カキは、盛夏に実をつけ、初秋に向けてどんどん実が大きくなります。もし青い実を見つけたら少しだけかじってみてください。しぶくてすごくいやな味がします。カキにはあまガキとしぶガキがありますが、あまガキでも青いうちはしぶく感じます。このしぶさの正体が、『カキタンニン』という成分です。カキタンニンは食べるのには不向きですが、うまく抽出(ちゅうしゅつ)して"柿渋液(かきしぶえき)"にするとさまざまに利用することができます。カキの実は、熟してくると種の周囲にカキタンニン成分が集まってしぶくなくなってくるので(これで甘くなります)、柿渋液(かきしぶえき)をとるには、カキタンニンが豊富な青い実を使います。すりつぶしてしぼってとる液は、青いカキと同じ青緑色ですが、紙や布にぬると柿渋色(かきしぶいろ)が出てきます。カキタンニンには、酸化してこげ茶色になる性質があるからです。