キヤノンサイエンスラボ

CCDセンサー

カメラの撮影素子などに利用されているCCD(Charge Coupled Device・電荷結合素子)は、光を電気信号に変える半導体センサーです。
銀塩カメラのフィルムにあたる部分に、デジタルカメラでは「撮像素子」と呼ばれる電子部品が組み込まれています。そのひとつが、CCDセンサー。光を感じて電気信号に変換する半導体センサーで、画素と呼ばれる小さな素子が集まってできています。200万画素とか400万画素というのは、CCDセンサーを構成する画素数のこと。画素のひとつひとつには受光素子(フォトダイオード)があって、光の強さに応じた電荷が蓄えられます。これらの電荷はバケツリレーの原理で次々に運ばれ、最終的に電気信号に変換されます。

光を電気に変える仕組み

CCDセンサーの表面にはびっしりと「受光素子」が配置されています。ひとつひとつの受光素子が光の強弱を感じ、電荷の形で蓄えるのです。ここでは受光素子の仕組みを見てみましょう。受光素子(フォトダイオード)は、半導体の一種です。半導体の基本はp型半導体とn型半導体がペアになったpn接合という構造にあります。pn接合のp型側にプラスを、n型側にマイナスの電極をつないで電圧をかけると半導体の内部を電流が流れます。これを「順バイアス」といいます。逆にpn接合のp型側にマイナスを、n型側にプラスの電極をつないで電圧をかけても電流は流れません。これが「逆バイアス」です。受光素子は、逆バイアスの構造をしています。一般の半導体と違う点は、光があたると光の強さに比例した電荷が内部に蓄積されるという点です。

受光素子が帯電する

受光素子は、p型側に光があたるようにつくられています。ここに光があたると内部に電子と正孔(ホール)ができます(この現象を光電効果と呼びます)。受光素子にあたった波長の短い光はp型層で吸収されます。このとき生じた電子はn型層へ移動します。波長の長い光はn型層まで届き、n型層では光で生じた正孔がp型層へ移動します。つまりp型層側では正孔が集まってプラス帯電し、n型層側では電子が集結するためマイナスに帯電するわけです。しかも逆バイアスのため、生じた電荷はせき止められ流れ出ることはできません。光が強くなれば帯電する電荷の量も増えてきます。このように光があたることで半導体の接合部に電圧が現れる現象を「光起電力効果」と呼びます。受光素子は、この光起電力効果を利用して光の強弱を電荷の大小に変える装置なのです。身近なところでは、赤外線リモコンの受光部やカメラの露出計にも受光素子が利用されています。

CCDセンサーは電荷をバケツリレーする

CCDセンサーは、受光素子と、受光素子の電荷を転送するためのCCD転送路から構成されています。受光素子で発生した電荷はそのままでは電気信号として取り出すことができません。受光素子から電荷を読み出すのが、CCD転送路です。CCDセンサーでは、各受光素子にたまった電荷はCCD転送路を通じて次々と、右なら右と隣に移し、ひとつひとつの素子の電荷を電気信号として端から順に出力します。「パルス」という“かけ声”ひとつで、各受光素子がいっせいに隣の素子に電荷をバケツリレーするような仕組みになっているのです。CCDとは、「Charge Coupled Device(電荷結合素子)」の略語ですが、素子間を電荷がバケツリレー式に転送されるため「電荷結合」と呼ばれています。

関連情報