サプライチェーンマネジメント
取り組み

サプライヤーに対する取り組み

サプライヤーの評価

新規のサプライヤーと取り引きを開始する際には「キヤノン サステナビリティ サプライヤー ガイドライン」などにもとづいて審査を行い、企業倫理、地球環境保全(化学物質管理、大気汚染や水質汚濁の防止、廃棄物の適正処理、省資源・省エネルギー活動への取り組み、温室効果ガスの削減、生物多様性保全)、財務、生産体質などの基準を満たしているサプライヤーだけを選定しています。そして、年1回の定期調査の結果や取り引き実績などから総合的に評価し、評価の高いサプライヤーと優先的に取り引きできるようにしています。さらに、評価が低いサプライヤーに対しては現地監査を行うなど、改善に向けた指導・教育などを行っています。特に、人権、労働、環境などの法令や社会的取り決めに関わる項目を遵守していない場合には取り引きを継続しない場合があります。

サプライヤー評価のフロー
サプライヤー評価のフロー
  • ※ 企業倫理には、法令遵守、製品安全、機密情報管理、人権、労働、安全衛生、知的財産権保護などを含む

主要サプライヤーについては、RBA行動規範に対する活動について、同意書への署名をお願いしています。2025年は主要サプライヤー374社のうち、367社(98.1%)から同意を得ています。

また、RBAに認められたSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を用いて、労働、安全衛生、環境、倫理に関するリスクの特定と評価を行っています。毎年、リスクアセスメント完了率95%以上を持続することを目標とし、2025年の完了率は99.5%でした(調査対象374社のうち372社)。

回答が得られなかったサプライヤーについては、個別確認を実施しています。結果として、リスクが高いと特定された主要サプライヤーはありませんでしたが、調査結果を主要サプライヤーにフィードバックし、弱点を把握して、今後の改善に生かすように要請しました。

また、一部の主要サプライヤーに対し、SAQの回答内容の検証を目的としたサプライヤーとのオンラインミーティングや現地確認を実施しています。

サプライチェーンにおける人権尊重

グリーン調達とサプライヤーへの働きかけ

環境の分野では、キヤノンはサプライヤーへの要求事項を定めた「グリーン調達基準書」を策定し、遵守を取り引きの必須条件としています。「事業活動」「物品」の2つの視点での管理を車の両輪ととらえ、次の図中のA~Dの4つの枠組みが有効に機能していることを要求事項としています。万が一、サプライヤーが環境にマイナスの影響を及ぼした場合には直ちに是正措置を求め、改善状況を確認しています。

グリーン調達基準の要求事項の考え方
グリーン調達基準の要求事項の考え方

製品含有化学物質管理

具体的には、キヤノングループ環境憲章の環境保証理念にある「資源生産性の最大化」を積極的に推進するため、サプライヤーに事業活動の環境負荷低減に向けた環境マネジメントシステムの構築、運用を要求しています。

また、サプライヤーにおける環境汚染の未然防止に向け、キヤノンはこれまでもサプライヤーの事業活動のしくみ、パフォーマンスに関する状況・是正確認を行ってきましたが、リスク管理をより一層強化する取り組みを進めています。たとえば、強化される法規制に確実に対応していくため、新興国・地域における排水や廃棄に関する法規制情報の収集・分析の強化を図っています。また、重金属を多く使用することから、排水処理に関わる環境汚染リスクが相対的に高いめっき工程について、リスク管理を行っています。このようにリスク管理の対象範囲を拡大することで汚染の未然防止に努めています。

サプライヤーとの連携

キヤノンは、「EQCD思想」を実践するために、サプライヤーとの協力関係を強化しています。

具体的には環境推進の取り組みとして、CO2排出量の可視化や低CO2排出材料・部品の採用などのCO2削減活動、また資源循環対応、化学物質法規制対応について、サプライヤーとともに活動を進めています。

また品質向上の取り組みとして、評価基準を明確にするとともに、サプライヤーからの声をフィードバックすることにより、品質向上を図るなど、サプライヤーと連携を図っています。

2025年のサプライヤーとの協業事例

キヤノンハイテクタイランド(CHT)は、プラスチック廃棄物や梱包材の削減を目的として、サプライヤーと協業し、梱包方法の改善に取り組んでいます。部品の梱包材としてプラスチック袋のかわりに紙製のコーナー材を採用。また、輸送梱包ではパレット包装に使用するストレッチフィルムを削減しました。さらに、CHTとサプライヤー間で梱包材の循環利用も実施しています。

サプライヤー(奥側)とのミーティングの様子
サプライヤー(奥側)とのミーティングの様子

キヤノンプレシジョンでは、サプライチェーン全体で環境負荷低減を加速するため、サプライヤーとの協業による省エネ活動を展開しています。サプライヤーを訪問し、改善事例の共有や活動状況の確認を実施。さらに測定機器を貸与し、電気やエアーの使用状況を可視化することで改善を促進しています。2025年は2社を対象に活動を行い、排出量6.16t-CO2e削減に貢献しました(2024年からの累計では4社30.81t-CO2e削減)。今後は輸送効率の向上による物流における排出量削減など、さらなる施策を計画しています。

環境負荷低減に向けて協業したサプライヤーの声

弊社工場は2024年1月に移転、新設し、環境負荷低減の努力を重ねてきましたが、今回、キヤノンプレシジョンとの数回にわたる打ち合わせやアドバイスにより、見落としがちなコンプレッサーのエア適正化に焦点を当て、さらなる環境負荷低減を達成できました。今後の継続した改善につながる新たな気づきを発見でき、たいへん有意義な取り組みとなりました。

前田 拓也氏 株式会社トーモク 青森工場 工場長
前田 拓也氏
株式会社トーモク
青森工場 工場長

また、キヤノンはニデックと共同で、同社製ファンモーターの原材料CO2排出量の一次データを算定し、初めてキヤノンのオフィス向け複合機のライフサイクルCO2排出量算定に組み込みました。

サプライヤーとの協業によるサプライヤー 一次データの組み込み

サプライチェーンにおけるリスクに関する連絡窓口

キヤノンではサプライチェーンに関する懸念について社内外問わず匿名で連絡できる窓口を設けています。児童労働や強制労働の発生など、人権やその他責任ある企業行動に関する具体的な懸念や情報がある場合には、この窓口を通じて通報ができることを「キヤノンサプライヤー行動規範」に記載し周知しています。

責任ある企業行動に関する通報窓口

責任ある鉱物調達への取り組み

キヤノンを含め多くの企業が製造・販売する製品には、さまざまな鉱物由来の材料が使用され、世界中の原産地から多様なサプライチェーンを経由して調達されています。これらのなかには鉱物の採掘地や製錬所などの加工先において、武装勢力の関与、深刻な人権侵害や環境破壊が指摘されるものがあり、紛争地域や高リスク地域を把握して、人権・環境リスクが高い事業者から供給される材料の使用を回避することが企業の社会的責任の一つとして求められています。

キヤノンはお客さまに安心して製品をお使いいただくため、サプライヤーや業界団体と協力しながら、責任ある鉱物調達の取り組みを進めています。

責任ある鉱物調達に関するキヤノングループの基本方針

デュー・デリジェンス

キヤノンは、鉱物の原産国調査ならびにデュー・デリジェンスの実行において、経済協力開発機構(OECD)が発行する「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンスガイダンス(OECDガイダンス)」記載の5段階の枠組みに従って取り組みを進めています。

グループで統一した方針と調査・報告体制を整えるとともに、対象となる鉱物や金属が含まれている製品を特定し、その部品や材料について、サプライチェーンをさかのぼった調査を実施し、世界の紛争地域や高リスク地域に所在する人権・環境リスクを特定するデュー・デリジェンスを実施しています。

リスクの特定と評価

アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国で産出されるスズ、タンタル、タングステン、金(3TG)は、その一部が武装勢力の資金源となり、深刻な人権侵害や環境破壊、違法採掘などを引き起こしているとして紛争鉱物と呼ばれています。キヤノンは、このDRCおよびその隣接国を含む、世界各地の紛争地域や高リスク地域から産出される3TGについて、リスク調査を実施しています。

さらに、3TG以外の鉱物として、採掘場での人権リスクの懸念により、世界的な関心が高まっているコバルトについてもリスク調査を実施しています。

キヤノンでは、Responsible Minerals Initiative(RMI)が公表する標準調査票であるConflict Minerals Reporting Template(CMRT)とExtended Minerals Reporting Template(EMRT)および必要に応じてキヤノン独自の調査票を活用してリスクを特定・評価し、その結果をリスク低減に向けた取り組みにつなげています。

  • ※ 責任ある鉱物イニシアティブの略で、紛争鉱物対応で主導的な役割を果たしている国際的なプログラム

リスク低減に向けた取り組み

鉱物の原産地や製錬所の特定には、サプライヤーの協力が欠かせません。キヤノンは調査対象となる全サプライヤーに対して、調査マニュアルなどを配付して調査を支援するとともに、RMIが公表する適合製錬所の情報について確認を促し、RMIが適合と認定した製錬所を使用するよう要請しています。調査の結果、著しいリスクが発見された場合には、サプライヤーに対しリスクの低いサプライチェーンへの切り替えを要請し、リスク低減に取り組んでいます。

また、懸念されるリスクを早期に認識するため、公式Webサイトに「鉱物リスクに関するご連絡窓口」を設置しています。キヤノン製品のサプライチェーンに関連して、紛争地域および高リスク地域における鉱物の採掘・取り引き・取り扱い・輸出をめぐる具体的な懸念や情報(紛争地域における武力勢力の資金源や人権侵害となっている事実など)がある場合は、この連絡窓口に通報することができます。

鉱物リスクに関するご連絡窓口

業界団体との連携

キヤノンは、2015年4月より、鉱物リスクの問題解決に注力する国際的なプログラムであるRMIに加入し、その活動を支援しています。

日本国内では、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の「責任ある鉱物調達検討会」の主要メンバーとして活動しています。

2025年調査と情報開示

2025年は、調査対象のサプライヤーに3TGおよびコバルトに関する調査を依頼し、3TGについては約91.7%、コバルトについては約90.9%から回答を得ました(2026年3月23日時点までの暫定回収率)。

回答があった範囲内においては、重大な人権・環境リスクを明示するものはありませんでした。しかし、複雑なサプライチェーンをさかのぼる調査においては、製錬所の特定が難しい、不明回答が多いなどのさまざまな課題が生じるため、キヤノンではさらなるリスクの特定と改善に努めています。

キヤノンでは、OECDガイダンスに従い、キヤノンにおける調査体制、調査結果、リスク分析、特定された製錬所の情報などを、毎年キヤノンのWebサイトで開示しています。

3TGの調査に関する報告書については、キヤノンの鉱物調査への取り組みが国際的な基準であるOECDガイダンスに合致していることを確認するため、独立した専門家による監査を受け、保証を受けています。

また、2025年は生産会社9拠点においてRBAのVAP監査を受審しました。受審拠点においては、RBA行動規範の「D.倫理 7.責任ある鉱物調達」にもとづく要求基準に適合していることが外部監査機関により確認されています。

Responsible Minerals Sourcing Report(3TG)(英文)