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ひび割れ検知AI技術 ひび割れ検知AI技術

ひび割れ検知AI技術

キヤノンは、社会インフラ構造物(橋梁やトンネルなど)の保守・管理にかかる点検作業を効率化するため、ひび割れをはじめとした変状を検知するAIを開発しています。

2019/11/19技術紹介

#産業機器#イメージング技術#社会貢献#AI#IoT#機械工学#電気工学#情報工学

世界中に広がるインフラクライシス

巨大な橋がほんの数秒で崩れ落ちる……。信じられないような痛ましい事故が世界を驚かせています。丈夫な建物の代表にも思えるコンクリート構造物が崩壊する原因は、老朽化にほかなりません。一般的には、コンクリートは40年~50年ほどで劣化が進んでいくと言われています。劣化を見落とせば重大な事故につながる可能性があるため、コンクリート構造物の点検や補修作業は、私たちの生活を守るうえで非常に重要です。

カメラ画像を使用した点検のニーズ増加

コンクリート構造物の劣化を診断するうえで重要な基準となるのが、ひび割れです。従来のコンクリート構造物の点検では、専門知識を持つ土木技術者が近接目視でひび割れを確認し、スケッチしたひび割れ点検結果を元に、点検データを作成していました。このような点検方法は、多いときには数十万本にもおよぶひび割れを、土木技術者が一つひとつ手作業で記録するため、膨大な時間とコストがかかります。また、ひび割れの長さや形を正確に写しとるものではありませんでした。この課題を解決するために、近年はカメラで撮影した画像を使用する、画像ベース点検への期待が高まっています。

従来の近接目視点検

従来の近接目視点検

AIで点検を高精度・高効率に

映像のリーディングメーカーとして、長年にわたって画像に関するAI開発を行ってきたキヤノンは、これまで培ってきた技術を活用して、コンクリート構造物のひび割れ検知技術への取り組みを開始しました。現在開発中の画像ベース点検は、「撮影」「画像処理」「変状検知」の3つのプロセスで構成され、それぞれのプロセスにおいて、点検の精度と作業効率を高めます。

AIで点検を高精度・高効率に AIで点検を高精度・高効率に

まず、「撮影」プロセスでは、キヤノンのフルサイズ一眼レフカメラやドローンを使用し、カメラメーカーとしての豊富な撮影ノウハウを生かして、点検対象物を高精細に撮影します。これにより、幅0.2mmの細いひび割れも認識可能となりました。

キヤノンの一眼レフカメラ、ドローンを使用した撮影 キヤノンの一眼レフカメラ、ドローンを使用した撮影

キヤノンの一眼レフカメラやドローンを使用した撮影

「画像処理」プロセスでは、まず、撮影した画像の角度を修正するあおり補正処理を行い、構造物を正面から見た画像にします。構造物の図面と撮影画像をぴったりと重ね合わせることで、ひび割れの正確な評価が可能になりました。また、壁面の前に柱などの遮蔽物がある場合でも、複数方向からの撮影画像を合成することで、遮蔽物を除去した画像の作成も可能になりました。

あおり補正 あおり補正

あおり補正

遮蔽物除去 遮蔽物除去

遮蔽物除去

「変状検知」プロセスでは、AIによりひび割れを検知し、そのひび割れの幅を判定します。キヤノンのひび割れ検知AIは、ディープラーニングによってコンクリート壁面のひび割れを学習することで、汚れや継ぎ目などを誤検知することなく、正確にひび割れを検知することができます。たとえば、下記の実証実験では、99.5%という高精度な検知を実現しています。

  • ※社内実証実験の実例結果による検知率

ひび割れ検知結果 ひび割れ検知結果

ひび割れ検知結果

また、1本のひび割れ範囲を正しく記録したいという土木技術者のニーズに応えるため、途切れて検知してしまったひび割れ部分を、自動的に連結する処理も行うことができます。これらの画像処理技術により、土木技術者が手作業で画像からひび割れを抽出する手法と遜色のない結果を出すことを可能にしました。

検知精度の比較 検知精度の比較

検知精度の比較

土木技術者は、AIが出力したひび割れ検知結果を確認するだけで、高精度な点検データを作成できるようになり、作業工数を大幅に軽減することが可能になります。ある例では、土木技術者が、画像から約500本のひび割れを抽出し点検結果データを作成する作業に、720分を要していました。しかし、ひび割れ検知AIを利用すると、90分で点検結果を作成することができ、作業工数を8分の1にまで短縮できました。また、人間の判断ではばらつく傾向にある点検結果を、常に一定の品質で作成できるということも、大きな利点となっています。

インフラ構造物点検のエキスパートとの共同研究

ひび割れ検知AIを開発するためには、ひび割れの位置を正しく示す学習データが必要となります。しかし、キヤノンには、ひび割れとはどのようなものかなどといった、基礎的な知識がありませんでした。そこで、画像ベース点検で多くの実績を持つ東設土木コンサルタントと共同で研究を行うことにより、ひび割れ検知結果の連結処理など、実用のレベルを満たすひび割れ検知AIの開発を実現しました。

キヤノンの画像ベースインフラ構造物点検(3分40秒)

AI・イメージング技術で社会の期待に応える

今後、建設後50年を経過するインフラ構造物の割合は急速に増えていきます。日本では、50年を経過する橋(橋長2m以上)は、2018年3月では約25%でしたが、2023年には約39%、2033年には約63%へと増加していきます。一斉に老朽化が進むインフラ構造物を安全に維持していくため、画像ベースでのインフラ構造物点検による作業の効率化には大きな期待が寄せられています。また、画像と点検結果をデジタルで管理することにより、データ管理コストの削減や、早期の問題発見が可能になるなど、多くのメリットが期待されています。

キヤノンの画像ベースインフラ構造物点検技術は、社会からの需要に応える技術として、さらに進化を続けていきます。

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