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しくみと技術超高感度多目的カメラ

月明りの夜空の下でも昼間のように映し出す、
超高感度を実現

自然災害のモニタリングや空港・港湾などの重要施設の監視、野生生物の生態観察など、防災・防犯から映像制作までの幅広いニーズに対応し、昼夜を問わず映像を撮影できる「超高感度多目的カメラ」。夜間でもカラー撮影できる超高感度性能や、厳しい環境下でも撮影できる耐環境性能などが求められます。

2021/10/27

超高感度多目的カメラのしくみ

超高感度多目的カメラは、わずかな光しかない暗い場所でも明るくカラーで映像撮影することができるカメラです。カメラ本体はレンズマウント、イメージセンサー、映像処理プラットフォーム、外部インターフェースモジュールで構成されています。使用目的に合わせたレンズを選んでレンズマウントに装着し、暗がりのわずかな光をレンズを通して取り込みます。そして、超高感度イメージセンサーで電気信号に変換、映像処理プラットフォームでノイズ処理などを行い、映像データに変換後、外部インターフェースを通してモニターなどに出力します。

キヤノンの超高感度多目的カメラ技術

キヤノンはイメージセンサーと映像処理プラットフォームを独自に開発することで、超高感度の最低被写体照度0.0005ルクス*1以下*2を実現しています。

*1:光源によって光が照らされた面が受ける光の明るさを示す単位
*2:最大ゲイン75dB時、ISO感度400万相当

35mmフルサイズCMOSセンサー

カメラの高感度化は、カメラの内部にどれだけ多くの光を取り込めるかがカギになります。イメージセンサーのサイズを大きくすることで感度性能が向上することから、キヤノンは画素部および読み出し回路に独自技術を搭載した35mmフルサイズの大型CMOSセンサーを採用。加えて、さらなる高感度化のため、センサーの画素一つひとつにできるだけ多くの光を取り込むように工夫を施しています。一般に、感度と解像度はトレードオフの関係にあり、解像度を上げるために画素数を増やすと画素の面積が小さくなるため感度が下がり、反対に、画素面積を大きくし感度を高めると、画素数が少なくなるため解像度が低くなります。


画素ひとつあたりの面積比較


キヤノンの超高感度多目的カメラは解像度を1920x1080のフルHD動画撮影に特化することで、1画素あたりの受光面積を大型化。キヤノンのレンズ交換式フルサイズカメラなどに使用されているCMOSセンサーと比べて、7.5倍以上の面積をもつ1辺19μm*3という巨大な画素を割り当てています。さらに、画素一つひとつに届いた光を無駄なく電子に変換できるよう、画素上部にマイクロレンズを配置して最大限に取り込み、フォトダイオードに届ける構造にしています。

*3:1μm(マイクロメートル)は100万分の1メートル



画像内の構造

一方で、画素を大型化すると、フォトダイオードで光から変更された電子を読み出し回路に誘導する時間が大幅にかかってしまうという問題があります。キヤノンでは、電子を流れやすくするために画素の中に多段のポテンシャル構造を設け、段の数や形状、角度など「坂道構造」を新たにデザインして最適化を実現し、大きな画素でも効率良く情報を読み出せるよう工夫しています。


フォトダイオード内に多段のポテンシャル構造を設計

ノイズ低減技術

感度を高めるために画素を大型化すると、画像にノイズが現れやすくなるという問題があります。キヤノンは、固定したパターンで現れるノイズをオンチップノイズ除去技術で除去。さらに、ランダムノイズも画素内完全電荷転送技術によって抑制して高画質を実現しています。ランダムノイズは、信号を高速処理するほど大きくなるという問題があるため、キヤノンのCMOSセンサーでは、信号読み出し時、設定感度に応じてあらかじめ増幅を行い、S/N比の高い信号を高速アンプに送る独自技術を搭載。高速の増幅処理によってランダムノイズも大きくなる他方式と異なり、高感度設定や長秒時露光にも充分に耐えうる低ノイズセンサーを実現しています。


ノイズの種類

固定パターンノイズを取り除く、オンチップノイズ除去技術

固定パターンノイズは画素アンプのばらつきなどによって起こり、異なる時刻に撮影しても、いつも同じ画素にノイズが発生します。オンチップノイズ除去技術では、ひとつの光信号に対して、まずノイズ情報のみを、次に光信号を乗せて読み出し、後者から前者を引くことで、固定パターンノイズをゼロに近づけることを可能にしました。




ランダムノイズの発生を抑える、画素内完全電化転送技術

フォトダイオード(電荷の蓄積部)を完全にリセットするとランダムノイズを抑えることができるため、キヤノンは、光電荷の蓄積部と信号の読み出し部をそれぞれ独立させて設計することにしました。まず、蓄積部に残留したノイズ電荷を読み出し部に転送することで、フォトダイオードの完全なリセットとノイズ初期値の保持・読み出しを実現。続いて、光電荷とノイズ電荷を一緒に読み出し、ノイズ初期値の情報を引くことで、ランダムノイズの影響を抑え、センサー出力のS/N比を高めました。




ダイナミックレンジ

映像処理プラットフォームは、イメージセンサーから受けた電子を映像や画像に変換する役割を果たします。センサー情報の補正やノイズ処理なども行うため、画質の良し悪しを決める重要なパーツのひとつです。
キヤノンの映像処理プラットフォームDIGIC DV4*4は、センサーから送られてくる大量のデータを高速で処理し、低照度撮影時に起こりがちな低照度部の黒つぶれや高輝度部の白とびを軽減することができます。暗い部分と明るい部分の輝度差が4,000倍以上あるシーンでもS/Nを充分に確保したまま、クリアに映像をとらえることができ、一般的なビデオカメラに比べて、2倍以上のダイナミックレンジを保有しています。


*4:ML-100 M58はDIGIC DV4を非搭載


小型設計、耐環境・耐久性を実現

キヤノンの超高感度多目的カメラでは、監視・研究・調査などのさまざまなシステム機器へ組み込みやすいボックススタイルを採用。なかでも「ML-105 EF」と「ML-100 M58」では、インターフェースや内部構造の見直しにより、従来機種ME20F-SHに比べて体積約50%以下の小型設計を実現しています。また、従来機種に搭載していたカメラの側面に吸排気口が必要なファンを外し、筐体から熱を放出する空冷システムを採用しました。さらにアルミ合金製のパネルを外側に採用し、パネルの継ぎ目部分にシーリング加工を施しています。これにより、米国国防総省が定める物資調達規格「MIL-STD-810G」の4項目*5に相当する耐久性、国際電気標準会議が定める水や異物侵入の保護等級の規格「IP54*6」相当の防じん・防滴性能など高い耐環境性能を実現しました。


*5:高温動作・保管(Method 501.6-High Temperature)、低温動作・保管(Method 502.6-Low Temperature)、振動(Method 514.7-Vibration)、衝撃・落下(Method 516.7-Shock)。当社試験条件で測定。

*6:「IP54」の「5」は「粉塵が内部に侵入しても正常な動作を阻害しない」レベルを、「4」は「水の飛沫に対する保護」レベルを指す。当社試験条件で測定。

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