テクノロジー

最先端CMOSセンサー 最先端CMOSセンサー

超高感度、超多画素…。「尖った」センサーを続々製品化

新世代CMOSセンサー

デジタル一眼レフカメラ実現のためにいちからスタートしたCMOSセンサー技術。
今や人間には見えないものまで見えるようになり、便利で安心な社会に貢献していきます。

2019年5月23日

グローバルシャッター搭載CMOSセンサー

高速で移動する被写体をゆがみなくとらえるCMOSセンサー

従来のCMOSセンサーは、「画像を1行ごとに順に光を取り込む」方式のため、高速で動く被写体はゆがんで撮像される課題がありました。

そこで、キヤノンでは「全画素同時に光を取り込む」方式を採用し、新たに開発を実施しました。これにより、製品検査などの産業用途で求められる、高速で動く被写体もゆがみなく撮像することを可能にしました。全画素読み出しで毎秒120フレームという高いフレームレート達成には、消費電力の増加が懸念されたものの、キヤノン独自の回路技術によって低消費電力を実現。発熱量も少なくなり、放熱のためにカメラ筐体(きょうたい)の体積も大きくする必要がなく、カメラ筐体の小型化にも寄与しています。工場でベルトコンベア上の部品を検査するカメラやドローンに搭載する空撮用カメラなどへの活用を想定しています。

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3U5MGXSC

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ローリングシャッター方式での撮影

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グローバルシャッター方式での撮影

超高感度35mmフルサイズCMOSセンサー

月の明かりで鮮明なカラー撮影が可能なCMOSセンサー

監視や自然現象の観察などでは、暗闇の中での動画撮影のニーズが高まっています。キヤノンは、CMOSセンサーの画素を大型化し、各画素がより多くの光を取り込むことで、肉眼では被写体の認識が困難な暗闇の中のわずかな光源の環境下でも、ノイズの少ないフルHD動画によるカラー撮影を可能とする超高感度センサーを開発しました。
このCMOSセンサーの画素は一辺が19μm(μm=マイクロメートル、100万分の1メートル)と、キヤノンのデジタル一眼レフカメラの最上位機種「EOS-1D X MarkⅡ」などに搭載されるCMOSセンサーと比べると、7.5倍以上の面積を持つ大きなセンサーです。

星明かり程度の明るさである0.001lux以下での動画が撮影可能となり、夜間に月明かりの光により生じる虹で、日本では希少な自然現象である「月虹(げっこう)」の動画を撮影することに成功しました。
天体観測、自然災害の監視や防犯、微生物の微弱な光の観察などの生命科学分野、また野生生物の生態撮影などの映像制作分野での活用を想定しています。

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ME20F-SH

同環境下における映像の比較

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一般的な業務用ビデオカメラで撮影

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超高感度多目的カメラ「ME20F-SH」で撮影



超高精細2.5億画素CMOSセンサー

18km先の飛行機の機体文字を識別できるCMOSセンサー

キヤノンは、1990年代にいち早くCMOSセンサーの研究開発をスタート。2010年には、人間の視細胞数に相当する1.2億画素を実現し、注目を集めました。
2015年にはAPS-Hサイズにおいて世界最多画素 となる約2.5億画素(19580×12600画素)のCMOSセンサーの開発に成功。この超多画素のCMOSセンサーは、フルHD(1920×1080画素)動画の約125倍、4K(3840×2160画素)動画の約30倍の超高精細な動画撮影が行えます。


多画素センサーの小さな画素寸法でも光を最大限に取り込む構造を開発することで感度の低下を抑制。画素数が増えて信号量が増加することから起こる信号遅延やタイミングのズレの問題も、回路の微細化や信号処理の高速化に取り組み、1秒間に12億5000万画素の超高速な信号読み出しを実現。毎秒5コマのスピードで超多画素の動画の撮影を可能にしました。

  • ※2017年12月31日現在。キヤノン調べ

約2.5億画素CMOSセンサー

約2.5億画素CMOSセンサー

約2.5億画素CMOSセンサーを用いた撮影全景とEF800mm望遠レンズと電子ズームを用いた試作機での撮影


EF800mm望遠レンズと電子ズームを用いた試作機での撮影。撮影した映像を電子ズームし、さらに画像処理技術を活用。人間の眼では認識困難な約18km先を飛行する機体文字の識別が可能に。

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