オオジシギ
チドリ目シギ科 全長約31cm
北海道の草原に多く飛来する夏鳥。本州の高原でも少数が繁殖し、渡り途中には低地の湿地にもいる。繁殖期にはしわがれ声で飛びまわり、急降下しながら、尾羽で「ゴワゴワゴワ」と音を立てる。冬の水田に多いタシギなどとともに、内陸の地面にいるシギという意味で、ジシギ類と呼ばれる。
※鳴き声が再生されます。
驚異の渡り、太平洋をひとっ飛び
変な顔の王子様?
オオジシギは、王子シギではありません。ムクドリサイズのタシギより少し大きいことが名前の由来です。ジシギ類はくちばしを地中に突っ込み、先端の感覚を使ってミミズなどの地中にいる小動物を食べます。目の位置が普通の鳥より後方にあって、防毒マスクをかぶったような変な顔に見えますが、目は食物を探すことより周囲を警戒するのに使われているようです。日本では、繁殖のため飛びまわって特徴的な声を出し、羽音をたてる豪快ななわばり宣言をしますが、非繁殖期を過ごすオーストラリアでは、日本でのタシギのように静かで目立たない鳥になるそうです。
飲まず食わずで、6日間飛びっぱなし
2016年秋、日本野鳥の会では、準絶滅危惧種であるオオジシギを守る活動の一環で、「どうやって、越冬地のオーストラリアまで渡るのか?」を調べました。許可を得て捕らえたオオジシギに発信機を装着し、調査を試みたところ、北海道から飛び立った一羽が太平洋を一気に南下して、6日後にパプアニューギニアに降り立ったことが判明しました。その軌跡をたどると、おおよそ5800kmを移動しており、平均時速は40km程度と推測されます(オオジシギ渡りルートの調査)。
まだ一例がわかった段階ですので、北海道で繁殖したオオジシギの大多数が一気に南半球を目指す、とまでは断言できません。日本以外の繁殖地はサハリンや大陸のごく一部しか判明していないので、日本でのこの研究が継続されることは、とても期待されています。