キヤノンは、半導体露光装置の新製品として、化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoOを低減したi線※1ステッパー“FPA-3030i5a”を2021年3月上旬に発売します。
FPA-3030i5a
新製品は8インチ以下の小型基板向け半導体露光装置で、シリコンだけではなく、SiC(シリコンカーバイト)やGaN(ガリウムナイトライド)などの化合物半導体のウエハーに対応することで、多様な半導体デバイス製造が可能です。これにより、今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応します。また、従来機種「FPA-3030i5+」(2012年6月発売)から、ハードウエアとソフトウエアを刷新し、CoOを低減しています。
サイズが直径2インチ(50mm)から直径8インチ(200mm)までの化合物半導体など多様なウエハーに対応可能な搬送システムを採用しています。さらに、投影レンズを通さずにアライメントマークを計測する新アライメントスコープの採用により、幅広い波長でのアライメント計測が可能です。裏面アライメント(TSA: Through Si Alignment)もオプションとして選ぶことができ、さまざまな顧客の製造プロセスに対応します。また、従来機種の解像力を継承し、0.35マイクロメートル※2の線幅パターンの露光が可能です。これらの機能の搭載により、SiCなどの化合物半導体を含む幅広いウエハー素材で、パワーデバイスや通信デバイスの製造が可能です。
アライメントマークの計測時間を短縮した新アライメントスコープや高速化した搬送システムなどのハードウエアの採用と、ソフトウエアの刷新により、従来機種と比べ生産性が約17%向上しました。8インチ(200mm)のウエハーにおいて123wph(Wafers per hour)のウエハー処理が可能です。また、露光装置内を一定環境に保つチャンバーの温度制御方式を変更したことで、消費電力を従来機種から約20%削減しました。これらの改善により、CoOの低減を求めるユーザーのニーズに応えます。
半導体製造にかかる設備投資や運用に必要な総コストです。半導体メーカーの量産ラインにおける工程や製造装置の生産性を示す指標の一つであり、装置選定を行う際に考慮されます。
キヤノンの小型基板向け半導体露光装置は、シリコンウエハーだけではなく、小型ウエハーが多い化合物半導体のウエハーにも対応可能です。ラインアップは新製品を含めて3製品を揃えています。KrFエキシマレーザーステッパー※3「FPA-3030EX6」(2016年7月発売)は、高い解像力を求めるユーザーのニーズに応えます。i線ステッパー「FPA-3030iWa」(2020年2月発売)は、広い範囲での露光ができ、NA(開口数)が0.16から0.24まで変更可能な投影レンズの採用により、高いDOF(焦点深度)を確保しつつ高精度で均一な線幅を露光できます。
FPA-3030iWa | (新製品)FPA-3030i5a | FPA-3030EX6 | |
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露光波長 | i線 (365nm) |
KrF (248nm) |
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解像力 | 0.80マイクロメートル | 0.35マイクロメートル | 0.15マイクロメートル |
縮小比 | 1:2 | 1:5 | |
一括露光画角 | 52×52mm | 22×22mm | |
レチクルサイズ | 6インチ | 6インチ/5インチ | 6インチ |
ウエハーサイズ | 2インチ(50mm)/3インチ(75mm)/4インチ(100mm)/ 5インチ(125mm)/6インチ(150mm)/8インチ(200mm) |
IoT化が急速に進む近年において、パワーデバイス、通信デバイスなどさまざまなIoT関連デバイスの需要拡大に伴い、それぞれのデバイスに適した素材・サイズのウエハーの使用が増加しています。シリコンだけでなく、SiCやGaNなどを材料とした化合物半導体のウエハーや小型ウエハーなど、特殊基板・小型基板への対応が半導体露光装置にも求められています。(キヤノン調べ)
製品仕様の詳細は、製品ページをご参照ください。
キヤノンが、露光装置事業に本格参入して今年で50周年を迎えました。50周年に際し、「露光装置」の仕組みや性能をイラストや動画で分かりやすく説明した「キヤノン露光装置50周年記念ウェブサイト」を公開しています。露光の仕組みを分かりやすく紹介するキッズ向けページも用意しています。
URL:https://global.canon/ja/product/indtech/semicon/50th/
FPA-3030i5a
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