素(ルシフェラーゼ)が作用することによって起こります。
しかし、ホタルとは発光物質や発光酵素の構造はいくぶん異なっているようです。

ホタルイカ

ホタルイカ

写真提供:魚津水族館

ウミホタル

ウミホタルは北海道や東北地方を除く太平洋岸で見ることができます。

夜の海岸に行くと波打ち際に青白い光を見ることがあります。これがウミホタルです。大きさは小さく3mmくらいしかありません。
ウミホタルは刺激を受けると青色に発光します。発光は、ルシフェリンとルシフェラーゼによって行われます。しかし、名前は同じでもホタルとは違う物質なので"ウミホタルルシフェリン"と"ウミホタルルシフェラーゼ"と呼ばれています。

ウミホタル

ウミホタル

写真提供:白浜フラワーパーク

ヒカリゴケ

ヒカリゴケは中部地方から北海道にかけて、高地の洞穴や倒木の影などに自生しています。環境の変化に弱く現在では数が非常に少なくなっていますので、見つけてもとらないようにしましょう。

ヒカリゴケは自分で発光しているわけではありません。ヒカリゴケの細胞が光を集めやすいように球のようなレンズになっていて、細胞の奥に集まっている緑色の葉緑体に集めた光が反射することでエメラルドグリーンに光って見えるのです。

ヒカリゴケ

ヒカリゴケ

写真提供:はままつフラワーパーク

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