「シャッターとしぼりを調節して、ちょうど良い光を感光材料に当てる」・・・このときの光の量が、いわゆる適正露出(ろしゅつ)です。ですから、被写体(ひしゃたい)が明るければ、シャッタースピードを速くしてしぼりを小さくしぼりこみます(しぼりの値は大きくなる)。暗いときはこの逆です。また、同じ明るさでも、シャッターをおそくすればしぼりをしぼり込むことで(またはその逆で)、感光材料に当たる光の量を一定にできます。
さらに露出(ろしゅつ)を考えるときには、感光材料の感度も計算に入れる必要があります。この感度は、銀塩式の場合はフィルムの種類によって決まっていますが、デジタル式の場合はカメラの側で切りかえることが可能です(ふつうはオートで撮影(さつえい)することが多い)。
感光材料に当てる光の量は、これら、被写体(ひしゃたい)の明るさ、感度、シャッタースピード、しぼり…の4つの要素によって調節することになります。
ただし、ちょうど良い光の量=適正露出(ろしゅつ)といっても、それはひとつの値にはなりません。フィルムや撮像(さつぞう)素子が写し取れる光の量には、かなりの幅(はば)があります(これを露光許容範囲(ろこうきょようはんい)あるいはラチチュードといいます)。また、光の当たっている部分からかげの部分まで、被写体(ひしゃたい)の明るさにも幅(はば)があります。適正露出(ろしゅつ)とは、被写体(ひしゃたい)の写したい部分がきちんと写り、被写体(ひしゃたい)の明るさの幅(はば)が感光材料の写し取れる光量の幅(はば)(=ラチチュード)にマッチするような露出(ろしゅつ)のことです。ですから、たとえば写真全体を明るくしたいときと暗くしたいときでは、適正露出(ろしゅつ)は変わってきます。プロのカメラマンが自動露出(ろしゅつ)にたよらず、自分でシャッタースピードやしぼりを調節するのは、ひとつはこのためです。