野鳥写真図鑑

アカハラ

スズメ目ヒタキ科 全長約24cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/320秒|ISO:400|露出補正:-0.3|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Hサイズ)|撮影地:長野県

本州中部以北の林で繁殖し、秋冬は西日本や低地でも見られる。体形、行動や食性は近縁のシロハラに似ていて、ツグミのように開けた場所にいることは少ない。地鳴きもシロハラに似ているが、春から初夏の繁殖期には、オスは震えるような声で「キャランキャラン、チー」などとさえずる。

さえずり
地鳴き

※鳴き声が再生されます。

美声を聞くなら3~4月

カモンカモン、チュー

アカハラやシロハラのように、ヒタキ科でスズメより大きな鳥たちは大型ツグミ類と呼ばれます。このなかまは、地上で虫やミミズを食べ、秋冬は木の実も食べ、さえずりが美しいという共通点があります。ヨーロッパではクロウタドリ(中国南部にもいるが、日本ではまれ)、北米ではコマツグミ(日本では未確認)が大型ツグミ類に相当し、クロウタドリはイギリスでは小説や歌にもよく登場し、さえずりが春を感じさせる鳥とも言われています。
アカハラは、本州中部では標高がほぼ千メートル以上で繁殖するので、低地でさえずりを聞くには、繁殖地に移動する直前の3~4月がチャンスです(北海道では4~5月に渡ってきて、低地でも繁殖する)。さえずりは3音節で「カモンカモン、チュー」という聞きなしもあります。

アカハラ(オス) 写真はオス(成鳥)で、メスと比べると色が濃く、顔が黒っぽい。メスや若い鳥では喉が淡色で、眉の部分が白いものもいる。

2004年から激減か?

日本三大探鳥地の一つにも数えられる軽井沢(ほかに奥日光、富士山麓)では、アカハラのさえずりが次第に聞かれなくなっています。1987年から22年間、初夏の軽井沢で野鳥のさえずりを録音し続けた人が解析した結果、1989年まではうるさいくらいだった野鳥たちのさえずりが、2000年頃から次第に減り、2004年からは激減。なかでもアカハラのさえずり減少が目立つそうです。
アカハラは、秋冬の非繁殖期には中国南部まで移動するものもいますが、繁殖地は本州中部からサハリン、南千島までと限られています。皆さんの地域を含め、日本で減ってきたとしたら、大きな問題と言えましょう。

アカコッコ アカハラによく似ているアカコッコ。オスの頭部はアカハラより黒く、黄色いアイリングが目立つ。一見、コマツグミにも似ているが、伊豆諸島やトカラ列島だけに分布する日本固有種。

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