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しくみと技術交換レンズ

シーンにあわせてレンズを使い分けることで、
多彩な映像表現を可能に

写真のクオリティは、光をどこまで正確にカメラに取り込めるかに大きく左右されます。正確に光を操る良質なレンズがなければ、高画質は実現できません。そのために、レンズの材料選択、非球面などの形状の工夫、特殊なコーティングや加工などを駆使して、さまざまな表現を可能にする交換レンズが生みだされています。

2022/05/30

交換レンズのしくみ

カメラで写真を撮るためには、光を集めて像をつくる「レンズ」が必要になります。レンズは光を屈折させるガラスやプラスチックで作られ、凸レンズと凹レンズの2つの種類があります。凸レンズは、真ん中が厚く、まわりが薄くなっているレンズで、光を集めることができます。一方、凹レンズは、中央部が薄くて周辺部が厚いレンズで、光を広げることができます。

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キヤノンの交換レンズ技術

一本一本に先進テクノロジーを凝縮させ、画期的な描写性能を実現するキヤノンの交換レンズは、世界中の撮影者に選ばれ続けています。




非球面レンズ

「非球面レンズ」は、高画質の大敵となる収差を抑制する技術です。カメラ用レンズは、数枚の球面レンズの組み合わせによって構成されますが、球面レンズには理論上、光線を完全な形で一点に収束できない「球面収差」が発生するという問題があります。

非球面レンズは、収差を抑える技術として考えられました。しかし、加工および形状の精密測定の点でその実現は困難とされ、かつては夢のレンズと呼ばれていました。

そこで、キヤノンは、いち早く製造技術開発に取り組み、1970年代前半に世界で初めて商品化に成功しました。

球面レンズの球面収差

   

非球面による焦点の一致化



蛍石レンズ

色のにじみやズレといった「色収差」を打ち消すためには、蛍石は光の分散が少なく、理想の鉱石と呼ばれています。しかし、蛍石の天然結晶は純度が低く、サイズも小さいこともあってカメラ用のレンズの材料には使用できませんでした。

そこで、キヤノンは、必要なものは自ら創造するという考えのもと、蛍石の人工結晶生成技術の開発に挑戦。1969年に一般消費者向け写真用レンズとして世界で初めて「蛍石レンズ」を採用したレンズを発売しました。

蛍石レンズは、光学レンズと比較して、
(1)屈折率が著しく低い
(2)分散がきわめて小さい
(3)赤外・紫外部での透過性がよい
などの特長があり、色収差を徹底的に除去することを可能にしました。

UDレンズ/スーパーUDレンズ

蛍石は、非常に優れた光学特性を持っていますが、さらに多くのレンズに搭載するために、蛍石と同様の光学特性を持ったガラス素材の開発が必要になってきました。キヤノンは、光学ガラスとして屈折率・分散ともに低い特性を持ち、複数枚の組み合わせにより蛍石と同様の効果を得ることができるUD(Ultra Low Dispersion)レンズの開発にも成功しました。

さらに、UDレンズの性能を大幅に向上させ、UDレンズ2枚分、蛍石の特性とほぼ同等の効果を備えたスーパーUDレンズの開発にも成功。色収差の補正、レンズのコンパクト化に大きく貢献しています。


DOレンズ

キヤノン独自のDO(Diffractive Optics)レンズは、レンズ表面の同心円状にきわめて精度の高い「のこぎりの歯」のようなギザギザの格子をつくることで光の進路をコントロールしています。このレンズは、光の屈折を利用するのではなく、光が障害物にさえぎられた時、裏側に回り込む「回折」という性質を利用して、さまざまな収差を補正します。

DOレンズは、一般的な屈折レンズと色収差がまったく逆の形で発生します。通常の凸レンズの屈折は、青→緑→赤の順で結像するのに対し、DOレンズでは逆に赤→緑→青の順で結像します。通常の凸レンズとDOレンズを組み合わせ、色収差を互いに打ち消して補正することで、望遠レンズの優れた描写力と小型化・軽量化を同時に実現しました。

DOレンズの構造(概念図)



BRレンズ

蛍石レンズやUDレンズなどを開発することでレンズの宿命とも言える色収差を補正してきました。しかしながら、今までの技術ではF値の明るい大口径レンズに採用すると、色収差の除去と小型・軽量化の両立が難しいという課題がありました。

そこで、青色(短い波長域)の光を大きく屈折させるBR(Blue Spectrum Refractive Optics)光学素子を採用したBRレンズを開発。他のレンズ群で青色光の収差が大きく出るようにしておき、青色の光を大きく屈折させるBRレンズでそれを打ち消すことで、色収差をなくしています。

BRレンズがあることで、設計の自由度が上がり、他の色々な特性を持った個性の強いガラスの採用の可能性が広がり、製品全体としてより高性能、コンパクトにすることが可能になります。


中央の青い部分が、BR光学素子


コーティング技術SWC/ASC

SWC(Subwavelength Structure Coating)は、レンズの表面に可視光の波長よりも小さいナノサイズのくさび状の構造物を無数に並べ、屈折率を連続的に変化させることにより、光の反射を抑制するコーティング技術です。入射角が大きな光にも優れた反射防止効果を発揮し、レンズ画面周辺部のフレアやゴーストを大幅に低減しています。


ナノサイズのくさびが反射を抑制

一方、ASC(Air Sphere Coating)は、レンズ表面の蒸着膜の上に、二酸化ケイ素と空気を含んだ膜を形成することで光の反射を抑制するコーティング技術です。光学ガラスよりも屈折率の低い空気をコーティング内に一定の割合で含ませることで、超低屈折率膜を形成。特に垂直に近い角度で入射する光に対して、高い反射防止効果を発揮し、フレア・ゴーストの発生を大幅に抑制することに成功しています。


     

ガラス(コーティングなし)

反射率の高いガラス面のみの場合、入射する光の多くを反射してしまいます。
     

ASC(超低屈折率層+蒸着膜層)

ASCを施すことで、光の反射を抑制し、クリアな描写を実現します。

ナノUSM

ナノUSM(Ultrasonic Motor)は、交換レンズ内に配置され、高速オートフォーカスを可能にしている小型の超音波モーターです。超音波による振動エネルギーによってスライダーを直進運動させるしくみで、フォーカスレンズを光軸方向に移動させて高速オートフォーカスを実現しています。

静止画の撮影時には、レスポンスよく起動・停止し、動きの速い被写体も高速・高精度にとらえることが可能です。動画撮影時にはスムーズな動きで、被写体の動きにあわせてなめらかなオートフォーカスが可能です。


ナノUSM


「角度ブレ」を補正するIS(Image Stabilizer)技術

カメラ用交換レンズにおいて、世界に先駆けて開発したキヤノンのレンズ内光学式手ブレ補正機構は、シャッターボタンの半押しで起動する振動ジャイロセンサーによって、ブレを検知。ブレ量に応じて手ブレ補正ユニットを平行移動させ、カメラを軸にレンズが動く「角度ブレ」の補正を実現しています。

       角度ブレ

光学的にリアルタイムで手ブレを補正するため、ファインダーで補正効果が確認でき、実際に見ているファインダー像がブレないため、思い通りのフレーミングやシビアなフォーカスあわせを可能にしています。



「シフトブレ」まで補正するハイブリッドIS技術

角度ブレに加え、マクロ撮影時に多い「シフトブレ」まで補正できる新しい手ブレ補正機能を実現しています。加速度センサーを新たに搭載し、従来のジャイロセンサーとともにカメラの動きを立体的にとらえて、ブレ量を算出。手ブレ補正ユニットをより的確に駆動させます。

       シフトブレ


RFマウント

RFマウントは、ミラーレスカメラの将来への発展性を見すえ、キヤノンが発案した交換レンズのマウントの仕様です。内径54mmの「大口径」のレンズマウント径を採用し、さらにCMOSセンサーとレンズ最後部を近接して配置する「ショートバックフォーカス」の構成とすることで、光学設計の自由度を高め、レンズを肥大化させることなく光学性能を高める新たな時代の映像表現の可能性を切り拓いています。
 さらに、「新マウント通信システム」を採用し、EFマウントと比較しても通信量と速度が大幅に向上。フォーカス、ズーム、絞り、手ブレ補正、レンズの諸収差などのレンズから収集される情報と、カメラとの双方向通信を瞬時に可能にしています。

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