事業所の活動
キヤノン本社・下丸子の森
キヤノンの本社がある東京都大田区下丸子。構内の緑地帯を「下丸子の森」と呼び、プロジェクトのモデル事業所として、鳥類をはじめとした生物多様性を保全する活動を行っています。
下丸子の森とは?
キヤノンの本社がある東京都大田区下丸子。
大田区は、東京23区の南端にあり、23区中最大の面積を持ちます。その大田区の南西部に位置する下丸子地区。西辺、南辺に多摩川が流れ、マンションや戸建て住宅、工場などに囲まれた地域です。
敷地内にはさまざまな木々が植えられた広い緑地帯があり、私たちはそれを「下丸子の森」と呼んでいます。プロジェクトのモデルケースとして、野鳥の飛来状況を調査し、野鳥が生息しやすい環境整備を進めています。
スポットセンサスで季節ごとの野鳥の移り変わりを観察しています
プロジェクト発足時から、毎月「下丸子の森」に飛来する野鳥の調査(スポットセンサス)を実施しています。
日本野鳥の会の監修のもと、野鳥の種類、出現数、場所、雌雄、鳴き声の種類(地鳴き・さえずり)などを記録しています。同じ時刻、同じルートで定期的に行うことで、季節や年ごとの変化がわかってきました。2019年までに35種類の野鳥が確認されています。
さまざまな鳥たちが子育てをしています
毎年春から夏にかけて、さまざまな野鳥が下丸子の森で繁殖しています。
カルガモは水辺の草地に巣をつくる習性があり、敷地内の池で子育てをします。子ガモを引き連れて泳ぐ愛らしい姿は毎年季節の風物詩となっており、多くの社員が休み時間を利用して池を訪れています。
春になると南方からここ下丸子の森にも帰ってくるツバメ。天敵であるカラスやヘビが近づかないよう、人の生活空間の近くに巣をつくる習性があり、下丸子本社では、毎年軒下にある照明の上に営巣しています。フンで汚れるという理由で巣を撤去してしまうことも多いそうですが、わたしたちは定期的なフンの掃除をするなどして、子どもたちの成長を暖かく見守っています。
猛禽類のハヤブサも下丸子に来ている!!
下丸子の森では、猛禽類のハヤブサも観察されています。ハヤブサは、東京都(区部)の絶滅危惧種に分類されていますが、ここにいる鳥や小動物を目当てにか、たびたび飛来しています。地域の生態系ピラミッドの頂点に君臨する猛禽類がいるということは、周辺の生物多様性が保たれている証といえるかもしれません。
バードバス・巣箱を設置し、鳥たちが暮らしやすい環境づくりを行っています
都会のなかでも鳥たちが生活しやすい環境を目指し、敷地内にバードバスや巣箱を設置しています。
バードバスとは、鳥たちが水浴びをする水盤状のお風呂のこと。羽の汚れや虫などを落とすために利用します。「下丸子の森」には2基のバードバスが設置されており、ウグイスやメジロ、シジュウカラ、ヒヨドリなどさまざまな野鳥が訪れて羽の手入れをする姿が頻繁に見られます。
都会では大木や老木が少なくなっているといわれています。そのような木の樹洞に巣をつくる野鳥のため、敷地内に巣箱を設置しています。毎年シジュウカラが巣箱を使い、子育てしていることを確認しています。
社員にも野鳥に触れ合う機会を
シジュウカラがコケや羽毛や細い枝などを組み合わせてつくった巣には、親鳥の愛情がつまっています。社員が野鳥を身近に感じるきっかけになればと考え、構内で営巣したシジュウカラの巣箱展示会を行いました。昼休みという短い時間でしたが、多くの社員が興味を示し、野鳥、そして生物多様性を考えるよい機会となりました。
※巣箱は毎年春から夏にかけて繁殖のために利用され、秋から冬は使われません。また、一度使われた巣箱はそのままでは次のシーズンに使われないため、スタッフが中の巣材を取り出して掃除し、またかけなおしています。
社員を対象に、鳥の生態や人との関わりなどを通じて生物多様性について学ぶ機会を設けています。下丸子の森や多摩川の河川敷を歩く観察会では、身近な野鳥を探しながら講師の解説に耳を傾けました。参加した社員からは、野鳥やほかの生き物たちへの興味が深まったとの声が多く聞かれています。
統一したイメージで世界に羽ばたかせる
プロジェクトのビジュアルアイデンティティはデザイン部門が統括しています。
ロゴや配色からはじまり、サイト、ポスターなどの制作物において、統一されたイメージを使うことで、言葉や文化に関わらずビジョンを共有できるようになります。
バードブランチを通じて、デザインの力で世界中の人々に生物多様性の大切さを伝えていきたいと考えています。
事業所で見られる鳥
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シジュウカラ(留鳥)
黒いネクタイがチャームポイント。春夏の雄はツピーまたはツツピーを繰り返して鳴く。
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カルガモ(留鳥)
下丸子事業所ではおなじみの野鳥。全国の水辺で一年中みられる野鳥である。春から草地に営巣して繁殖。ほかのカモの雌に似ているが、比較的大型。
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ハヤブサ(留鳥)
見晴らしの良い崖などに生息する猛禽類。下丸子では、高層棟のひさしでみられる。獲物を見つけると、急降下して捕獲する。国内希少野生動物。
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ツバメ(夏鳥)
3月頃に東南アジアから来て、9月頃まで暮らす渡り鳥。構内で営巣している。古くから里山の自然のなかで生きてきた、人と自然との共存を象徴する鳥。
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ハクセキレイ(留鳥)
芝生や道路など広く開けた地面で良くみられる。白い頬と澄んだ声が特徴。歩いているときの長い尾を上下にふる様子がかわいらしい。構内で幼鳥も観察。
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メジロ(留鳥)
黄緑色の体に映える白いアイリングが特徴。ツバキなどの花の蜜が大好き。構内で古い巣を確認。♪ホーホケキョで有名な「ウグイス」と混同されることも。
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ヒヨドリ(留鳥)
やや長いくちばしで、虫や木の実を食べ、花の蜜も好む。よく群れ、よく鳴く。バードバスに大挙してやってきて、占領することも。
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モズ(留鳥)
林の周辺、農耕地、河川敷などのやや開けた環境で繁殖。長めの尾を回すように振る。春夏は低山・山地、秋冬は低山・低地に多い。
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アオサギ(留鳥)
大型のサギ類のなかで最もポピュラーな鳥で、餌である魚やカエル、野ネズミなどを探して、水辺だけでなく草地にも現れる。
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キジバト(留鳥)
身近な野鳥のひとつ。背にある茶色いうろこ模様が目立ち、2羽(ペア)で見ることが多い。
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スズメ(留鳥)
身近な野鳥のひとつ。似た小鳥や若いスズメを見分けるには、頬の黒斑がポイント。
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アトリ(冬鳥)
橙色の肩や胸が特徴。飛ぶと腰の白が目立つ。
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アオジ(留鳥)
胸から腹が黄色にまだら模様。チッとするどい声で鳴く。
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オナガ(留鳥)
その名のとおり尾が長くてきれいな水色の鳥。カラス科。
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イソヒヨドリ
主に海岸の磯や堤防にすむが、最近は内陸部でも見られる。ムクドリサイズ。
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カワラヒワ
林、草地、農耕地、河原にいる。種子を主食としており、肌色で太めのくちばしが特徴的。
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セグロセキレイ
日本固有種で、水辺環境に近いところで見られる。よく似たハクセキレイと違い、頬が黒く、声に濁りがある。
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シロハラ
冬鳥で、大きさや体型、動作は近縁のツグミに似ているが、腹は白っぽい(ツグミは斑模様がある)。