テクノロジー

宇宙の起源に迫る宇宙の起源に迫る

宇宙の謎の解明に挑戦

TMT国際天文台プロジェクト

ハワイ島に建設が予定されている口径30mの超大型望遠鏡。国際的な共同プロジェクトにより、建設計画が進められています。また、分光器を高性能に進化させ、宇宙史の解明にも貢献していきます。

2018/12/27

[ TMT ]

国際共同プロジェクトに大きな貢献

TMTは、日本・米国・カナダ・中国・インド5カ国の国際協力によって、ハワイ島に建設計画が進められている口径30mの超大型望遠鏡です。キヤノンは、日本の国立天文台のすばる望遠鏡(ハワイ)で光学系の開発・生産を担うなどの実績が評価され、TMTでも分割鏡の製造を担当しています。TMTの、口径30mの主鏡は492枚の分割鏡を敷き詰めてつくります。この分割鏡(交換用を含めると574枚)の製造は日本・米国・中国・インドが分担して行い、日本はその約3割を担当しています。キヤノンは、2014年に分割鏡の製造を開始。分割鏡の研削、研磨、および分割鏡ユニットの組立てを担っています。

極低膨張ガラスを素材とする分割鏡は、対角1.44m、厚さ45mmの六角形状で、鏡面の非球面量は最大で0.2mm、鏡面の仕上がり精度は2μm以内に収めなければなりません。キヤノンは、大型非球面鏡の加工・計測システムを独自開発して分割鏡の量産に取り組んでいます。

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[ 赤外イマージョン回折素子 ]

赤外分光器の高性能化により宇宙史の解明に期待

天体望遠鏡などで宇宙を観測する際、情報を取り出すために光を波長ごとに分ける分光器には、これまで反射型素子が使われてきました。キヤノンはゲルマニウム単結晶やテルル化カドミウムに続き、リン化インジウムのイマ―ジョン回折素子の開発に成功。これら3種類の回折素子で、天文学における赤外波長のほぼすべての領域の分光をカバーできるようになりました。従来の分光器に比べ、リン化インジウムの場合、体積を27分の1に縮小でき、大きさや質量の制約で搭載が難しかった高性能分光器を、人工衛星などに搭載することを可能にしました。宇宙望遠鏡やTMTなど次世代型天体望遠鏡ばかりでなく、既存の望遠鏡の高性能化にも期待が寄せられています。

リン化インジウムイマージョン回折素子
(長辺約50mm×短辺約20mm×高さ約15mm)

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電子顕微鏡による格子面観察画像(1000倍)

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