レンズだけを組み合わせたくっ折望遠鏡に対して、反射鏡を利用した望遠鏡が反射望遠鏡です。くっ折望遠鏡では、とつレンズの持つ「光を集める」「像をつくる」というはたらきを利用していますが、おう面鏡も、これと同じはたらきを持っているのです。
くっ折望遠鏡のもっとも大切な「光を集めて像をつくる」レンズは「対物レンズ」と呼びますが、反射望遠鏡ではこの部分におう面鏡を使います(対物鏡と呼びます)。つまり反射望遠鏡では、対物鏡の作った像を、接眼レンズで観察するわけです。ただし、反射鏡ですので、天体からの光はやってきた方向にはね返って像をつくります。この像をのぞくと頭がじゃまになるので、反射望遠鏡ではいろいろな方法で光を筒(つつ)の外に導き出し、観察するような工夫がされています。
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いろいろな反射望遠鏡:光のなぞ
学校などで使う望遠鏡はほとんどがくっ折望遠鏡ですが、本格的な天文観測に用いる望遠鏡は、実は反射式の方が多いのです。これは、特に天体望遠鏡では、レンズよりも鏡のほうが、以下の点で優れているためです。
(1)性能の良い望遠鏡が比かく的簡単にできる。
レンズでは完全に取り除けない色収差(いろしゅうさ)1 が鏡では発生しないためです。
- ※1 色収差(いろしゅうさ)については、 光を精密に集めるのは大変!:光のなぞ
(2)安く作ることができる。
反射鏡は1面だけで光を集めて像をつくることができますが、レンズでは最低でも表裏の2面が必要です。また、さまざまな収差(しゅうさ)のうちでもっともやっかいな色収差(いろしゅうさ)を弱めるためには、2枚以上のレンズを組み合わせる必要があります。このため、レンズでは最低でも4面をみがかなければなりませんが、反射鏡は1面だけみがけばよいので比かく的簡単に、また、安くできるのです。
(3)大きな望遠鏡が作れる。
レンズではガラスの性質がたいへん重要なポイントになります。特しゅな性質のガラスを使わなければならないうえ、ガラスの内部もむらなくとう明でなくてはなりません。ですから、レンズ用の大きなガラス材料を作るのはとてもたいへんで、また、高価になります。しかし、鏡では光がガラス内部を通らないので、基本的にどんな材料でも利用できます2。 このためレンズに比べて簡単に、より多くの光を集められる大きな望遠鏡が作れるのです。
※2 「どんな材料でも」といっても、性能の高い反射鏡を作るためには、熱によるのび縮みが少ないなど、特別な性質のガラスが使われます。しかし、それでもレンズのガラス材料に比べて楽に作れ、安価です。