テクノロジー

EOS R3 EOS R3

撮りたい瞬間をとらえるミラーレスカメラ

EOS R3

高速性能やAF性能に優れたフルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」。かつてない映像表現を追求し、最先端の技術を搭載しています。操作感や画質などにおいて、つねにニーズのその先を追い求める開発姿勢、厳しい品質評価により獲得した信頼性で、プロやハイアマチュアの想いに応えます。

2023/08/31

独自のAF技術が、理想を超える瞬間を提供

デジタルカメラの進化にともない、難易度の高い被写体やシーンへの対応力が高まりましたが、“もっと思い通りに撮りたい”という撮影者の願いは尽きません。それをかなえるために、キヤノンはどのような機能がユーザーの撮影領域の拡大につながるのかを考え、新しい技術を次々に生みだしています。

eosr3

EOS R3

撮影者の意思をより早く、確実にカメラに伝えるための技術の1つにオートフォーカス(AF)があります。2021年発売の「EOS R3」は、撮影者が目で見たところにピントを合わせる「視線入力機能」を搭載。撮影者の視線をとらえるには、瞳を高精度に検出する必要があります。まぶたやまつ毛、カメラの構え方やメガネの有無などによる瞳検出精度への影響を低減するため、さまざまな人の目や撮影者のファインダーの覗き方を観察するなど、より多くの人が使える機能にするために試行錯誤を重ねて品質を高めています。

赤外線LEDの照射により瞳を高精度にキャッチ

赤外線LEDの照射により瞳を高精度にキャッチ


撮影者が目で見たところにピントを合わせる「視線入力機能」
※静止画撮影時のみ。動画撮影時は使用できません。

被写体を検出してとらえる「被写体検出機能」には、膨大なデータをAIに学習させるディープラーニング技術が生かされています。検出可能な被写体や条件が強化されるとともに、従来は苦手だったシーンも対策を重ね、改善されています。キヤノンのカメラ開発でいま最も進んでいる技術であり、視線入力機能と組み合わせてより使いやすくするなど、思い通りのシーンが撮れるよう、今後もさらなる進化をめざしています。

動物やスポーツ選手など、激しく動く被写体も検出

動物やスポーツ選手など、激しく動く被写体も検出

協調制御による手ブレ補正が広げる手持ち撮影の可能性

ピントが合っていない「ピンボケ」と同じく、撮影において避けたいのが「手ブレ」です。キヤノンは、「EOS R5」(2020年7月発売)で一眼レフEOSシステムを大きく上回る8.0段※1の手ブレ補正効果を達成。5種類ある手ブレ※2のすべてに対応するこの補正効果は、レンズとカメラのボディー双方にある手ブレ補正機構を活用する「協調制御」というシステムの開発により実現しました。
協調制御では、レンズとボディー間で多くの情報を素早くやりとりし、補正比率を撮影動作に合わせて切り替えることで、補正効果を最適化します。これを可能にした要素のひとつにレンズとボディーの高速通信があります。システムの進化を見越し、以前からミラーレスカメラ「RFマウント」の通信技術を磨いてきました。手持ちでも、暗所明所問わず1台のカメラで満足のいく撮影ができるよう、EOS Rシステム全体で撮影者をサポートします。

手ブレ補正なし

手ブレ補正なし

手ブレ補正あり

手ブレ補正あり

  • ※1 RF24-105mm F4 L IS USM装着時 f=105㎜ Yaw/Pitch方向、CIPA規格準拠
  • ※2 シフトブレ(上下左右の2方向)、角度ブレ(上下左右の2方向)、回転ブレの5軸

シミュレーション技術の活用と妥協のない品質評価

キヤノンでは、さまざまな事業でシミュレーション技術が採用されることで、これまでできなかった解析を高速に処理できるなどの開発の精度や速度が向上し、ものづくりの効率化が図られています。従来は試作機を用いて、落下テストやボディの発熱測定などを行っていましたが、それらは設計の段階でシミュレーションできます。手ブレ補正機構は電磁駆動という原理を使って動いていますが、イメージセンサーへの磁力の影響などもシミュレーションで確認できます。品質の向上につながるだけでなく、開発期間の短縮により、ユーザのニーズにも迅速に対応することができます。
カメラ設計のノウハウは過去の技術の蓄積に支えられています。たとえば外装のマグネシウム合金の肉厚の最適設定や、防滴性能を発揮するためのシーリング部材の配置設計など、フィルムの一眼レフカメラ開発時からの知見が生かされています。ダイヤルをひたすら回して耐久性を確かめるなど、従来は人の手で行っていてシミュレーションではできないテストは、ロボットによる自動化が図られています。
ユーザーによりよい製品を届けるために、試作機の段階では品質管理部門と開発部門が一致団結して評価と対策をくり返します。特に画質やAFは品質評価が厳しく、その高いハードルを超えないと次のプロセスへ進むことはできません。たとえば高感度での画質や、暗闇でのAFのピント合わせの精度など、目標スペックを達成するまで発売しないというポリシーで、最後の最後まで諦めずに開発が進められています。

水滴や砂塵の侵入を防ぐシーリング部材

水滴や砂塵の侵入を防ぐシーリング部材


技術の蓄積を生かし、ニーズに応えるカメラをつくり続ける

いままで撮れなかった撮影領域の拡大をめざして開発したEOS R3。全社のさまざまな部門の要素技術を集結させ、プロやハイアマチュアのニーズに応えるカメラに仕上げました。EOS 1Dシリーズに対してボディの軽さ、超高速連写機能や可動式の液晶モニターなどの魅力をプラスし、ミラーレスカメラでの新たな撮影スタイルを提案しています。
大型スポーツイベントなどで従来からサポート体制が整っているのもキヤノンの強みです。現場では、修理や調整などでプロフォトグラファーの仕事を止めない、ゼロダウンタイムをめざして迅速に対応しています。得られた情報は、EOS R3の改善はもちろん、将来のカメラ開発にも生かされます。近年はファームウェア(カメラやレンズを動かすソフトウェア)での改善や機能追加でフィードバックに応えることも増えてきており、ニーズに迅速かつ的確に応えることで、高い信頼性を獲得しています。
キヤノンは、必要な機能を実現するため、何年も先のことを考えて、要素技術を育み体系化しています。さまざまな部門で技術開発を実施し、どの機能を搭載するとターゲットユーザーの利便性が高まるかを考えて目標スペックを決めます。キヤノンの要素技術はすそ野が広く、アイデアを実現しやすい環境になっています。また、R&D部門などの全社にまたがる研究部門とも密接に結びついていることも特長です。その要素技術やシミュレーション技術があるからこそ、品質に妥協しない、信頼されるカメラの開発ができています。さらに、カメラ事業部門が開発で培ってきたデータベースがシミュレーションのさらなる正確性につながっています。
医療や宇宙、農業など、用途の拡大が見込まれるカメラ。キヤノンは、これまで撮れなかったものが撮れるカメラをめざし、全社で培った技術の蓄積や幅広いユーザーからの声を糧に、今後も映像表現の可能性を広げ続けます。

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